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魔王、新たな魔獣の捕獲

新しい家の建築をゴルドに任せたイヴリスは次に野菜農園へとやって来た

そこでは先程案内をしてもらったネイチェルが育てている野菜の様子を樹の上から眺めながら樹から抽出した樹液のジュースのようなものを啜っていた

休憩中なのか完全に気が抜けていてイヴリスの存在に気づいていなかったようなのでこっそりと近寄って肩を叩く。気配もなく突然現れたイヴリスにネイチェルは飲んでいたジュースが喉に詰まったのか激しく咽せる



「ゲホッゲホッ!あ、あれイヴさん。あのドワーフさんの方はもういいんですか?なんだか凄い大きな音がこちらまで聞こえてきましたが大丈夫ですか?」


「あぁ、あっちで私がやれることをやってきただけだ。それよりも今度はお前に頼みがあるんだ。お前に・・・なんだったかな、こんな感じの果物を作って欲しいんだ」



イヴリスは町を出る前に宿屋の店主にその果物を教えてもらったが、名前を忘れてしまったので果物の特徴を思い出しながらネイチェルに作って欲しい果物を地面に描き始めた

紫色で丸い形をした(つや)やか果実が房に幾つもなっている果物、イヴリスが描いた絵を見たネイチェルはその果物の事を知っていたようで名を答えた



「恐らくそれはグレプスという果物ですね。それ位でしたら他の野菜のついでに育てられるので別にいいですけど、イヴさんって果物お好きなんですね」


「いや別に、私の目的その果物を使った酒だ。グレプスという果物を使った酒が呑みたくて作ってみることにしたんだ」



イヴリスは町で久しぶりにお酒を呑んだことで我慢していたものが抑えられなくなっていた。村で作れるようになればいつでも好きな時に呑める様になるし村の大人達にも呑ませてやることができる

料理にも応用することができる為食の幅も広げられるので一石二鳥、しかし実がなりお酒が完成するまでには日数がかかる。今すぐにでも呑みたいところだがもう暫くの辛抱とどうにか我慢しイヴリスはその場をあとにした



「じゃあ任せたぞ、私はまだやることがあるんでな」


「まだ何か予定があるんですか?いつもグータラと寝てばっかりだったのに珍しいですね」



ネイチェルに軽く毒を吐かれた事を気にする素振りも見せず別の目的を果たしにとある場所へと向かった

イヴリスがやって来たのは狼達が今住処としている場所、ここに来た理由は町でお酒の他にもうひとつ手に入れた情報、クリムシューの材料集めの為。あの味を知って以降イヴリスはお酒と同じ位クリムシューを求めている

そして今回手に入れようとしているのはクリムシューの要でもある生地の中に入っているクリームに使う材料の牛の乳と鳥の卵。この2つは町でも売っていたがあまり長持ちするものでないらしく、クリームには新鮮な物を使わないといけないので町での購入は一旦諦めていた。その他のレシピに書かれていた材料は粗方購入している

イヴリスであればその気になれば町に買いに行く事も出来る、しかし毎回町に入る度にお金を取られていてはすぐ底をついてしまうし男達から奪ったお金はもう残り少ない。ゴルドと町を出る前夜に後先考えずに吞み過ぎてしまったのが失態だった

この村の周りには広大な森がある。ここであれば牛や鳥位ならばすぐ見つけられるだろうと考え狼達を使う事にした



「狼達よ、今回は狩りは狩りでも生け捕りだからな。間違っても殺したりするんじゃないぞ」


「アオン!」


「よし散れ!捕まえたら私に報せに来るんだ」



狼達に指示を送りイヴリスの合図で何組かに分かれて森の中へと入っていく。イヴリス自身が探さないのは楽をしたいというのもあるが、それとは別の理由がある。何度か森に足を踏み入れているイヴリスだが、今まで魔獣が襲いかかってくることはおろか野生の動物と遭遇したケースが一度もない

村を襲おうとしていた狼達の前に自ら現れた例外を除いて生物の本能がイヴリスのことを避けているのかもしれない



「バウッバウッ!」


「おっ、早速捕まえたようだな」



狼達が早々にイヴリスの元にやって来て捕らえた獲物を見せてきた。しかしそう都合よく目的の牛や鳥の獲物を見つけ出すことは出来なかった

広い森には様々な種類の生物がいる為、標的を絞って捕まえるとなると狼達でも骨が折れるようだった

一日目では見つけ出すことは出来ず、探索は二日目に突入した。その日も中々目的の獲物が見つけ出せず悪戦苦闘していた。イヴリスは面倒だが苛立ちを募らせるよりはマシかと自らが探しに出ようとした。するとちょうどタイミング良く親玉の狼が戻って来てイヴリスに向かって吠えてきた

普段と違う様子の鳴き声で呼んでくる親玉について行ってみると森の中から狼よりと更に大きい体格をしている牛が現れた



「ようやく見つかったな、しかも奴らも群れじゃないか。これは丁度いい」



探すのに苦労した分単体ではなく集団となって現れてくれた牛達の数はパッと見ただけでも20頭は確実にいる。まだ全ての牛が乳を出すのか分からないが、これだけいればまず間違いなく乳を出す牛は見つかるだろう

ようやく見つけることができた獲物に喜んでいるのも束の間、牛達は包囲を抜けようと狂ったように暴れだした。数百キロはある巨体が束となって暴れる様はかなり迫力があり流石の狼達も迂闊には近寄れなかった

その中の一頭が血迷ったのかイヴリスの方へと突進していく



「まぁ一頭位いいか、今日は牛のステーキ祭りだ」



イヴリスはもの凄い勢いで突進してきた魔獣の角を片手で掴み何事もないかのように受け止めた。牛は必死に地面を蹴り角で串刺しにしようと頭を動かすがビクともしない。抵抗する牛をイヴリスはそのままゆっくり持ち上げていくと樹の幹へと投げつけた

背中部分から諸に叩きつけられた牛は凄まじい音の後地面に口から泡を出しながら倒れていった

それによって暴れていた牛達は動きを止める。その隙にイヴリスは牛達を拘束する魔法を発動する



集団捕縛(マス・アレスト)



複数の相手を一度に拘束する魔法で牛達を次々と捕らえていく。抵抗された場合拘束力を強めなければらなかったが、抵抗したら樹に叩きつけられた牛と同じ末路を辿ると本能的に察知したのか他の牛達は大した抵抗を見せなかった



「よし、これで乳の方は大丈夫だろう。次は卵だな」



クリーム使う材料のうち片方は入手、次なる材料を求めてイヴリスと狼は更に森の探索を続けた



読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれていただけたら幸いです

次回は水曜日20時に投稿予定です。よろしくお願いします!

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