魔王の右腕、現る
食事を済ませ休息を得たアリシアの顔色は最初の頃より大分良くなっていたので落ち着いたところで特訓の調子を聞いてみた
「どうだ特訓の方は」
「まぁボチボチといったところだな。こいつはセンスこそないが自分だけ言うだけあって根性はあるようだ」
「へぇ、どれ位成長したか見てみたいものだな」
「まだまだ見せられるものではないですから、完全に力を使いこなせるようになったら見せてあげますよ」
アリシアがどのような特訓をしているか気になっていたので見せて欲しかったが落ち着いたばかりでそれは難しそうだったのでそれは諦めた
なのでイヴリスはアリシア達が鍛錬をしている間にしてきた事を話すことにした
セシルの事を話すとアリシアの表情は少し暗い顔になった
「そうですか、セシル様に会ったんですね」
「随分とアリシアのことを心配しているようだったが仲が良かったのか?」
「特別親しい仲だったというわけではないですがあの方は私が勇者に選ばれた頃からよく気にかけて下さっていたんです。けど私を庇ったせいで幽閉されてしまうなんて・・・」
アリシアにとっての数少ない味方、なんとかしてやりたい気持ちもあるが王女相手に簡単には手を出せないだろうから暫くは様子見することに
「まぁあいつなら大丈夫だろう。それよりも問題なのはあのフェリックスという男だな」
「王城の地下で大型の魔法陣でしたっけ?フェリックスが隠れてそんな事をしていたなんて気がつきませんでした・・・」
「情報を聞き出そうと拘束したんだがあいつスライムみたいにドロドロになって拘束から逃れたんだ。何か知らないかアリシア」
「スライムみたいに・・・?すみませんがフェリックスにそのような魔法を使えるとは思えません」
「でも実際そうだったしなぁ、話すスライムとかなら何度か会ったことはあるが人型になるスライムなんて見たことも聞いたこともないないしな」
フェリックスとアリシアの関係性はお互い勇者となる為に競い合った仲、それ以上でも以下でもないがフェリックスにとってアリシアは目の上のたんこぶ的存在で昔からよくアリシアに突っかかってきたりしていたらしい。けれどそれらしい魔法は見たこともないという
だがそれよりも今問題視するべきはあの転移魔法陣、イヴリスはその魔法陣について何か知らないかアリシアに問いかけた
「大型の転移魔法陣・・・そんなものが王都の、それも王城の地下に作ろうとしていたなんて初めて知りました。ですがそれだけの高度な魔法となると候補は絞れます。恐らく魔道国が関与している可能性が高いかと。あの国は魔法に精通しているので大型の転移魔法陣をフェリックスに教えたのかもしれません」
「ふーん、そんな国もあるんだな」
「私達の国と一緒に貴女の国に何度も攻め込んでいたはずですが・・・」
「記憶にないな・・・そんな事より他の国が関与している可能性はあるか?」
「現時点ではなんともいえませんね。ただ魔道国が関与している可能性が高い以上その可能性も頭に入れておいた方がいいでしょうね」
とりあえず王都で仕入れた情報はアリシアに報告し終えた。その間十分な休息を取ることができたアリシアは立ち上がり鍛錬の再開をする準備を始めた
「そろそろ私は鍛錬に戻ります。その魔法陣を何に使うのかは分かりませんが三週間後に何かしてこようというのならそれに間に合わせなくては。それに感覚を忘れないうちに体に沁み込ませたいですしね」
「あんまり無理はするなよ。壊れてしまったら元も子もないからな」
「多少の無茶はしないとサラの力は扱えませんから」
それだけ言い残してアリシアはサラと共に異空間の中へと消えていった
「さて、私は昼寝でもするか・・・」
「ようやく見つけたわよイヴリス!」
朝からアリシアの料理を作り慣れないことをしたイヴリスはもう一眠りしようと寝室へ向かおうとする。その時背後から久しく聞いていなかった、けれど聞き慣れた声がイヴリスの足を止めさせた
振り返るとそこには魔王国にいた時ずっと傍にいたマリアの姿があった
「マリ姉だ!」
「ま、マリア!?お前どうしてここに!」
「貴女が王国に現れたと聞いたから私が直接行ってそこから貴女の魔力の残滓を辿ってようやくここに辿り着いたのよ」
「追手が来ないように痕跡は消したつもりだったが・・・」
「貴女転移門を使ったでしょ。あれだけ魔力使う魔法使ったらどんなに痕跡を消そうとしても無理があるわよ。まっ、そうじゃなくても私ならイヴリスを見つけられたけどね。魔王国の事は他に任せて最初からこうすれば良かったのよ」
得意気に語るマリアの目はようやく見つけた獲物に狙いを定めるかのような目をしていた。よりにもよってこのタイミングで一番面倒な相手、実力的にはイヴリスが上だがそれでもマリアと戦うことになったらこの辺り一帯の森が消え荒野と化してしまう
それだけは避けたいイヴリスはまずマリアをこの村から離す事に
「マリア、色々積もる話もあるだろうがここではなんだから二人で落ち着けるところで話さないか?」
「また逃げるんじゃないんでしょうね」
「逃げも隠れもしないさ。ここを放棄するわけにはいかないからな」
「ふぅん・・・まぁいいわ。それなら早く行きましょ」
イヴリスの提案にマリアは了承、二人は村から離れた場所へと消えていった
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