増える村人
馬車で森に連れて来られ置き去りにされた人間達に声をかけ、村へと案内してあげることにしたイヴリス。不審に思いながらも他に行く当てがない人間達は全員村に来る事を決めたようなので枷を外してやった
村へ向かう道中、人間達の歩くペースがヤケに遅く予定より時間がかかってしまったがどうにか村まで辿り着くことができた
「さぁ着いたぞ」
「本当にこんな所に村があったのか・・・」
半信半疑でついてきていた人間達は本当に村が存在していたことに驚いていた。しかしそれはまだ序の口で、村の中を案内している最中に狼達魔獣の群れを目にした時は心底怖がっているようだった
イヴリス達が先程服を広げた場所までやって来ると、まだ村人達がテーブルに残っていてちょうど良かったので事情を話し連れてこられた人間達を紹介することに。するとこちらに気づいたルイスが駆け寄って来た
「イヴさんどうしだんだその人達は、この村では見かけない人達だな。まさか・・・」
「あぁ、多分お前達と同じ理由で連れて来られた奴らだと思うぞ。さっき森で拾ったから連れてきた」
「そんな野良犬を拾ってきたみたいに・・・」
グゥゥゥゥゥゥゥ・・・・
2人の会話を遮る程の大きなお腹の音が辺りに響き渡る。振り返ると女性が顔を真っ赤にして俯いていた
しかしお腹を空かせているのはその女性だけでなく、他の者達もどうやら相当お腹を空かせている様子だった。それでここに来るまでの間フラフラとおぼつかない足取りだったのかと合点がいった
「ここに来るまでまともな食事をさせてもらえなかったんだな。とりあえず何か食べれば落ち着くだろつ、カミラ頼めるか」
「分かったわ、すぐに用意するわね」
「あ、ありがとうございます」
ルイスに頼まれたカミラはすぐさま自宅に戻り彼らの為に料理の支度を始める。他の村人達も自分と同じ境遇だからか彼らに色々と分け与えていた
ルイスの言う通りここに来るまで兵士達に碌に食べさせてもらえていなかったようで、カミラが用意した出来立ての料理を見ると全員息つく暇もなく胃に収めていった。一通り食べ尽くし落ち着くと彼らはこちらに向かって頭を下げてきた
「ごちそう様でした。本当に助かりました」
「久しぶりのまともな食事だったので食べている時はあまり気にしなかったのですが・・・その、こんなに使って大丈夫だったんでしょうか?」
「気にしないで、食料は十分余裕があるから。クロちゃん達がいつもたくさん獲物を狩ってきてくれるしね」
「バウッ!」
狼が吠えると男はビクッと肩を震わせる。村の魔獣達に慣れるにはやはり時間が必要そうだ
「それにしてもなんだか思っていた感じと大分違うな・・・食料もそこら辺の村より豊富だし家も新築みたいだし・・・」
「そうね、それにあんな魔獣まで飼い慣らしているなんて・・・」
「前までは君達の想像していた通りの状態だったんだがね、ここにいるイヴさんがやって来てから随分と生活が向上したんだ」
「ふっ、崇め奉るがいい」
「さて、じゃあ次は君達が使う家に案内しようか」
食事を済ませるとルイスが彼らの使う家へと連れて行った
残っていた木材を作った家で10人近い人数を住まわせるのには少々手狭だろうが男女別に分けられる位のスペースはあるので新しく家が出来るまでの間は我慢してもらおう
「というか今更なんだがお前らが望むならここに住まずとも近くの町に送ってやること位出来るぞ」
イヴリスやルインがいればここから抜け出すことは容易、だがその言葉に周りさ難色を示していた
「いや、それは出来ないんだ。俺達には烙印が押されているから・・・」
「烙印?」
ルイス達は服を捲ると胸元にある紋様を見せてきた。それはここに来る前に全員に押されているもので、それがあることがバレると問答無用で死罪、庇う者も同様に死罪となってしまうらしい。ここから抜け出せたとしてもかなりのリスクがあるようだ
この村を拠点としているイヴリスからすれば人手が増えるということは自分が楽できるということなので村人達が村から出ることが出来ないのは好都合ではある
「まぁ心機一転またここで頑張ってくれ。最初は不便に感じるかもしれないが住めば都ともいうしな」
「よろしくお願いします」
その日の夜は新たな村人を迎えたことにお酒で歓迎した。それから数日が経過、ここに来た最初の何日かはやはり各々思うところがあるようで泣き出す者もいたが、村人達の助けもあり今は村の生活に馴染もうとしていた
一方イヴリスの方はというと、この前ゴルドから聞かされていた服作りの為に必要なシルキィワームを捕まえにやって来ていた
シルキィワームは体が真っ白で他の魔獣に比べて小さい見た目をしており危険などはないらしい。柔らかい葉っぱが好物で葉の裏に隠れていたりするようで逐一葉を捲らないといけないのが地味に面倒だった
「あるじ~見つけたよぉ」
「おぉでかしたぞルイン、どれどれ・・・」
ルインが手にしていたのさ掌に収まる位の大きさをした芋虫、ワームという名がついているのだから当然ではあるがイヴリスはその見た目に体が完全に拒絶反応を起こしていた
「気色わる!!こんなの触れるか!」
「えぇ~、ウネウネ動いてるところとか可愛いよ~。あるじも触ってみてよ~ぷよぷよしててきもち~よぉ」
「やめろ!それを私に近づけるな!」
反応が面白かったのかワームを見せつけながら追いかけて来るルイン。結局イヴリスは最後まで触ることが出来ず、ルインが全て捕まえる結果となった
籠の中に捕まえた100匹程のシルキィワーム、その光景を見たイヴリスは立ったまま失神してしまった
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