炎の大精霊サラマンダー
イヴリス達は精霊の力を求めネイチェルから聞いた場所、エルドラ火山を目指すこととなった。目的地までかなりの距離があるのでルインに飛んでもらって移動をしようと考えていると、ルインはイヴリスの後ろで何やらモジモジとしていた
視線の先にはアリシア、その様子を見てルインがアリシアに対して言いたいことがあるのだろうと察した
「ほらルイン、言いたいことがあるならハッキリ言わないと伝わらないぞ」
イヴリスがそう ルインがおずおずと前に出てきてアリシアの前まで行くと頭を下げた
「勇者・・・ごめんなさい。ルーあるじが取られると思ったら胸の辺りがモヤモヤしてあんな事しちゃった」
「いえ、私の方こそすみませんでした。自分の事ばかり考えていて周りを気にする余裕がなかったです。これからもイヴリスを借りることになると思いますが貴女から取るつもりはないです。いいですかね?」
「うん分かった、いいよ。でもルーの見てないとこでしちゃダメだよ」
「やれやれ、まるでモノ扱いだな」
2人は握手を交わし和解、わだかまりも無くなったところで気を取り直してエルドラ火山へと出発した
エルドラ火山までは数日を要する。なのでその間もアリシアの特訓に付き合いレベルアップを図った
向かう道中には人の村や町がいくつか点在していたが、自分達の情報が既に知れ渡っているかもしれなかったので迂闊に宿を借りることもできず、野宿でやり過ごすことに。そんな感じで移動を繰り返して数日が経過、イヴリス達はようやくエルドラ火山に到着した
「あれがエルドラ火山、ここからでも火山の熱が伝わってきますね」
「あつーい・・・」
「さて、ここまで来たはいいものの・・・肝心のサラマンダーとやらは一体何処にいるんだ?」
上空を一回りして火山の周りを見渡しても特に入口のようなものは見つからない。地上に下りて捜索してみてもそれらしきものは見つからなかった
ネイチェルから聞かされたのは場所だけでどこにいるかまでは分からないとのこと。自力で探すしか方法はないが火山の周囲には樹一本生えていない焼け野原、一通り探し尽くしたがやはり入口に繋がる道の発見には至らない。火山周辺には入口はなし、となるとイヴリスには残る場所は一つしか思いつかなかった
「もしかしてあの火口が中に繋がる入口なんじゃないか?ちょっと行ってみるか。ルイン」
「はーい」
「えっ・・・ちょっと正気ですか?そんな事したら・・・!」
アリシアの制止を聞かずイヴリス達はまだ探していなかった場所、火口の奥底でボコボコと音を立てて凄まじい熱気を放っているマグマへと一直線に降下。アリシアは咄嗟に目を瞑り死を覚悟するがいつまで経ってもマグマの熱が伝わってこない。恐る恐る目を開けてみると幾重にも張られた防御結界によってイヴリス達は守られていた
マグマの中を数分かけて移動、そろそろ底に到着するのではというところで突然景色が切り替わった
イヴリス達が辿り着いたのは何もない暗闇の空間、そこは火山の場所とは異なる場所で3人は飛ばされてここに来たというのが明らかだった
「どうやら当たりだったようだな」
「心臓に悪すぎです・・・次からああいうことをする時は一言言ってからにして下さい」
「まぁまぁ、無事に中に入ることが出来たからいいじゃないか。さぁて炎の大精霊様とやらはどこにいるのか・・・・・危ない!伏せろ!」
イヴリスが叫んだ直後、頭上から回避不能な程広範囲な火柱が襲ってきた。それをイヴリスが間一髪で防いだことで2人に怪我はなかった
イヴリス達が生きていると分かると攻撃を放ってきた相手は姿を現してきた
蜥蜴の様な見た目だがその大きさはイヴリス達の何倍もあり、体には炎を纏っている
「その姿と魔力・・・お前が炎の精霊サラマンダーか。初対面の相手に対して随分な挨拶じゃないか」
「吾輩が作り出したこの空間に無断で入って来た虫けら共を蹴散らそうとして何が悪い」
「だったらもっと分かりやすい入口を作る事だな。そうすれば次からノック位はしてやる」
「相変わらず不遜な態度だな魔王イヴリス」
「なんだお前、以前どこかで会ったことあるか?私は全く見覚えがないんだが」
「貴様と直接会ったことはなくとも吾輩が生み出した精霊達が外の様子を知らせに来るから大概の事は知っている」
イヴリスは何事もなく会話をしているが、アリシアはサラマンダーの膨大な魔力量に暫く圧倒されてしまっていた
四大精霊というだけあってネイチェルとは比較にならない程の魔力の質、この精霊の力を借りる事が出来れば今よりも劇的に強くなる事が出来るのは容易に想像できた
「なら話は早いな、お前の力をこのアリシアに貸してやって欲しいんだ。まっ、過去にお前と契約したことがある人間がいると聞いたしここにいるアリシアだってやれないことはないだろう」
「勘違いをしているな。吾輩は誰とも契約する気はない」
「待って下さい、それはどういう事ですか?」
「貴様等に話すことではない。出口はあっちだからさっさと出ていけ」
サラマンダーが指す方向を見ると外へと繋がる出口が現れる。しかしここまで来ておいそれと帰ることは出来ない、アリシアは食い下がった
「お願いします炎の大精霊、貴方の力を私に貸してください。貴方の力が必要なんです」
「諄い、これ以上ここに居座るというのならこちらも容赦はしないぞ」
「貴方に認めてもらえるまでここを出るつもりはありません」
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