79.ホーリーフレイムジャガーから話を聞きましょう
リターンホームと女神像を使って、アインスベルに戻り、ギルドからマイホームにアクセスです。
ただ、マイホームまで戻ってきたのに、ブレスの姿が見当たりませんね?
「ブレスー、戻りましたよ。どこにいるんですかー?」
とりあえず、呼びかけてみます。
庭はそれなりに広いですが、パートナーたちは耳がいい子も多いですからきっときてくれるはずです。
すると、林のほうからブレスが走ってきてくれました。
『おお、すまないな。森の中で休んでいたのだ』
ブレスは林エリアがお気に入りのようです。
そういえば、林と森の境目ってなんなんでしょうね?
『それで、私に聞きたいことはなんだ?』
「おお、そうでした。まず、還らずの森ってなんなんです? アンデッドモンスターがウジャウジャしてますが」
『還らずの森か。簡単に言ってしまえば、呪いが凝縮されて作られた場所、となる。あのスケルトンや、ゾンビどもは呪いから生み出されたモンスターだな。実際に、人間の死体を核にしているわけではない……はずだ』
「そうなのですね。では、次ですが……」
「ちょっと、リーン。私にも説明してくれる?」
「ああ、サーシャ。まだブレスの言葉がわからないのでしたね」
二度手間ではあるのですが、ブレスから聞いた内容を、サーシャにも説明します。
それで、ブレスにいろいろ聞いてわかった内容なのですが、
・還らずの森は呪われた土地
・モンスターは呪いの集合体
・呪いの元凶は森の深部からいける鍾乳洞の奥にある
・元凶を破壊すれば、一時的に呪いから解放されるが、一日程度で復活してしまう
・元凶はモンスターの形をとっていることが多い
・カースドジャガーは呪いから生み出されたモンスターではなく、還らずの森の守護者的存在
・元を正せばホーリーフレイムジャガーだったが、還らずの森に長期間いたせいで変質してしまった
・いまはカースドジャガーがいなくなっているが、少し経てばまた新しいカースドジャガーが現れる
とのことでした。
カースドジャガーが、呪いの元凶に近づけさせないための番人をしているとはビックリですね。
そして、ホーリーフレイムジャガーのほうが本来の姿というのに二度ビックリです。
『ほかに聞きたいことはないか? もっとも、私の知っていることはほとんど話し終えたが』
「そうですね……。最後に、ブレスの好物を教えてください」
『……ふむ、好物か。おおよそなんでも食べるが、果物がいいな。しばらく食べていないので、どんなものがいいかまでは答えられないが』
……このゲーム、動物系パートナーが果物だったり野菜だったりを好物としてることが多すぎじゃないですかね。
普通、ジャガーとかだったらお肉でしょう、お肉。
「それでは、適当に果物を用意しますので、食べ比べてみてください」
『わかった。ごちそうになろう』
ジュースとかを作るために用意していた果物を、インベントリから取り出し並べていきます。
こうして取り出してみると、結構な種類を持ち歩いているのがわかりますね。
ブレスも取り出したものを順番に食べていきますが、どの果物もすべて平らげています。
そして、ボクが用意した果物を全部食べ終えました。
結構な量だったのですが、身体も大きいですし、大食漢なのですかね。
『ふむ。果物ならばどれも美味しかったのだが……。いま食べたものの中では、柿が一番好みに合ったかな』
「なるほど、わかりました。それでは明日から、できる限り柿を用意してあげましょう」
『すまぬな。またなにかあったら呼んでくれ』
話を終えたブレスは、また林エリアのほうに帰っていきます。
……とりあえず、【意思疎通】スキルのレベルが上がれば、いろいろなパートナーと会話できるようですね。
そして、仲間になってくれたパートナーからも情報を得られるようです。
これは、とても便利なことですよ。
「……ふーむ。どうやら、還らずの森ではカースドジャガーとホーリーフレイムジャガー、両方を仲間にできるみたいね」
先程から黙っていたサーシャが、そんなことを言い出しましたよ。
カースドジャガーを仲間にできるとは、どういうことでしょう?
「そうなの? でも、カースドジャガーには、話が通じそうな気配はなかったんだよ」
「解呪してホーリーフレイムジャガーになった場合は、直接交渉して仲間にできるみたい。だけど、カースドジャガーを仲間にしようとしたときは、普通に倒す寸前までダメージを与えてからテイムなりコントラクトなりをする必要があるらしいわ」
「そうなんだよ。つまり、普通のモンスターを仲間にする方法と同じなんだね?」
「そうらしいわ。……リーン、今日はあなたの予定に付き合ったんだから、今度は私の手伝いをしてよね」
「サーシャもホーリーフレイムジャガーを仲間にするのです?」
「いいえ。私はカースドジャガーを仲間にしたいわ。ホーリーフレイムジャガーだと、クラウドドラゴンと立ち位置がかぶるのよね」
そういえば、クラウドドラゴンは【太陽魔法】を覚えてるって言ってましたね。
ホーリーフレイムジャガーも【太陽魔法】を使えますし、確かにかぶってしまいます。
……でも、カースドジャガーに勝てるかどうかがわからないんだよ?
「カースドジャガーを解呪してホーリーフレイムジャガーを仲間にした場合、現実時間で八時間はボスが復活しないみたいだから、今日は無理ね。明日から、頑張ってカースドジャガーを仲間にするわよ!」
「わかったんだよ。でも、そんな簡単にいくかなあ?」
「よく考えてみれば、私もあなたも【飛行】と【騎乗】を持ってるパートナーがいるじゃない。それならカースドジャガーがいる場所までひとっ飛びよ。パートナーたちは、直前の壊れた女神像で準備すればいいんだし」
……確かに、その通りなんだよ。
ボクはアクアに、サーシャはブレンに、それぞれ乗って空から行けば、モンスターと戦わずにいけるはずだね。
「まあ、アーチャーやマジシャンの魔法くらいは飛んでくるかもだけど、躱しながら進めば問題ないでしょう。それじゃ、そういうことで頼むわね。リーン、また明日」
「また明日なんだよ」
さて、サーシャも帰っていきましたし、ボクはどうしましょうかね。
明日に備えて、ポーションの大量生産しましょうか。
……サーシャのコントラクトが、早くすみますように。
モンスターも仲間にできれば色々情報を聞けるんだよというお話。
ホーリーフレイムジャガーはボスですから、結構詳しい情報も聞き出せます。
なお、リーンたちは呪いの元凶とか興味ないので、そっち方面には行きません。
……本編では使わないバックストーリーとか書いてみたかっただけなんじゃ。
……あと1話でこの章終わるかな?





