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【旧版】うちのモフモフこそが最強!  作者: あきさけ
第8章 シズクちゃん進化です!
78/115

71.ユエさんからの相談です!

 さて、夜になりましたよ。

 寝る支度も終わったので、ログインしなければ。


『瑠璃色の風』にログインすると、すでにユエさんが待っていたのですよ。

 約束の時間には、まだ早いはずなのですが……。


「ユエさん、お待たせなんだよ」

「ああ、リーンちゃん、こんばんは」

「待たせちゃったかな?」

「ユーリとも話をしておきたくて早く来ただけだから大丈夫よ」


 そうだったのですか。

 でも、ユーリさんはいませんね?

 そのことを訊ねてみたら、ユーリさんは用事があって出かけていったとのこと。

 なんでも、最近入った新人さんのお供だそうで。


「うーん。ボクもそういったことをしたほうがいいのですかね?」

「リーンちゃんは大丈夫だと思うよ。まだまだ、他の人を手伝いながら戦うのは難しいだろうし」


 むむ、言われてみると確かにその通りですね。

 ボクの場合、パートナーによる数の暴力で勝つのがほとんどです。

 なので、それを新人さんに教えるのも難しいですね。


「そういうことなら、声をかけられるまでなにもしないでおきましょう。それで、ユエさんはボクになんの用事だったのかな?」

「そうね、本題に入りましょうか」


 ユエさんは姿勢を正して、こっちを向いたんだよ。

 うーん、そんなに大事なことを話すのかな?


「えっとね、リーンちゃんには私がやっている『パートナーの進化データ調査』を手伝ってほしいのよ」

「『進化データ調査』ですか。すごいことをやっているのですね」

「そうかな? ホームページで、進化データとかパートナーデータを載せるには必要なことなんだけど」


 なんといいますか、非常に大変そうな話が出てきたんだよ。

 かなり時間と労力がかかりそうな話なのですが、ボクで大丈夫なんでしょうか?


「それって、どんなことをすればいいのかな?」

「うーん、私がほしいのは、ライトニングシーズー、つまりシズクちゃんの進化データなのよね」


 ふむ、シズクちゃんですか。

 確かに、シズクちゃんはまだ進化前ですね。


「わかりました。でも、シズクちゃんと同じ種族の進化データは揃っているんじゃないですか?」

「……それがね、揃っていないのよ。ライトニングシーズーをはじめとした、四大魔法パートナーたちは」


 四大魔法パートナーですか。

 そっちも気になりますが、まずはライトニングシーズーの話ですね。


「ライトニングシーズーって、そんなに人気のないパートナーなのです?」

「ええと、初期パートナーに選ぶ人は珍しいね。攻撃力は高いけど、燃費が悪いせいで連戦には向かないから。初心者の間はとにかくたくさんの敵を倒さないとレベルが上がっていかないし」


 なるほど、確かにその通りです。

 ボクの場合、ガイルさんやユーリさんが手伝ってくれたおかげでほかのパートナーも入手できました。

 でも、普通だと、自力で新しいパートナーを手に入れなければいけませんし、ライトニングシーズーではオーバーキルなんですよね。


「ライトニングシーズーが初心者に向かないのは納得できたのです。でも、初心者以外だと仲間にしている人はいるんですよね?」

「そうね、それなりにいるはずよ。ライトニングシーズー、マグマポメラニアン、アイスペルシャ、ブラストシャム。これらの四大魔法パートナーは、燃費が悪い代わりに大火力を持っているからね。ここぞって場面で優秀なのよ」


 ほほう、シーズーのほかにポメラニアン、ペルシャ猫、シャム猫ですか。

 これは是非コンプリートしたいですね!


「それなら、情報もそれなりに集まりますよね? ……ユエさんってあまり人脈が広くないとか?」

「そんなんじゃないわよ。……確かに、人見知りはするけど、テイマーやサマナーの知り合いは多いもん」


 おっと、地雷を踏んでしまいましたかね。

 ここはさっさと話題を切り替えましょう。


「それで、シズクちゃんのどういう情報がほしいのです? 進化したあとのステータスとか?」

「……ああ、その話をしなくちゃね。私がほしいのは、派生進化ができるかどうかって情報なの」

「派生進化ですか。ライトニングシーズーも派生進化するのですね」

「ええ、する……らしいわ」


 うん?

 らしいってどういう意味かな?

