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【旧版】うちのモフモフこそが最強!  作者: あきさけ
第7章 ツヴァイファムで転職です!
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66.ダンジョン報酬の精算です

「ほう、ゴブリンの卵とは珍しいじゃないか。これ、ドロップ率1%とか言われてる品だぞ」

「そうね。ゴブリン族の集落で一番のレア物だけど、滅多なことじゃ出ないのよね」


 ダンジョンをクリアした後、ギルドハウスに戻ってきたらガイルさんとユーリさんがいた。

 ちょうどよかったので、今回の報酬について聞いてみることにしたんだけど、その結果がこれなんだよ。


「レア物なのはいいんだけど、ボクは使わないんだよ」

「そうなのか? ゴブリンも最初は大して強くないが、進化していくと色々と化けるぞ」

「そうね。ゴブリンの進化先は正統進化だとゴブリン系だけど、派生進化でオーガや鬼人なんて言うのもあったはずよ」

「そうなの? うーん、でもなぁ……」


 ボクとしては貴重なテイム枠をモフモフじゃないパートナーで埋めるのはもったいない気がする。

 ……アント?

 あれは必要だったからしょうがないんだよ。


「ちなみに、オーガや鬼人って強いの?」

「どっちも物理近接系のモンスターだな。ゴブリンからの進化以外でも、普通にテイムやコントラクトできたと思ったが」

「そうね。進化以外でも入手は可能よ。ただ、ゴブリン経由で進化させないと、進化先として選べないものがあるのよね」

「そうなんだね。……でも、それなら普通のゴブリンをテイムしても一緒じゃないの?」

「卵から孵した場合だと、普通にテイムするよりも強い個体が手に入るのよ。それに装備系統を自由に選べるというのも魅力ね」


 なるほど、わざわざ卵から育てる意味はあるんだね。


「それから、卵から孵したゴブリンじゃないと鬼人には進化できないのよね。オーガには進化できるけど」

「そうなんだね。……でも、やっぱり使わないかなぁ」

「そう? オーガも鬼人もスタンダードな近接種族で使いやすいわよ?」


 うーん、近接戦闘系かぁ。

 ボクの場合だと、プリムやスズランがいるんだよね。

 ……ああでも、どちらもパワータイプじゃないのか。

 どちらかというとスピードタイプで、ヒットアンドアウェイのタイプだね。

 まあ、前線を支えてくれるタンク役は黒号がいるから平気だけど。


「うーん、それでも使わない、かなぁ……」

「まあ、その辺は個人の判断だからな。ちなみに、ユーリ、オーガと鬼人ってどんな差があるんだ?」

「オーガは完全なパワータイプね。得意武器も棍棒とか打撃系武器になるわ。鬼人だと棍棒以外でも色々な武器を使いこなせる万能型の前衛になるわ。弓とかも使えるはずだしね」

