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魔王と勇者、協力する

アリシアに村の案内を兼ねての散策をし終えたイヴリス達は村から少し離れた草原までやってきた



「どうだこの村は?まだまだ発展途中だが中々だろう」


「なんだか意外でした」


「意外?」


「最初はここの村の人達は貴女に洗脳か脅されているかと思いましたが昨日と今日の様子を観察して貴女を慕っていることが分かりました。まだにわかに信じ難いですが・・・」



どうやら散策をしているうちにイヴリスと村人の関係性の疑いが晴れたようだ。アリシアは続ける



「けどまだ貴女への疑いが完全に晴れたわけではありません」


「そう言われてもなぁ・・・ならばこれを使って話をしようじゃないか」



アリシアからの疑念を晴らす為、イヴリスは収納魔法を発動し異空間に手を突っ込んである物を取り出した。2人の目の前に出されたのは天秤、皿には白と黒の二つの玉が乗っていてその玉には真と嘘という意味の文字が記されていた



「これは?」


「"虚実の天秤"だ。これは・・・実際に使って説明した方が早いな。例えばそうだな、アリシアは私の事を愛してる。なんてな」


「何を寝惚けたことを、そんな事は天地がひっくり返っても有り得ません」



イヴリスの突拍子のない言葉を強く否定するアリシア、するとその答えに反応するように天秤は白の方に傾いた



「とまぁこの様ように白に傾けば真実、黒に傾けば嘘。これを使えば相手が嘘をついているかどうか分かるわけだ」


「なるほど、不正は出来ないということですね・・・いいでしょう、それでは質問です。貴女は王国に兵を差し向けて村や町を襲撃しましたか?」


「いいや、していない」



アリシアの質問にイヴリスが答えると天秤は再び白の方に傾いた。その結果を見たアリシアはまだ疑っている様子だったがこの件に関しては渋々納得してくれた



「どうやら本当のようですね・・・では貴女は人間を滅ぼそうとしていますか」


「そんな事は微塵も考えていない。そもそも本当に人間を滅ぼそうとするならそれこそ魔王国でお前達が来るのをふんぞり返って待つ っているより私自身が攻め込んだ方が手っ取り早いだろ?」



この答えにも天秤は白を示した。それ以降もイヴリスに色々と問いを投げかけたアリシアだったが、王国から聞かされていた情報とは異なる答えばかりだった



「満足したか?これで少しは誤解が解けただろう。私はお前達の国を秘密裏に攻撃なんてしていないしましてや滅ぼそうなんて考えていない」


「まだ頭が混乱していて整理がつきませんが本当のようですね・・・」


「長い時間をかけて嘘の情報を信じ込ませられたから洗脳のような状態になっていたんだろう」


「では貴女が最初に滅ぼしたとされる今のセルビニア王国の領土に昔存在していたスラビア王国の話も事実ではないのですね」


「えっ・・・」



アリシアは何の前触れもなくその国の名を口にしてきた。アリシアからしたらこの質問ついででしたもので特に深い意味はないのだろう

その質問がくるとは予期していなかったイヴリスは言葉を詰まらせるも何とか質問に答える



「あ、あぁ勿論だ。国の名前すら憶えていないな」



必死に取り繕い否定するイヴリス、しかし天秤は無情にも黒の方へと傾いた。自分で提案したものがここにきて裏目に出る

アリシアの顔が少し険しくなり問いただしてくる



「今嘘を吐きましたね。正直に話しなさい」


「・・・確かに私は過去に一度だけ人間の国を滅ぼしたことがある、それがその国だ。まだ私が魔王と呼ばれるようになる前の大昔の話だがな・・・」


「・・・何故国を滅ぼしたのですか?」



アリシアの問いに怒りの感情は感じられなかった。イヴリスの表情に陰りが表れたのとこれまでの会話で少なくとも何の意味もなくそのような行為に及ぼうとしたのではないと理解している様子。暫しの沈黙が続いた後、イヴリスは一息ついてから国を滅ぼした理由を明かした



「その国が私から一番大切にしていたものを奪ったからだ。たったそれだけかと思うかもしれないが私にとっては国を滅ぼす理由として十分なものだったんだ」


「そうですか・・・」


「少し喋りすぎたな。いい時間だしそろそろ帰るとするか」



それから数日イヴリス達は何事もない平穏な時間を過ごした。アリシアはその間今までの誤った情報と自分なりの考えを纏めるのに難儀しているようでそれまではイヴリスともあまり言葉を交わさなかった

更にその数日後、ゴルドから剣が完成したとの報告があったので鍛冶場へ行き受け取りに行った



「ほれ、これが勇者殿に作った剣じゃ」


「ありがとうございますゴルドさん」


「良かったら外で試し切りをしてみてくれ」



アリシアは外に出てゴルドが剣の具合を確かめる為に用意しておいた丸太で作った的目掛けて剣を振るう。的は見事綺麗に真っ二つに斬られ地面へと落ちた



「少し重いですが慣れれば問題なさそうですね」


「良かったな」


「はい・・・イヴ、少しいいですか」



鍛冶場で剣を受け取った後、アリシアはイヴリスと2人きりでの会話を求めてきたので人気のない場所へ。ようやく自分の中で考えが纏まったようでそれをイヴリスに伝えた



「色々と考えた結果一先ず貴女とは一時休戦、まずは真実を確かめる為に動こうと思っています。貴女の力を貸してくれませんかイヴリス」


「ほぉ、勇者と魔王の共闘か?面白いじゃないか。いいだろう協力してやる。しかしようやくまともに私の名を呼んだなアリシア」


「あくまで対等な関係だということです。勘違いしないで下さい、それにこちらの件が片付いたら今度は貴女の方ですからね」


「分かった分かった」



勇者アリシアと魔王イヴリス、決して相容れることがないと思われていた2人の物語がこうして幕を開けた



読んでいただきありがとうございました!次回からは二章となります!

その前に幕間の話をはさみます

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれていただけたら幸いです

次回木曜日20時に投稿予定です。よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 始まったな...... 同棲の意味合いがどう変わっていくのか楽しみなんですねぇ!
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