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【旧版】うちのモフモフこそが最強!  作者: あきさけ
第9章 次なる街へ出発です!
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87.ボク自身も強化しましょう!!

 さて、晩ご飯も食べ終わって夜のログインです。

 ログインすると、すぐにメールの着信アイコンに気がつきます。

 相手は……カースドジャガー狩りをしていたクラウスさんからですね。

 内容は、『カースドジャガーの牙を9つ買い取りたい』といったところでしょうか。

 提示された金額を取引記録から調べてみると、相場の1.5倍を提示してくれていますね。

 それだけ、このアイテムが欲しいのでしょう。

 牙が9個あることを確認したボクは、承諾の返事を返します。

 すると、すぐに返信が帰ってきて、今すぐにでも取引したいそうです。

 場所はこちらで指定していいそうなので、『瑠璃色の風』を指定しました。

 あちらも『瑠璃色の風』の場所は知っているらしく、すぐ向かうということなので、ギルドの入り口前で待たせてもらいましょうかね。


「やあ、待たせてしまったかな。申し訳ない」

「待ってたのはボクの勝手だから、気にしなくてもいいんだよ。それよりも取引のほうが大事じゃない?」

「それもそうだ。提示した金額でかまわないのか?」

「ボクは問題ないですが、なにか理由があるのです?」

GW(ゴールデンウィーク)が始まっただろう? GW後半でPvP大会があるんだよ。それに使う装備の強化素材のひとつが『カースドジャガーの牙』だったんだ。ただ、今日は、ドロップ運に恵まれなくてな……」


 うん、物欲センサーはオンラインゲームあるあるですね。


「そういうわけで、パーティとして9つも足りてないんだよ。済まないが、この値段で売ってくれ」

「ボクとしてはPvPに興味はないし、マーケットに流すのも面倒なのでまったく問題ないですよ」

「そうか! 助かった!」


 クラウスさんは大喜びですね。

 早速、トレード画面を出して、お互いに条件のアイテムと金銭をトレードします。

 うーん、また小金持ちになってきた気分ですね。


「……そういえばリーンちゃんの装備って、一式カースドジャガー素材か?」

「はい、そうですよ。大量に倒したので、在庫に余裕があったのです。それを使って一式仕立ててもらいました」

「……ってことは、まだまだカースドジャガーの素材はあるってことか」

「数にばらつきはありますが、結構な量を持ってますよ」

「それだったら、マーケットに流してみるのもいいかもしれないぞ?」


 おや、ここでマーケットの話ですか。

 クラウスさんが買い取りたいのかと思ったのですが。


「カースドジャガーの素材で作った装備は即死耐性も付くだろ? あれがPvPでは必要な場面があるんだよな」

「そうなのですね。でも、防御力は上位プレイヤーさんたちが使うような性能じゃないと思うのですよ」

「そこは防具のグレードアップで対処するのさ。グレードが上がれば、即死耐性のランクも上がるしな」


 なるほどなるほど。

 それは勉強になりますね。


「ちなみに、即死攻撃ってそんなに多いのですか?」

「モンスター相手ならそこまで警戒する必要はないけどな。プレイヤーが相手だと、ちょくちょく飛んでくるんだよ。そういうわけで、即死耐性は持っておくと超便利なんだよね」


 それはいいことを聞きました。

 そういうことなら、余っている分の素材はマーケットに放流してみましょうか。


「ああ、そうそう。急ぎでお金が欲しいならともかく、いまのマーケットの相場は今後の相場に比べて低いほうだから、いまの相場よりも少し上くらいにしても十分に売れるよ。そこの判断は君次第だけど」


 それはまたいい情報ですね。

 できるだけ高く売り抜けたいものです。


「俺から教えられるのはこの程度かな。それじゃあ、君も頑張ってくれ」


 話したいことが終わったらしい、クラウスさんは上機嫌な様子で帰っていきましたよ。

 これから、牙を使った強化をするのでしょうね。


 ……強化で思い出しました。

 ボクの使ってる蛇腹剣、これに魔法攻撃力強化を加えることってできないんですかね?

 回復魔法と攻撃魔法、両方が強化されれば完璧なのですが。

 やっぱりこういうことは、一番詳しい人に聞いてみましょう。


「で、俺のところに聞きに来たってわけか」

「やっぱり武器の専門家はガイルさんなんだよ」

「その認識は間違っちゃいないな。それで、攻撃魔法強化、つけたいのか?」

「え、つけられるの?」


 あまりにも当たり前なことを聞いたように、簡単に返されたんだよ。


「つけられるぞ。装備には追加効果をつけられる枠があってな。その枠の範囲内だったら、安全につけることが可能だ」

「つまりその枠を飛び出して追加効果をつけることもできると?」

「まあな。ただ、一定確率でアイテムロストするからおすすめはしないな。それも、序盤の武器には」

「ですよねー。それで、攻撃魔法強化をつけるにはどんな素材が必要なのかな?」

「そっちは俺が用意してやるよ。値段は……ざっとこんなものか?」


 ガイルさんが用意した紙には、追加する効果の内容と必要金額が書かれてたんだよ。

 一番安い『攻撃魔法強化Ⅰ』だと五千で済むけど、強化割合は3%と誤差の範囲。

 一番高い『攻撃魔法強化Ⅳ』だと三十万もするけど、強化割合はなんと15%。

 ……これは、強化Ⅳの一点買いでしょう!


