prologue 予選
長らくお待たせいたしました。
第三章開始です。
三章本編が完結するまで毎日更新となります。
高等学校の教室程度の広さの部屋に、統一感のまるでない衣装を身に纏った魔法少女たちがいた。凡そ十人と少しといったところだろうか。装いだけでなく頭髪の色や背丈さえもバラバラで、何も知らない人物が見ればアニメや漫画の中から飛び出してきたのだと勘違いしてもおかしくないくらい、彼女たちは現実離れした存在感を放っている。
魔法少女。それは同じ人間とは思えないほどに整った美貌を持ち、人知を超越した力を振るう謎多き乙女たち。
ある者は壁を背に腕を組みながら他の魔法少女を注意深く観察しており、またある者は部屋に設置された背もたれのないベンチに座ってマギホンを弄るのに夢中になっている。電波の入らないこの部屋でマギホンを弄っているのはゲームでもやっているからだろう。他にも、顔見知りがいたのか他の魔法少女に挨拶したり談笑をしている者もいた。
そんな中で、とある特徴的な魔法少女が怪訝そうな表情をしていた。
頭のてっぺんは深い紺色で始まり、毛先に近づくにつれて徐々に白く変化していくグラデーションの長髪を太い三つ編みにまとめ、流星をモチーフにした濃紺の衣装に身を包んだ高校生程度の少女。彼女の名はメテオ。魔法少女たちの中に存在する4つの派閥のうち、自然派と呼ばれる派閥でNo2の肩書を持つ凄腕の魔法少女だ。
自然派のトップである氷の魔女の暴走の尻拭いに毎度の如く駆り出されたり、何を考えているのかわからない突発的な行動に振り回されたり、今まで大人しくしていた自然過激派の残党が最近になっていくつも事件を引き起こしたことで事情をよく知らない魔法少女たちから危険視されていたりと、本人は至って真面目であるにもかかわらず何かと貧乏くじを引かされることの多い苦労人である。
普段は人当たりの良い優し気な雰囲気を醸し出しているメテオが眉間に皺を寄せて首をかしげているのは、彼女の視線の先でつまらなそうに仏頂面でマギホンを操作している一人の魔法少女が原因だった。
エメラルドグリーンのロングストレートに、薄緑色の妖精のような衣装の魔法少女。他の魔法少女たちは気にしない振りをしていながらも実際のところ大なり小なり他の魔法少女を気にしている様子だが、その妖精のような魔法少女だけは心の底から他の魔法少女のことなど眼中にないようだった。
とはいえ、その魔法少女についてメテオが気になったのはそこではない。メテオが違和感を覚えたのは、自分がその魔法少女のことを知らないことについてだった。
今、このスポーツ選手の控室のような場所に居る少女たちは、メテオの知らない妖精のような少女を除けば、メテオ本人を筆頭に全員がフェーズ2の中でもトップ層の魔法少女たちだ。
メテオと同等クラスの、例えばドールやフェニクス、スペースと言った魔法少女の姿は見えないが、それはマッチングのバランスを考慮した結果別のブロックに割り振られたのだろうとメテオは考えている。まさか彼女たちの元に招待状が届いていないとは考えていなかった。
メテオの予想が正しければ、フェーズ2の中でも確かな実力を持った魔法少女だけがこの場に招待されているはずだ。その証拠に、メテオはここに居る魔法少女たちのことを、ただ一人の例外を除いて全員知っている。いずれも確かな実力で名の知れた強者たち。直接的な面識がある者も居れば、一度も話したことがない者も居るが、その活躍や容姿、名前の噂くらいは聞いたことがある。そういうレベルの魔法少女たちだ。
だからこそ、異質。
これほどの強者たちが集った中で、自然派のNo2である流星の魔法少女でさえも見たことも聞いたこともない魔法少女。ハッキリと言ってしまえば、無名の魔法少女。
メテオとて、全ての魔法少女の名前や姿を記憶しているわけではない。覚えるに値しない魔法少女のことは、例え一度見聞きしたとして忘れてしまうこともあるだろう。それでも、それはその程度の魔法少女が相手だからだ。この場に招待されるような魔法少女の存在を、忘れることなどありえない。
メテオは、他の魔法少女たちは彼女の異質さに気づいていないのかと周囲に気を向けたが、感じ取れたのは強烈な警戒の意思だった。