 ユエさんの言葉に首をかしげていると、補足説明をしてくれた。


「リーンちゃんは派生進化について知ってるよね?」

「はい。正統な進化先ではなく、別の分野に特化した進化やより強力な種族へ進化することですよね」

「よくできました。その通り、正統進化以外のものをひとまとめにして派生進化って呼んでいるのよね」

「でも、それがどうかしたんです?」


 派生進化自体は、いままで何回か自分のパートナーたちで体験してきました。

 それ自体は、珍しいことでもないのですが……。


「それでね、ライトニングシーズーにも正統進化以外に派生進化はあるのよ」

「なるほどです。で、それがどうしたのですか?」


 ボクが派生進化のことを訊ねると、ユエさんは困ったような顔をしました。

 ……あれ、そんなに難しいことを聞きましたかね?


「……そうね、いままでのアップデートの経緯を話すべきかな。このゲームって、それなりに長い期間続いているのは知っているかな?」

「はい、知っているのです。それとこの話と、なにか関係があるのですか?」

「ええ、間接的だけど関係があるの。最初のころ、派生進化は条件を満たした場合のみ表示されていたのよね。条件を満たしていない進化先の情報はそもそも見ることすらできなかったのよ」


 そうなのですね。

 ……あれ、でも、前に進化先を選択しようとしたとき、進化先として選択できない種族も表示されていたような?

 ボクの疑問を読み取ったのか、ユエさんの説明は続く。


「それで、ゲーム自体のアップデートが何回かされたとき、パートナー周りの改修として、進化条件を満たしていない種族情報も見られるようになったわけ」

「おお、それはわかりやすいですね」

「そうね。ただ、この時点では、種族名が表示されるだけで、条件まではわからなかったわ」

「なるほど、また改修がされたと」

「ええ。その次に、ある特定の条件を満たせば、派生進化種族への進化条件が公開されるようになったの」

「なんと。それはすごいじゃないですか!」


 派生先すらわからなかったころに比べれば、とっても便利になってるんだよ!


「まあね。派生進化があるだけじゃなく、条件もわかるようになったのはとっても助かったわ」


 だよね。

 ボクたちのようなパートナーと一緒に過ごしたい勢には、重要なアップデートですよ!


「そこで、最初の話、ライトニングシーズーのことに戻るんだけど。ライトニングシーズーにも派生進化先が存在するの」

「それは初耳です! どんな種族なのです?」

「……わからないのよ」

「はい?」

「ライトニングシーズーの派生進化先については、私も情報を持っていないのよ」


 なんと、ユエさんでも知らないのですか。


「理由を言うとね、ライトニングシーズーの派生進化条件がわからないのよね」

「あれ? さっきは、派生進化の条件もわかるようになった、と言ってませんでした?」

「『特定の条件を満たせば』条件がわかるのよ。それで、ライトニングシーズーたち四大魔法パートナーは、その特定条件すらわかっていないのよ」

「……それは意外なんだよ。どうしてわかっていないのです?」

「それがわかれば、皆試してみるんだけど。ともかく、派生進化の条件がわかったら教えてほしいの」


 うーん、ほかの諸先輩方がわからないことを、ボクができるとは思えないんだけど。

 ……まあ、ボクに損はないし、引き受けよう。

 ユエさんにはなにかとお世話になってるしね!


「わかったんだよ。派生進化の条件がわかったら教えるのですよ」

「ありがとう。助かるわ」

「ちなみに、ライトニングシーズーの正統進化先って、どんな感じなのです?」

「ライトニングシーズーの正統進化は、サンダーボルトシーズーね。さらに強力な魔法を覚えたり、高速で移動できるようになったりするわ」

「そうなんだね。あと、ほかの四大魔法パートナーたちの話も教えてほしいな」

「そうね……。そっちの話は、私が説明するよりもホームページで確認してもらったほうがいいかも。SS(スクリーンショット)付きで説明文が載ってるから」

「わかったんだよ。ちなみに、条件がわかったらどうすればいいのかな?」

「進化条件のSS(スクリーンショット)を、メールで送ってくれると助かるわ。できれば、進化後のステータスもほしいかも」

「了解したのです。ユエさんにはお世話になってるますし、頑張るのですよ」

「お願いね。それじゃあ、またね」

「ユエさん、またねー」


 帰っていくユエさんを見送って、シズクちゃんのステータスを確認する。

 いまのレベルが22だから、もう少し鍛えれば進化可能になるはずだね。

 ……でも、今日はもうそれなりの時間だから、マイホームに戻って、モフモフするんだよ!

四大魔法パートナー


ライトニングシーズー:雷魔法

マグマポメラニアン:溶岩魔法

アイスペルシャ:氷雪魔法

ブラストシャム:爆裂魔法


どの子も、大火力魔法ブッパ型パートナーです

見た目は、シーズー、ポメラニアン、ペルシャ猫、シャム猫なのですが

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