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魔王、お金を調達する

「いやぁ助かったぞ、一時はどうなる事かと思った」


「なぁにいいってもんよ。困った時はお互い様だろ?」



町の入口でお金が必要だという事を知り一銭も持たず困り果てていたイヴリスに救いの手を差し伸べてきた見知らぬ男性数人組、男達のお陰により無事町の中に入ることが出来たイヴリスは町に来て早々いい人間と巡り会うことができたと感じていた



「しかし困ったな、金が必要というのは完全に失念していた。お前達、金を手に入れるにはどうしたらいいか分かるか?」


「その様子だと姉ちゃん全く金を持ってねぇみたいだな。金が欲しいなら方法は幾つかあるが・・・姉ちゃんなら短期間でかなり稼げる方法があるぞ」


「何!本当か!その方法とやらを教えろ!」


「まぁまぁ落ち着けって、ちょうど俺達もそこへ向かうところだったから案内してやるよ」



お金が必要なイヴリスはその言葉に飛びつき男達について行くことを決めた。野宿をする為の道具は村を出る時に持たされたので外でも一夜を過ごせるが、目の前に町の宿があり柔らかいベッドと温かい料理があるのだからそっちでゆっくりと休みたいのは当然のこと

男達の案内に素直に従い後ろをついて行くと段々と人気のない暗がりの場所へと進んでいった



「おい、大通りから外れたみたいだがこっちが近道なのか?」


「あ?あぁそうだな」



男達同士で何やら話し合っていてイヴリスからの質問は適当に流された。それが少し気に食わなかったが宿に泊まる為だと何も言わずに後ろを歩いた

町に入る頃は見えていた夕陽も完全に沈み大通りの方には明かりが灯る。その明かりを避けるようにイヴリス達は暗がりの方へと進んでいく

暫く歩いたところで男達が一軒の民家で立ち止まった。辺りを念入りに見渡し周りに人がいない事を確認すると扉を開けて民家へと入っていったのでイヴリスもそれに続いた

中に入ってみるとカーテンがされていて薄暗く、部屋の中には最低限の家具しか置いておらず生活感が感じられない。お店という雰囲気でもなさそうでここが男達の言う稼げる場所だとは思えなかった



「なぁ、ここが金を稼げる場所なのか?そんな風には見えないんだが?」



イヴリスが問うと後ろに立っていた男がおもむろに扉の鍵を閉め出口を塞いだ。すると下卑た笑みを浮かべて男達がゆっくりとイヴリスに詰め寄ってくる



「まさか俺達が本当にただの善意で助けてやったと思ってるのか?おめでたい奴だぜ」


「何っ?違うのか?」


「当たり前だろ、誰が無償で人助けするかよ」



町に入ることは出来たが今度は別の問題が起きてしまった

お金を返そうにも売れそうな物も持っていない。一銭も所持していないイヴリスにはどうすることもできない

それを承知で男達は強気に迫ってくる



「払ってやった分はしっかり返してもらわねぇとなぁ」


「いやだから金は持っていないと言っているだろ」


「別に金で返さなくてもいいぜ。その代わり・・・その体で払ってもらおうか」



そう言うと男はイヴリスの肩を掴み勢いよくソファへと押し倒した。息を荒くし舌なめずりをしながらイヴリスの身体を吟味するかのように頭からつま先まで見つめる

その目は己の欲求を吐き出す事だけしか考えているようにしか見えなかった

ソファに仰向けにされたイヴリスはそれを見て顔を顰める。自身の美貌に絶対の自信を持つ彼女はそういった目線を向けられるのは当然の事だと思ってい気にも留めないが、こうも露骨に性欲をぶつけてこようとする輩相手に対してでは流石に不快に感じてしまう



「おい、今なら見逃してやる。さっさと私の前から消えろ」


「おーおー怖いねぇ。こんな上玉とヤレるっていうのに引き下がるわけないだろ」


「途中で泣き喚いても止めてやらねぇからな、ヒヒヒヒッ!」



イヴリスの警告を聞かずに服を捲り胸部へと手を伸ばす。そして男の手が胸に触れた次の瞬間、男の腕は胴体から切り離され無残にも床に落とされた

あまりに一瞬の出来事で男は自分の腕が無くなったことを認識するのに数秒の時間を要した。落ちた腕が自分のだと認識する頃には断末魔の様な叫び声を上げた



「ぎゃああああああ!!!う、腕が!!!」


「な、なんだ今の!お前がやったのか!」


「喧しいな。遮音(サイレンス・)領域(テリトリー)



イヴリス達がいる部屋一帯に範囲魔法を発動、この魔法によりどれだけ叫び声を上げたとしても外に漏れることはなくなる。騒ぎ続ける人間達を余所に押し倒されたイヴリスはそのままソファで寛ぎながら男達に向けて言葉を放った



「たとえ一瞬であろうと体を触らせてやったんだからこれで払ってもらった分はチャラだな。それとは別にこの私の胸を触った対価は貰うぞ」


「な、なんだこいつ・・・やべぇよ逃げよう!」


「ビビってんじゃねぇ!全員で囲んで殺っちまえ!」



一人の男の合図によりイヴリスを包囲、全員が体に忍び込ませていたナイフを片手に一斉に襲いかかってくる。男達は先程まで性のはけ口としか見ていなかった目の前の女性に不気味さを感じ本気で殺しにいった

しかしそんな攻撃もイヴリスの目から見たら子供がじゃれて来ているようなもので、ナイフを持ったところでなんの恐怖も感じられなかった

ナイフの刃がイヴリスに触れようした瞬間男達は四方の壁へと吹き飛ばされる。それぞれの腹部には蹴られた後の足の形がくっきりと残されていた

男達は床に倒れるとピクリとも動かなくなった。それを見ていた最初に腕を落とされた男は慌てて外へ逃げる為に扉の方へ向かい鍵を開けようとした。しかしポケットにしまっていた筈の鍵が無くなっていることに気がつき更に混乱に陥る



「探しものはこれか?」


「い、いつの間に・・・!うげっ・・・!」



男がイヴリスを押し倒したあの時、男のポケットに入れてあった鍵を目で追うことの出来ない速度でちゃっかりと盗んでいた

最後の男を意識を刈り取り他に意識が残っている者がいないか確認した後、部屋で倒れている男達の持ち物や懐を漁り始めた

イヴリスの目当てはお金、当初は別の形で手に入れられると思っていたがこの様な結果になってしまったので男達から当面の生活資金を頂くことに

暫く男達の持ち物を漁っていると袋の中一杯に詰められたお金を見つけ出した



「これがどれ位になるのか分からないがまぁなんとかなるだろ。お前達、この程度で済んだ事に感謝するんだな」



声をかけるが男達からの返事はない。目を覚ました時に騒がれたらこの町に居づらくなってしまうので、記憶を消す魔法"記憶消去(メモリーイレイザー)"で男達全員から自分と出会った事を完全に消去しておいた

怪我の方も不本意ではあるが元に戻し男達が目を覚まさないうちにその場をあとにした




読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれていただけたら幸いです

次回は金曜日20時に投稿予定です。よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] そのまま転がしといてもよかっただろうに、ずいぶんとお優しい対応だこと
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