当たり前と言えば当たり前の話で、これから始まる催しで勝利のチケットを手にすることが出来るものはただ一人のみ。そんな中で、最も名の売れた魔法少女であるメテオが警戒されないはずがない。ほぼ全ての魔法少女の意識は、メテオに対して向けられている。だからこそ気づけない。そして、特別にただ一人を警戒しなくても良い、この場において最も強いのは自分だという余裕があるメテオだからこそ気が付けた。たった一人のイレギュラー。
「こんにちわ。見ない顔だけど、名前を聞いても良い?」
他の誰もがその少女に意識を向けていないのなら、メテオ自身が接触するほかにない。
もしも相手がこれからの戦いに向けて集中力を高めたり、気分を落ち着けようとしているのであればマナー違反ではあるが、しかし控室で話しかけてはいけないという規則があるわけでもない。
メテオとて嫌がられれば無理に話を続けるつもりはないが、一先ず話しかけなければ何も始まらない。
ゆえに、まずは軽い挨拶から入り互いに自己紹介をしようと考えたのだが
「……」
少女はメテオのことをチラリと一瞥するだけで何も答えずにマギホンに視線を戻した。
いわゆる、無視というやつだった。
「あー、はは、まずは自分の自己紹介が先だよね。私は流星の魔法少女メテオ。一応自然派の
No2でそれなりに名前は売れてるつもりなんだけど」
「……どうも」
魔法少女の中には一癖も二癖もある者も多いため、今更無視をされたくらいで怒るほど軟なメンタルはしていないメテオだったが、少女のあまりの反応の悪さにこれは駄目だと交流を図ることを早々に諦めた。
派閥の中にも、こういう他の魔法少女と馴れ合うつもりはないというタイプは一定数存在する。大半はただの中二病なので、馴れ合うつもりはないのに派閥には入るんだというツッコミをしたくなるが我慢しているメテオだ。そういうタイプは下手に構ってやると内心大喜びして私に構わないでムーブを繰り返すだけなので、放っておいて構って欲しそうにし始めてから交流を図るのが良いことを知っている。
この少女がそういう手合いなのか、本気で他の魔法少女に興味がないのかまではわからないが、この調子では無理に話しかけても良いことはないとメテオは判断した。異質ではあるが、どうせことが始まれば全員等しく叩き潰すことに変わりはないのだから。
メテオが少女との対話を諦め他の知り合いに挨拶でもしようかと考えて歩き出そうとした直後、それまで延々と同じBGMとスタジアムの映像を垂れ流していた室内のモニター画面が切り替わった。
『さぁーお待たせいたしました! まもなく! 魔法少女チーム対抗陣取り合戦の予選が始まります!』
『従来の対抗戦では予選はなく、あらかじめ参加登録している魔法少女の中から抽選で選ばれた12名が4つのチームに振り分けられて試合をしていましたが、今回は新たな競技形式ということになりますね。魔法少女たちだけではなく、観戦している一般の方からも大きな期待が寄せられているようです』
『実況と解説は! 毎度お馴染みライブとコメントでお送りいたしまぁす! いやー、それにしてもコメントさん、今回の対抗戦は何もかもが今までとは異なるものとのことで、ワクワクしますねぇ!』
『そうですね。何せ今回は9ブロックに分かれて行う予選を勝ち抜いた、僅か9名だけが本番の対抗戦に進むことが出来るということですからね。しかもその予選でさえ、運営から招待を受けたトップ層の魔法少女しか参加出来ないというのですから、極めてハイレベルな試合が見られそうですね』
『何せ各派閥の筆頭二つ星魔法少女たちも参加するみたいですからね!!』
『はい。今回の対抗戦は参加者が公開されていないので招待を受けた魔法少女の全貌は見えていませんが、どうやら運営は招待を受けたということを公表することに制限を設けなかったようですからね。メテオさんやドールさんを始めとして、有名どころの二つ星魔法少女が次々と招待を受けたことを公表して一時期話題になったりもしましたね』
『あの時は魔女も招待されてるんじゃないか、なんて話にもなりましたけど結局誰も名乗りでませんでしたねぇ!』
