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町までの護衛

ならず者達から宝を頂いたイヴリスはマーガレット達と合流、その頃には傷を負った兵士達の手当ても終わっていたので町への移動が再開された



「では行きましょうか。護衛よろしくお願いします」


「あぁ任せろ。何かあったら守ってやるから安心して馬車の中で寛いでいろ」



そう言って啖呵を切ったイヴリスだったが、護衛といっても敵が現れない限りは追従するだけ。特に何もすることがないイヴリスは町までの長い距離を歩くのも怠かったので馬車の荷台部分でルインと共に早々に休息をとっていた。しかしそれを良く思わない兵士の一人がまた口を出してくる



「おい!そんな場所で寛いでいないでちゃんと歩け!」


「んぁ?別にここにいてもやることやってるんだからいいだろう」


「それのどこが役目を果たしているというんだ。いいから歩け!」



自分達と同じようにしなければ気が済まないのかしつこく荷台から出て歩くよう命令してくる。周りの兵士の様子を見るにイヴリスに小言を言ってくる兵士はどうやらこの隊の長のようだった

先程の失態を取り戻そうとしているのか単にイヴリスの事が気に入らないのか周囲にいる者達に聞こえるように言ってくる

くどくど言ってくる兵士長を相手しているとその間に周囲で異変が起こり始める。まだ距離は離れているがこちらに迫って来る魔獣の反応をイヴリスは察知した。馬車を警護している兵士達を見てみるが気づいた様子がないので教えてあげることにした



「こっちに構ってる暇あるのか?右斜め前方から魔獣が二体、20秒後にくるぞ」


「おい、話を逸らそうとしても無駄だぞ」


「いやそんなつもりはないが、もうそこまで迫って来てるから早く剣を構えた方がいいぞ。ほらそっちだ」



荷台で寝転がっているだけのように見えるイヴリスだが、実際は半径1km以内にいる生物の位置を特定する探知魔法を事前に仕掛けておいたので周囲の見張りは万全、しかし居場所を教えるイヴリスの言葉に聞く耳を持たない兵士長、他の兵士も兵士長の指示を待っているのか碌に戦闘態勢にすら入らなかった

そうこうしているうちに距離を詰めてくる魔獣は茂みを掻き分けこちらを襲える位置にまでやって来る。ガサガサと音が聞こえてきたところでようやく敵の気配に気づいた兵士達は武器に手をかけた。しかし武器を構えるよりも早く二体の魔獣が姿を現す



「ブラック・サーペントだ!」


「早く陣形を組め!」



ブラック・サーペントという蛇の魔獣が現れたことで急いで配置につこうとする兵士達、だがイヴリスと兵士長が言い合っている様子を見ていただけで戦闘態勢に入っていなかった為ブラック・サーペントの牙が届く方がどうしても早い。間に合わないと判断した兵士達は迎撃から防御に切り替えるがその行為は無意味に終わる

荷台で寛いでいたイヴリスはいつの間にかブラック・サーペントの前までやって来ていて、エアロカッターで二体の頭を一遍にはね飛ばした。頭と胴体が切り離されたブラック・サーペントはあっけなく事切れ動かなくなった

あまりに一瞬の出来事に兵士達は驚きを隠せないでいたが、一部始終を馬車の中で見ていたマーガレットは外に出てきてブラック・サーペントの死体を淡々と確認しだした。確認し終えるとイヴリスに語りかけてくる



「凄いですね、ブラックサーペント二体を一撃で倒してしまうなんて。それに鱗に傷がなくてとても良い状態・・・この魔獣の牙と鱗は頑丈で色々な用途に使い道があるのでいい値段で売れるんです。やはりイヴさんを雇って正解でしたね」


「そうか?ただの蛇と大差ないと思うが。そんなことよりこいつの肉は食えるか?」


「ブラック・サーペントの肉はクセがなくて美味しいですよ。淡白なので濃いめの味付けにするのがオススメです。キャロルは料理が得意なので今夜の食事で作ってもらいましょう」


「ほぉ、楽しみにしているぞ」


「が、頑張ります!」



魔獣の素材をいい状態で手に入れられたマーガレットは上機嫌だった。それとは対象的に先程まで指摘していた相手にまたしても助けられてしまった兵士長の静かに肩を震わせている様子をイヴリスは愉快に眺めていた

倒したブラック・サーペントはその場で血抜きを行い、持ち運べる程度の大きさまで解体してから移動が再開された。この戦闘があって以降兵士長が特に何か言ってくる様子はなく、魔獣もこちらに近づいてくる気配がなかったので荷台でのんびり過ごすことができた



「今日はここで野営しましょうか」


「分かりました。すぐ設営に取り掛かります」



数刻移動し続けようやく森を抜けると日が沈みかけていたので夜を迎える前に野営の準備が始まった

野宿をする予定がなかったイヴリス達は野営の装備を持ち合わせていないのでマーガレット達が使うテントで寝ることに。その際に大人しくしていた兵士長がやって来てテントの設営を手伝うよう命令してきたが、イヴリスもルインも当然テントの設営などやったことがないので壊すのは目に見えていた為それを拒否。かと言って何もしていないと小煩いので夕飯の支度をしているキャロルの所に行って手伝うフリをして難を逃れた

ブラック・サーペントの肉はキャロルの包丁捌きによって瞬く間に一口大の大きさへと切られていき、切った肉は小麦粉に纏わせ油を敷いたフライパンに次々と焼かれていった。それを見ていたルインは思わず口から滝が流れていた



「ねぇまだ出来ない?ルーもう我慢できないよぉ」


「る、ルイン様の分は今あちらで焼いてますのでもう少しお待ちを」



ブラック・サーペントの肉は二体分ある。全長4m近くある魔獣なのでイヴリス達の分は一体でも十分事足りるから残りの肉はルインのものに

焚き火でじっくりと炙った肉にキャロルが調合したタレを塗っていき更に焼いていくと香ばしい食欲をそそる匂いが漂って来る。そうして完成した肉をルインは美味しそうに頬張り、大量にあった肉を一欠片も残さず完食してしまった

マーガレットが太鼓判を押すだけあってキャロルの料理は野宿で食べる料理の域を遥かに超えていて格別なものだった



「ふぅ食った食った。さっ、腹も膨れたし寝るとするか」


「おい、見張りの時間があるのを忘れるなよ」


「安心しろ、防御障壁を張っておけば襲われる心配はない。万が一何か来たらまた助けてやるから、それじゃおやすみ」



それだけ言い残してイヴリスはテントの中へと入っていった。また何か言われると面倒なのでテントに遮音結界を張っておいた

流石に雇い主であるマーガレットがいるテントに突入してくるようなマネは出来ないようでその後は心地よい眠りにつくことができた




読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれていただけたら幸いです

次回は火曜日20時に投稿予定です。よろしくお願いします!

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