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魔王、人材を見つける

「さて、店主からこの町の地図も貰った事だし人材探しをする・・・ん?この匂いは・・・」



宿を出てこの町来た目的である人材探しを開始したイヴリスだったが、歩いて数分のところでピタッと足が止まってしまった。風と共に漂ってきた匂いの元を辿って行くとその先には幾つもの出店が開かれていた

その出店目当てで通りを歩く人間達でそこは大いに賑わっていた。イヴリスもその1人となり肉や魚の焼けるいい香りにまんまと誘き寄せられて色んなものに手を出してしまった



「あれも!これも!ここはまるで天国だな!おっ、あっちのやつも美味そうだな!」



朝食を食べたばかりだというのに次々と屋台の料理を購入していく。昨日何人も酔い潰すまで呑んだというのにまるでそれがなかったかの様な食べっぷり

飲食の他にも装飾の類の出店をあったが、イヴリスはそれには目もくれずひたすら食べ物を口に放り込んでいて正に花より団子状態だった

そんな食に夢中なイヴリスの鼻が今度は甘くいい香りがするお店を捉えた。匂いにつられてそのお店の方へと向かっていくとお店の前には見たこともない



「店主よ、この丸くて柔らかそうな食べ物はなんだ?」


「お客さんクリムシューを食べるの初めてかい?甘くて美味しいから是非食べてってよ」



店主に言われ1つ試しにと購入し手にする。少し力を込めるだけで潰れてしまいそうな柔らかな生地を割ってみると中から黄色くてドロッとした液体の様なものが垂れてきた

零れそうになり慌ててそれを口にした瞬間、イヴリスの脳にて電流が走った。今まで食べてきたどの料理とも異なる他のとは明らかに違う

口に入れた瞬間舌触りのいい柔らかな生地の感触がやってくると濃厚なクリームの甘みが口いっぱいに広がっていった。初めて体験するその味にイヴリスは数百年ぶりに興奮した



「なんだこのクリムシューという甘味は!フワッとした生地の中に入っている甘くてトロッとしたものは乳と砂糖か?こんな甘くて美味い食べ物は初めて食べたぞ!」


「あっはっはっはっ!随分気に入ってくれたようだねぇお客さん」



魔王国での甘味といえば主に果実でこうした食材を加工して作られたものは出されたことがない。果実をそのまま食べるならお酒にしてしまった方がいいし特に食べたいとも思わなかったイヴリスは、自分の中ではあまり甘いものは好むところではないと思っていた。が、今食べたクリムシューによってそれは間違いだったことに気づかされた

ふと我に返るといつの間にか手にあったクリムシューは消えていた。どうやらあまりの美味しさに体が次を欲して無意識に手がクリムシューを口へと運んでいたらしい



「残っているクリムシューを全部貰おう!それとこれの作り方を教えてくれ!頼む!」


「ちょっ!よしてくれよお客さん!作り方なんてそこら辺に売ってる本にでも書いてあるからそれ位全然教えるから!こんな所で頭下げられてちゃ商売に・・・えっ?全部買うの?」



ルカの時と同様地面に頭を擦り付けレシピの教授を請うイヴリスは無事店主からクリムシューを買い占めレシピを聞き出すことに成功した

レシピと材料さえあればあとはルカの母カミラに作ってもらうだけ。そうとなったら善は急げでイヴリスはこの食べ物を必ず村で作れるようにしようと決意して材料の買い出しへと走った。本来の目的をまた忘れて

翌日、正気を取り戻したイヴリスは今日こそはと前日購入したクリムシューを片手に本来の目的である人材を探すことに

宿屋の店主から貰った地図のお陰で建築関係に強い人材は思いの外早く見つかった。しかしそこからが中々思うようはいかなかった



「そんな辺境に村があるなんて初めて知ったな」


「ていうかこんな遠い場所まで行けねぇよ。てかアンタよくそこから来ることができたな」



誰もイヴリスが来た村の存在を知らないようで話しても首を傾げるばかり、大体の場所を伝えてもやはり人間にはかなり遠い場所の上魔獣等に襲われる危険もある為、そんな遠くまで行くような仕事を請け負う物好きはいないと言われてしまった。仮にいたとしてもかなりのお金が必要になるとも付け加えられた

何件も回っては同じ様な断られ方をされた事でイヴリスは徐々に苛立ちを露わにし、挙句の果てには一人位連れ去ったところでバレはしないだろうと半ば無理矢理職人を連れていこうとした。それがちょっとした騒ぎとなってしまいイヴリスの顔は職人の間で要注意人物として広まり、余計村に呼ぶのが難しくなってしまった



「目当ての人材を捕まえるというのも中々難しいものだなぁ。うーん、どうしたものか・・・」


「いい加減にしろ!」



これからの事を考えながら道をぶらぶらと歩いていると突然怒鳴り声が聞こえてきた。声のした方に行ってみるとそこには二人の男性がいて片方は突き飛ばされたのか地面に尻もちをついていた



「た、頼む。ここでもダメだったら儂はもう行く当てがないんじゃ」


「知るか!魔工が出来ないドワーフなんて価値がないんだよ!さっさと店の前から消えないと衛兵に突き出してやるからな!」



突き飛ばした男はそう捨て台詞を吐くと扉を荒々しく閉めて鍵をかけた。その場には無精髭を生やした小柄な男性とその場を偶然目撃したイヴリスだけが残された




読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれていただけたら幸いです

次回は火曜日20時に投稿予定です。よろしくお願いします!

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