魔王、依頼を受ける
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次回は金曜日20時に投稿予定です。よろしくお願いします!
ならず者に襲われていた者達を助けたイヴリスは馬車の中にいる人物に話をしようと近寄る。わざわざこの人間達を助けたのは謝礼を受け取る為、前回町を出入りしている人間達を見た時馬車に乗っている人物は何人か見かけたが護衛を雇っている者はいなかった。恐らく護衛を雇うのには結構なお金が必要でただの一般市民が支払うのは難しいのだろうと予想、自分の命を懸けて依頼者を守らなくてはいなけいのだから高値になるのも納得はできる
その命をイヴリスが代わって助けたのだからそこそこのお金は貰えるだろうと考えていると護っていた兵士達が武器を向けてきた
「と、止まれ!それ以上こちらに近づくな!」
「ん?」
武器を構える兵士達の手は震えている。突然現れた名も知らない相手が敵とはいえ単身で鏖殺していく姿は端から見たら異様な光景だったのだろう
そんな敵か味方かも分からない状態で近寄って来られたら警戒するのは当然のこと。イヴリスはそれに対して特に思うところはなかったがルインはそうではなかった
「ねぇ、なんで助けてあげたあるじに武器を向けてるの?その武器を向けるってことはさっきの奴等と同じ敵ってことでいいんだよね?」
「うっ・・・!」
主であるイヴリスに武器を向けたことに毛を逆立て激昂するルイン、行動には移さないが今にでも襲いかかりそうな雰囲気で殺気を放っていた。殺気にあてられた兵士達は膝をつき意識が朦朧としている様子だった
そこにイヴリスが割って入り、ルインの頭を小突いて殺気を放つのをやめさせた
「あぅっ!」
「馬鹿、そんな事したら助けた意味が無くなるだろ」
「うぅ、でもあるじ~この人間達せっかく助けてあげたのにお礼もなしに剣を向けてきたんだよ?何かしてもらった時にお礼を言うのは大事だってマリ姉も言ってたよ?」
「礼は別の形で貰うからいいんだよ。お前は大人しくしていろ」
2人でゴチャゴチャと言い合っていると馬車の扉がゆっくりと開いた。中から現れたのはいかにも高そうなドレスを身に纏った女性とお付き侍女らしき半べその人間、女性は地面に降り立つと武器を構えていた兵士達に向けて指示を出した
「皆さん武器を下ろしてください」
「マーガレット様」
マーガレットという女性の言葉を聞いた兵士達はすぐさま武器を納め膝をつき頭を下げた。兵士達の行動でこの女性がそれなりの身分だという確信を得た
侍女を従えイヴリス達の元へと向かってくると今度はマーガレット自身が頭を下げてきた
「先程は失礼しました、この方達の行動は私を守ろうと思ってのものですのでどうかお許し下さい。そして助けて下さり感謝致します。お陰で命を落とさずに済みました」
「偶然居合わせただけだがな。感謝するがいい」
「貴様っ!マーガレット様になんという口の利き方を!」
イヴリスの言葉遣いが気に入らなかったのか兵士の一人が声を荒らげた。それによってルインがまた威嚇をする
このままでは話が進まないと思ったマーガレットが仲裁に入る
「皆さん、この方達がどのような発言をしても不問とします。よろしいですね」
「か、畏まりました」
「そちらの魔獣さんも申し訳ありませんがどうか怒りを収めてくれませんでしょうか」
「そういうことだから抑えろルイン、それとその姿でいたら萎縮させてしまうだろうし姿を変えるんだ」
臆する事無く語りかけてきたマーガレットに合わせルインを人の姿になるよう呼びかける
魔獣から人の姿へと変わる瞬間を見た兵士達は目を見開いていたが、マーガレットは表情を変えずにその様子を見守っていた
「これでいいの?」
「ありがとうございます。人の姿に変わることも出来るのですね」
「さて、落ち着いたところでこちらの本題に入るとしようか。お前達はこのならず者に襲われて殺されそうだったところを私達に救われた。そこに相違はないな?」
「そうですね、助けて頂いたのですから何かしらお礼をしないといけませんね」
「話が早くて助かる。今少し懐が寂しくてな、援助してもらえると嬉しいんだが」
予想はできていたがイヴリスが金銭の要求をすると後ろに控えていた兵士達はいい顔はしていなかった。元はと言えば兵士達が自力であの場を切り抜けることが出来ていればこちらが助けに入るという事態にはならなかったのだからこれは自分達の役目を全う出来なかった結果、どう思われようとその事実が変わることはない
マーガレットは少し考える素振りを見せた後、何か閃いたのかイヴリスに話を持ち掛けてきた
「申し訳ありませんが今お渡しできるような物を持ち合わせておりません。そこでご提案なのですが私達の護衛をお願いできないでしょうか?」
「護衛だと?」
「はい、お2人がいれば無事に町まで辿り着けるでしょうし同行をお願いしたいのです。勿論助けて頂いた分に上乗せした謝礼を差し上げますのでお互いにとって悪くない話だと思うのですが」
マーガレット達が向かう町はイヴリス達と同じホルストンの町、予定より到着が遅れてしまうだろうが付いて行くだけでお金が貰えるのは都合がいい。イヴリスはマーガレットの提案に乗ることにした
「いいだろう護衛してやる。そういえば自己紹介がまだだったな。私はイヴ、こっちはルインだ」
「ありがとうございます。私はマーガレット、こちらは侍女のキャロルです」
「よ、よろしくお願いします!」
通りすがりに人間達を助けたことで護衛の依頼を受けることになった2人、後ろの兵士達は何か言いたげな顔をしていたが無視。移動再開の準備が整うまでの間イヴリスは別の用件を済ませることにした




