一時休戦
イヴリスとマリアは争いを一時中断し村へと帰ってきた
「それで提案ってなによ?」
「それよりも先に風呂に入らないか?戦いで体が汚れて服もボロボロだし一旦落ち着いてから話そうじゃないか」
「イヴリスとお風呂・・・まぁいいわよ」
満更でもなさそうなマリアを村の中に入れ浴場がある場所へと目指す。すると村の人間達が何やらザワザワとしているの感じ取った
「どうしたんだ?全員で集まって何をしていたんだ?」
「おぉイヴさんちょうどよかった。イヴさんも聞こえてたと思うが凄い音がずっと鳴り響いていただろ?だから万が一に備えて皆村の中心に集まっていたんだ」
「あー・・・」
村から結構距離が離れた場所に移動したつもりだったがそれでもイヴリス達が戦っていた衝撃がこちらまで伝わってきていたようだ
気づいた頃には周りはもう太陽が上り始めている頃だったのでかなりの時間不安にさせてしまっていたことになる
どう話そうかと考えているとそれまでイヴリスの背後に隠れていたマリアが村人達の前に姿を出した
マリアの背中にあったヴァンパイアの羽はいつの間にか隠されていた。翼が無くなればマリアは年相応の人間の女の子と違いはない
「ん?見ない顔だね、イヴさんの知り合いかい?」
「初めまして、私はマリーと申します。この辺りを移動していたらイヴさんに出会いまして行動を共にさせて頂くことになりまして少しの間お世話になってもよろしいでしょうか」
「それは構わないが・・・随分と気品のあるお嬢さんだね。あっ、もしかして貴族の方でしたか?」
「いえ、私はただのしがない小麦農家の娘です。ほら、この通り肌もこんがり焼けているでしょ?毎年収穫の時期焼けちゃってこの有様なんですよ。この辺りに来ていたのはその小麦の新種があるという噂を聞いて探していたんです」
「へぇ、若いのに一人でこんな所まで。大変だったろう、昨日からこの近辺で地鳴りみたいな音がしていたが大丈夫だったかい?随分と汚れているようだけど・・・」
「はい、何事もなかったです。これはちょっと水溜まりの場所でコケてしまっただけなのでお気になさらず」
村人となんの違和感もなく話すマリアは普段からは考えられない凄い猫の被りようだった。そのあまりの礼儀正しさを見てイヴリスは村人達から離れた後思い切り吹き出した
「何よ・・・」
「いや、そんな喋り方も出来るんだなと思ってな。それによくもまぁそんな嘘をペラペラと喋れるなと」
「すぐバレちゃうかもだけどね。理性のない獣じゃないんだから危害を与えようとしてこない限りこちらから手を出すことはないわ」
「まぁとりあえず顔合わせも済んだし風呂に行くとしよう」
イヴリス達は戦って汚れた体を綺麗にする為に風呂場へと向かった。朝ということもありこの時間は誰も使っていないので貸し切り状態である
「へぇ、小さな村にしては悪くないじゃない」
「そうだろ?ほら、体を洗ってやるからこっちにこい」
「は、はぁ?別に一人で出来るわよ」
「遠慮するな、たまには私に存分に甘えてもいいんだぞ?」
「私は別に甘えたくなんか・・・」
「じゃあマリ姉の代わりにルーがあるじに洗ってもらう~」
「やっぱり洗ってもらおうかしら!」
ルインが横入りしようとするとそれをすかさずマリアがブロック。結局イヴリスがマリアを洗い、マリアがルインの背中を洗うという形に落ち着いた
「えへへ~みんなで洗いっこ楽しいねぇ♪」
「こらっ、動くと上手く洗えないでしょ」
「そういうお前ももう少しジッとしてくれ」
「キャッ!ちょ、ちょっとどこ触ってるのよ・・・」
「いやただ腰を掴んだだけなんだが・・・」
はしゃぎながら体を洗い終えると3人で湯舟の中へ
戦った疲れを癒していると脱衣所の方から音が聞こえてくる。3人がそちらへと視線を向けると湯気の中から現れたのはアリシア、そしてその後ろにはサラがいた
「おーアリシア、戻ってきていたんだな」
「今日は気絶しないで済んだので帰る前に体を清めようと思いまして・・・ん?この気配は・・・」
アリシアがマリアの存在に遅れて気づく。突然出現したマリアにアリシアは身構える
「吸血王!?どうしてここに!」
「気づくのが遅すぎだ。吾輩はここに戻ってきた時から気づいていたぞ」
「勇者・・・いえ、今は勇者じゃなかったわね」
遅かれ早かれこうなる予定ではあったが浴場でこうなるのは想定していなかった
「あぁ待ってくれアリシア。今のマリアには敵意はないから安心してくれ」
「イヴリス・・・貴女が彼女を呼んだんですか?」
「いや、場所を突き止められてしまったみたいでな。とにかく今はお互い生まれたままの姿、この際だからじっくりと話そうじゃないか」
イヴリスに収められたことでアリシアも冷静さを取り戻す。だが今度はマリアの方が何故か冷静さを失っていた
「アリシアって・・・それにイヴリスって。貴女達いつの間にそんな名前を呼び合う関係になったの!」
「何をそんなにキレてるんだ。別に名前呼び位普通じゃないか」
「自分の配下の名前すらまともに覚えてない人がよく言うわ・・・」
不機嫌になったマリアを宥めつつイヴリス達の会談は行われることとなった
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