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ゲーム補正を求めて奮闘しよう!  作者: わんわんこ
【高校1年生編・前半】
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生徒会合宿では海で遊ぼう


それから、みんなで海で泳いだり砂浜でゴロゴロしたりして遊んだ。

愛ちゃん先生はサングラスにアロハシャツを着て(これがよく似合っていらっしゃる!かろうじて水着は男性物なのだが、それがお気に召さないらしく、泳いでいない)服を着たままパラソルの下で寝ている。

会長とこめちゃんは二人で砂のお城を作っている。もうそこは付き合っちゃいなさい。

あとのメンツは海で泳いでいる。

四季先生は沖まで行ったら足が攣って一度溺れかけた。これは東堂先輩に救出され、そのあとは東堂先輩と先生は常に一緒にいた。

桜井先輩は美玲先輩と泉子先輩とそれほど深くないところで泳いでハーレムを作ってウハウハしている。

上林くんと秋斗はさっきからなぜかものすごい勢いで競泳しており、俊くんが判定役になっている。やっぱりこの三人は仲がいい。

私はといえば、この格好だし、海で泳ぐことはできないから入れるところまで入ってその冷たさを楽しんだ後は日陰に入ってそんなみんなの様子を見ていた。

そこに水で濡れた身体を拭きながら秋斗が来た。

「ゆき、楽しんでる?」

「うん、とっても。見てるだけで面白い。」

「ならいいけど。」

そう言って隣に腰を下ろす。

「秋斗、日焼け止め塗っておきなよ?」

「えー。」

男の子って、これ嫌いだよね。女子には必需品なのに。

ちなみに、設定なのか、攻略対象者及び他三人は、東堂先輩と愛ちゃん先生以外は焼けない体質らしい。私も焼けない体質で、こめちゃんに羨ましがられた。その気持ちは焼けやすかった前世があるので、よくわかる。

「後で痛い思いするよ?」

「じゃあ、ゆき塗って?」

「甘えない。」

「ゆき、その上着の時は俺のワガママ聞いてくれるんでしょ?」

ぐ。

今、私は先ほどまでの格好ではない。その上に上林くんのシャツを借りて着ている。ちょっと大きくて、袖のところとかが余ってしまう状態になっているのは仕方ない。どういう経緯かといえば。



「ほら」

秋斗に抱きしめられたままの私に、着ていた上着を脱いで差し出す上林くん。秋斗がはたき落とそうとした腕を上林くんが止める。

「新田、お前、持ってきてないだろ?それとも、相田がそのままの格好でいいの?」

「お前のをゆきに着せるの…?ゆき、それでいいの?」

「ダメに決まっているだろう!もちろんこめちゃんもだ!」

「何か言いましたか?美玲。」

会長のブリザードが発生し、私たちが上着を着ることの許可は出た。

「しょうがないよ、ないし。」

「うううう。その代わり、それ着てる時は俺のワガママ聞いてね!」

今に至る。


「…顔だけなら、塗ってあげてもいいよ。」

「やった、ゆき、よろしく!」

目を瞑る秋斗。まつげが長くてお人形みたいだ。日焼け止めの液体をつけた指を秋斗の白く滑らかな肌に滑らしながら私は彼を見る。

さっき抱きしめられた時に久しぶりに触れた秋斗の素肌の身体も筋肉が適度について鍛えられている。ゲームが元であるということ抜きに考えれば、向こうにいた時から継続してテニスをやっていたからだ。いつの頃だろう、身長も抜かされていた。

身体だけじゃない。小学生の時は私の陰に隠れて怯えてた子だった。それがいつの間にかブラック上林くんと戦ったり、私にフラグを折られそうになってもめげない子になった。私は太陽(おとうと)がいたから、それと同じ気持ちで秋斗に接していた。秋斗は弟だと。

でも、最近秋斗は私にまざまざと見せつけてくるのだ。

彼が男の子であると。

この人は、私の弟じゃないんだ。一人の男性で、それで…

そこまで考えて、私は真っ赤になった。

違う違う!!!秋斗は弟みたいなもん!!だめだめだめ!

「あ、あ秋斗!終わったよ!」

「ほんと?ありがと、ゆき!あれ?どうかした?」

「な、ななんでもない!それより、どうして人がいないんだろうね?他のお客さん!」

「ああ、ここ、プライベートビーチみたいなもんなんだって。穴場だって先生が言ってた。ほら、このメンツでしょ?もし他のお客さんがいるところだと騒ぎになって遊ぶどころじゃないからね。」

説得力がありすぎる説明だ。


「スイカ、切りましたよー?相田さんたちも食べましょー!」

先生の声に私たちはパラソルの方へ移動する。

ブーっ

あれ?ライン?

ジーンズのポケットにいれていたケータイを見る。

未羽からだ。

『雪、今海だよね?そっちに夢城愛佳が行ってる。かなり苛立ってるから気をつけて!』



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