「ちなみに、ガイルさん。回復魔法強化も似たような感じだったのかな?」

「回復魔法強化はもっとたけーんだよ。リーンに渡した上昇Ⅱで7%の効果上昇だが、二十万もするんだぜ?」


 確かにそれは高いんだよ。

 それなら、回復魔法のほうのランクが低いことはやむなし、かな。


「ガイルさん『攻撃魔法強化Ⅳ』をつけて欲しいんだよ」

「Ⅳだな。……ちなみに、金はあるのか?」

「カースドジャガーの素材が売れたから、ちょっとだけリッチなんだよ」

「ああ、今年も武闘大会の季節だもんな。カースドジャガーの素材を売り抜くなら、今がチャンスだぞ」

「それはさっきも教えてもらえたんだよ。それじゃあ、付与をよろしくね」

「おう、すぐ終わるから待ってろ」


 カイルさんは、背後にあった箱からよくわからないものをいくつか取り出したんだよ。

 きっと、あれが攻撃魔法強化Ⅳのための素材なんだね。


「さて、それじゃあ、追加効果をつけるが……この武器のランクじゃ、これ以上の追加効果は望めないぞ? 新しい効果が欲しくなったら、既存のものを上書きか。超過付与を試すしかなくなる」

「超過付与って?」

「さっき言った、安全な追加枠を越えて付与するやり方だよ。一個目の超過で成功率50%前後って話だから、滅多にやらないけどな」


 なるほど、それは大事なんだよ。


「攻撃魔法強化Ⅳで大丈夫なんだよ。もし、別の効果が欲しくなったら、その時に相談で」

「わかった。それじゃ、やってしまうぞ」


 ガイルさんが素材と剣を並べた板の上に手を触れると、魔法陣みたいなのが浮かび上がって全部の素材が剣に吸い込まれていったんだよ。

 これで終わりなのかな?


「さて、これで作業終了だ。結果を確認してみてくれ」

「わかったんだよ」


 鑑定した装備アイテムの結果は、次のようになってたね。


 蛇腹剣・攻撃・回復魔法強化Ⅱ型(ATK+25・MATK+40・回復魔法効果上昇Ⅱ・攻撃魔法強化Ⅴ)


「ガイルさん、攻撃魔法強化ⅣじゃなくてⅤになってるんだよ」

「ああ、それな。たまに、大成功して、一段階上の効果になるんだわ。実質、得しかないんだしそう言うモンだと思っとけ」

「わかったんだよ、ガイルさん。それじゃあこれ、代金だよ」

「……確かに受け取った。頑張れよー」


 さて、武器も強化できたし、防具は強化したまま。

 アクセサリー類はたまにマーケットを探してみるけど、ネームドモンスターたちからもらったものには及ばない。

 となると、あとは、ボク自身の強化ですね。


 まずは、まったく振っていなかったBP(ボーナスポイント)

 これを各ステータスに割り振りましょう。

 即死を避けるために、VITは少し大目、それからINTとMNDも大目ですね。

 残りはDEXとAGIでいいでしょう。

 STRは……諦めました。


 次にスキルの進化や新しいスキルの取得です。

 まずは、習得条件を満たしていた、【雷魔法】と【爆裂魔法】を覚えます。

 【雷魔法】は、シズクちゃんが使っているスキルなので割愛。

 【爆裂魔法】は詠唱とリキャストタイムが長い代わりに、一撃の威力が大きい魔法ですか。

 使いどころを選びそうですね。

 そして、【火魔法】と【風魔法】も進化です。

 それぞれ【火炎魔法】と【暴風魔法】となりました。

 名前もかっこよくなりましたし、期待大ですねこれは!

 それから、取得可能スキル一覧を探していると、【魔法使用時MP消費軽減】なんていうスキルも覚えられるようになってました。

 どの程度の効果があるかわからないし、必要SPも15とお高めですが、入手しておきましょう。


 さて、それでは、マーケットに使わないカースドジャガーの素材を売りに出したら、またスケルトンホイホイに出発です!

いつもお読みいただきありがとうございます。

毎回の誤字報告本当に助かっています。

感想もありましたらよろしくお願いします。


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