「なるほど。確かに、そんな強力な種族になれるんなら卵を探すプレイヤーもいるだろうな」

「そうね。ゴブリンの卵は、ゴブリン族の集落以外でも手に入ることがあるけど、ドロップ率は1%以下って言われてるから卵狙いの人は集落を周回するのよね」

「そうなんだね。……でも、やっぱりボクは使わないよ」

「そう。もったいない気もするけど、それなら仕方がないわね。マーケットで売りに出す?」


 ボクが持っていても仕方がない以上、売りに出すのが正解なんだろうね。

 でも、それももったいない気がするんだよ。


「ねえ、リーン。その卵、私に譲ってもらえないかしら?」

「サーシャ、使うの?」

「私の使役枠は余ってるしね。それに、鬼人にうまく進化させることができれば色々と便利そうだし」


 サーシャが使ってくれるならあげてもいいかな。

 サーシャもあまりコントラクトしている召喚獣は少ないみたいだからね。


「それじゃあ、サーシャにあげるんだよ」

「ありがとう。それで、代金はいくら払えばいいのかしら?」

「うん? 別にタダでいいんだよ?」

「さすがにそれはよくないと思うの。かなりのレア物みたいだし」

「でも、ゴブリンの卵の値段なんて知らないんだよ」


 そう、売るにしても値段なんて知らない。

 サーシャなら大事に使ってくれるだろうし、ただで譲っても文句ないんだけどな。


「リーンちゃん、ここはサーシャちゃんの言うとおりにしなさいな。卵系のドロップ率はかなり低いから揉め事の種になりかねないしね」

「うーん、それじゃあそうするけど、卵の値段っていくらなの?」

「そうね……最近の相場だと、20万から30万といったところかしら」

「……結構するんだよ。サーシャ、支払える?」

「……さすがに無理ね。10万までなら何とか貯めたんだけど」

「……サーシャが意外とお金持ちなんだよ」


 ボクはお金、10万ちょっとしか持っていない。

 プレイ期間は1週間近く差があるのに、所持金の差が少ないとは……


「ふむ、10万の差か。それなら俺が立て替えておくか? 10万程度、俺ならすぐに稼げるし」

「いいんですか? あまり貸し借りはしない方がいいと思いますが」

「構いやしないさ。俺達クラスの高レベル者になると、クエスト1回で10万とか手に入るからな。おかげで、高ランクのアイテムの相場がすごい事になったりするんだが」

「そういうことならお借りします。……多分、1週間くらいで返せると思いますので」

「別にそんなに急ぐ必要は無いぞ。それよりも装備とかに……って、サーシャの装備は第3エリアクラスだったな」

「はい。装備にはお金をかけなくて済むので何とかなると思います。ソロだと、回復アイテムとかも使いませんし」

「そういうことならそれでもいいや。こっちは気長に待ってるから余裕ができたら返してくれ」

「わかりました。……はい、それじゃあ、リーン、トレードよ」

「わかったんだよ。……はい、終了だね」

「んじゃ、俺の方から残りの額を渡しておくぞ」

「ありがとう。……ああ、ガイルさん。新しい武器をお願いしたいんだけど、どのくらいお金が必要かな?」

「うん? 今の武器じゃ攻撃力不足か?」

「ええっと、最近だとボクが攻撃するよりもパートナー達が攻撃することが多いんだよ。だから、魔法の効果がアップする装備が欲しいんだよ」

「ああ、たしかに今の蛇腹剣は物理攻撃力重視だものな。自分が攻撃に参加しないなら魔法効果が上がる方がいいか」

「うん、そうなんだよ。という訳で新しい装備をお願いできるかな?」

「よっしゃ、任せろ。ツヴァイファムまで行った記念もあるからな。2万でいい武器を仕上げてやるよ」

「お願いね、ガイルさん」

「おうよ。それで、サーシャはいいとして、セルシアとスズカは今の装備で問題ないか?」

「そうですね。私は大丈夫です」

「私も大丈夫ですよ」

「そうか。新しい装備が必要になったら教えてくれ。まあ、ただで作ってやるわけにはいかないが格安で引き受けるぞ」

「ありがとうございます。ガイルさん」

「その時はよろしく頼みますね」

「おう。……さて、今日はこんなところか?」

「……ああ、ガイルさんにちょっと聞きたいことがあったんだよ」

「おう、なんだ?」

「ゴブリン族の集落をクリアしたら転職石が3つ手に入ったけど、これってバグ?」

「うん? ……ああ、ゴブリン族の集落で3つ手に入るのはごく稀だがある、らしいな」

「そうね。掲示板とかでも報告はあるんだけど、そもそも誤差の範囲みたいなもんだから信憑性に欠けた話だったのよね」

「まあ、多く手に入ったならいいんじゃないか?」

「バグとかじゃないならそれでいいんだよ。ボクも転職のためにもっと集めなきゃだし」

「ほう、ちなみに何に転職するつもりなんだ?」

「エクストラテイマーなんだよ。エクストラテイマーになればもっとたくさんのパートナー達と一緒に冒険できるからね」

「……まあ、リーンらしいと言えばそれまでか。ちなみに転職石はいくつ必要なんだ?」

「5つだよ。だからまだゴブリン族の集落に行かなくちゃなんだよ」

「ふむ、手伝いは必要か?」

「皆もまだ行くみたいだから大丈夫だよ」

「そうね、私もまだまだ足りてないわね」

「私もよ。シールドナイトになるには3つ必要だからね」

「私はもう転職できますね。でも、皆の転職石が集まるまで手伝いますよ」

「ふむ、結構。人数が足りないとかで人手が必要なら呼んでくれ」

「はい、お願いします」

「よし。それじゃあ、俺は早速新しい武器を作りに行くから。またな」

「ガイルは相変わらずね。……サーシャちゃん、卵の孵し方はわかる?」

「はい大丈夫です。事前に調べてありますから。さっき渡したお金の他にも必要経費は残してあります」

「……サーシャがボクよりもお金持ちだったんだよ」

「地道にクエストを受けていれば結構貯まるものよ。さて、私は卵を孵すための作業をしに行くわね」

「そうね、それじゃあ、今日はこれで解散しましょうか」

「そうですね。皆さん、お疲れ様でした」

「お疲れ様なんだよ」


 昨日はボス戦、今日はダンジョン攻略で結構疲れたんだよ。

 こんな時は、モフモフ達に癒やされてから落ちることにしましょう!

 さあ、モフモフ達に会いに飛行庭に帰るんだよ。


いつもお読みいただきありがとうございます。

「面白かった」「これからも頑張れ」など思っていただけましたらブクマや評価をお願いします。

作者のモチベーションアップにつながります。

毎回の誤字報告本当に助かっています。

感想もありましたらよろしくお願いします。



~あとがきのあとがき~



前回、謎の強運で手に入った卵はサーシャに引き取ってもらいました。

ゴブリンとかモフモフじゃないし、アントの時みたいに必要なわけでもないですからね!

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[一言] 72ページで >「……少ないんだね。皆は転職石をいくつ集めなくちゃいけないの?」 「私は2個よ」 「私も2個ですね」 「私は6つね。レゾナンスサマナーは必要個数が多くて困るわ。リーンはいくつ…
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