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第三勢力と密会

セルビニア王国が撤退するに至るまでの打撃を受けたことによって魔王国との戦は惨敗、同盟国として参戦していたヒューストン魔道国も同時に撤退した



「いやぁ見事な負けっぷりだったなぁ、あっはっはっは」



魔王軍との戦で惨敗したにも関わらず高らかに笑うその男はヒューストン魔道国魔法師団の一員、名はウィレム・シルフォード。その隣にいる女性がウィレムに睨みを利かせながら叱咤してくる



「うるさいぞウィレム!負けたのは王国側であって私達は負けていない」


「姉貴の方がよっぽどうるさいよ。相変わらず細かいなぁ」


「ここでは副団長と呼べ。それにこれは私達の名誉の問題だ、あっちは半数近い兵が死傷しているのに対してこっちはほぼ無傷。よって私達は敗北していない、いいな」


「へいへい」



あくまで敗北したのはセルビニア側であり魔道国は本当の意味では負けていないと言い張る女性の名はユリ・シルフォード。ウィレムの姉であり魔法師団副団長を務める者、魔道国屈指実力を誇る

この姉弟は14歳という若さで魔法師団に入団、ユリは18の歳で副団長の座に就いた魔法師団期待の星。それだけの若さで人の上に立つとなると当然他の団員からの反発も最初は多かったが、ユリはそれを全て実力で捻じ伏せて周りの人間を納得させ今の地位を確立させている



「にしても今回も大した作戦も考えず真っ向勝負、学習しないねぇあいつらも。ね?副団長殿」


「あの国は数で押す戦い方ばかりで捻りがない。真正面から力で勝る魔王軍と戦っても勝てないなんてすぐ分かるはずなのにな。何人かまともな将はいるようだが急ごしらえの兵士を動かしたところで結果は分かりきっている。勇者の力ばかりに頼っている割にその肝心の勇者も魔王軍の幹部相手に苦戦する体たらく」


「語るねぇ、まっでもそのお陰でこっちの思惑通り順調に数を減らしてくれてるしいいんじゃない?国土と兵数だけは潤沢だからなぁ」



魔道国は王国と同盟を組んではいるが、それはあくまで一時的なものであり友好的なものではない。同盟を組んでいるのは相手の力量を把握し、来たるべき日に備える為であり魔王軍を倒す為などではない

なので魔法師団は戦場では最低限の仕事だけしかしていない。精鋭を集めた魔法師団をわざわざ戦場に行かせているのも魔道国側の負傷者を極力減らす為、その間他の部隊は魔道国で研鑽を積み万全の体制を整えていた

上からの指示で王国側の動きは警戒していたが実際蓋を開けてみれば技量もなければ短絡的な動きばかりで他力本願な性質がある王国の兵士達、初戦で偵察をするまでもないとユリは判断していた



「ユリ、ウィレム」


「オルティス団長、お疲れ様です」



王国の話をしている2人の会話に新たに加わってきたのは白いローブを身に纏い長い髭を蓄えた中年の男性。この男はオルティス・フェルナンド、この魔法師団の団長でユリやウィレムが魔法師団に入団した当初から目をかけてもらっていた人物である



「どうッスか?目的のものは確認できましたか」


「あぁ、しっかりと視ることができたよ。勇者アリシアと魔王イヴリス様の戦いを」



魔道国の本来の目的は魔王イヴリスの生死確認。オルティスは制限はあるものの魔法でその場で起きた過去の出来事を視ることができ、更にそこいた人物の行動を追うことができる。そしてその結果が先程明らかとなった



「間違いなく魔王イヴリス様は生きている」


「まぁ大体予想していた通りの結果だから驚かないッスね。あの勇者が倒したなんておかしいと思ったんスよ。で、魔王様は今も城の中に?」


「その後の動きを視ようと何度か試みたが何故か臣下から逃げていたな」


「何その面白い展開、何で魔王様が臣下から逃げてるんスか」


「さぁな、言葉までは聞けないからなんとも。ただ城内にいないのは確かだ。それで逃げた先を追跡しようとしたんだが謎の妨害を受けてしまいそれ以上は分からないままだ。だが今は魔王様が生きている、それだけの情報を得られただけで十分。そうでしょう?」



オルティスは自身の背後を追従していた人物に話を振る。その人物が体を隠していたフードを取ると、ここにはいるはずのない姿が露わとなった



「えぇ、こちらにとってとてもいい情報です。助かりましたよオルティス殿、これで勇者アリシアを蹴落とすことが出来そうです」


「よろしく頼みますよ()()()()()()殿」



オルティスと共にいたのはセルビニア王国の近衛騎士隊長フェリックス。彼は今回の戦には関わっておらず本来であればセルビニアにいてこんな場所には来ることが出来ない。フェリックスがこの場に来れたのは魔道国が作った魔道具のお陰であった



「オルティス殿から貰ったこの"転移石"のお陰で気づかれずにここまですぐ来ることが出来ましたよ。ただ使った後吐き気を催すのは大変でしたが」


「まだ試作段階で魔力を大量に消費してしまうのが難点でしてね」



フェリックスが持っている石は転移石という魔力を込めることによって自分が行ったことのある場所に瞬時に移動することができる魔道具、これで気づかれることなくフェリックスはオルティスとコンタクトをとっていた



「しかし初めてお会いした時は驚きましたよ。まさか貴方の方からセルビニアを落とす提案をしてくるとは」


「私の事を正当に評価をしない国は必要ありません。これはその報いです」


「ハッ、思いっきし私情ッスね。まぁ勇者がいなくなってくれればこちらはそれで問題ないんでいいすけど」


「黙っていろウィレム。それで最後の確認ですが・・・フェリックス殿はこちら側につくということでよろしいですかな?魔王国に(くだ)るこの魔道国に」



オルティスの言葉は他国が聞けば耳を疑う言動、気が狂ったかとも思われるかもしれないがその目はいたって真剣そのものだった

この質問の返答次第で今後の行く末が左右される。しかしフェリックスは迷うことなく答えた



「私の居場所はセルビアに非ず、この話を持ちかけた時点でとうに覚悟は決めています」


「その言葉が聞けて嬉しく思います。共に新たな世界を築き上げましょう」




読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれていただけたら幸いです

次回は金曜日20時に投稿予定です。よろしくお願いします!

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