『新たなレギュレーションでの初試合ということで、その可能性も十分に考えられましたがやはりバランスの面で難しかったんだと思います。一般的に魔女と魔法少女では勝負にならないと言われるほどですからね』
『魔女同士の試合ともなればそれは派手で見応えがありそうですが、残念でなりませんね! それにしてもですよ! どうして予選は12ブロックではなく9ブロックなんでしょうかねぇ! 本番の対抗戦を9人で行うとなると3人一組で3チームということになりますよ!』
『本番の詳しい情報はまだ出ていないので何とも言えませんが、最近は試合展開にもマンネリな部分があるという意見も増えていましたから、ルールの見直しを行った可能性はあると思います。今回の対抗戦は宣伝にも随分と力を入れられていたようで、中継をご覧の方の中にはルールをご存じない方もいらっしゃるでしょうから、まずは既存の対抗戦のルールを説明しましょうか』
『時間が許せばそうしたいところですがぁ! たった今カンペが出されましたぁ! タイムスケジュールに間違いがありもう予選が始まるそうです! ひとまず予選のルール説明だけお願いしまぁす!』
『相変わらずここの運営はぐだぐだですね。予選のルールは至って単純です。用意されたスタジアムの中でバトルロイヤルを行います。意識の喪失か死亡、または場外で失格となります。制限時間はありませんので、一番最後まで残った一人が勝ち抜きとなります。通常の対抗戦と同様、魔力で作られたアバターを纏って戦い、戦闘不能になった場合には場外へ転送されますので実際には怪我の心配はありません』
『はぁい! 簡潔な解説をありがとうございまぁす! おぉっと! カウントダウンが始まったようです! 10! 9!』
モニターの中でマイク型の妖精がカウントダウンを始めるのと同時に、メテオの身体に転移魔法陣が重なり光り輝き始める。
周囲を見れば当然、他の魔法少女たちも転移光に包まれてふわふわと浮かび上がっている。
二体のマイク型妖精が解説していた通り、これから始まるのはチーム対抗陣取り合戦の本戦に進むための予選だ。ここでは本番の対抗戦と違い単純な真っ向勝負となるため、集中狙いでもされなければ運の要素に左右されることはなく、純粋な実力による結果が出ることになる。
メテオはパシッと自分の頬を軽くたたいて気を引き締める。自分が真っ先に狙われるのは間違いない。しかしだからこそ、この中で勝ち残ることで自身の強さが魔女にも届き得るのだと示すことが出来る。例え集中的に狙われたとしても運の介在すら許さないほどの強者なのだと証明できる。
メテオはほんの数か月前まで、次に魔女になるのは自分だと思っていた。今最も魔女に近いフェーズ2魔法少女と持て囃され、自分でもそのことを疑ってなどいなかった。
メテオにとって魔女という存在は昔からの憧れだった。魔法少女たちの頂点に立ち、燦然と輝く彼女たちの隣に立ちたいと何度願ったことかわからない。いつかは自分だって、そう信じて研鑽を積んできた。
だが実際にはどうか。自分よりも下にいると思っていたエクステンドに追い抜かれ、さらにはぽっと出の新人にすら先を越された。
彼女たちに対して嫉妬していないと言ったら嘘になる。けれどそれ以上に、不甲斐ない自分への怒りを感じていた。
あと一歩のはずだと。自分と彼女たちの間に、そう大きな差があるとは思えない。あと少しだけ前に進める切っ掛けさえあれば、自分だって第三の門を開けるはずだと。どうしてその一歩を踏み出せないんだと。悔しくて、情けなくて、惨めだった。
招待状が届いたのは、そんな風にメテオが自身の無力感に打ちひしがれている時だった。
メテオは魔法少女の本懐はディストを倒すことにあり、対抗戦なんて時間の無駄だと考えてこれまで一度も出場したことはない。そもそも登録すらしていない。
普段のメテオであれば一蹴していただろう。こんなお遊びをしている暇があったらもっと自分を磨く努力をすると。しかしこの時に限っては、何らかのブレイクスルーを探し求めていたこの時だけは、その招待状を破り捨てることが出来なかった。
勝利する。そして本戦に出場して、普段は戦う機会のない最上位の魔法少女たちと力比べをすることで、必ず切っ掛けを掴んで見せる。
メテオが改めて覚悟を決めるのと、カウントダウンが0になるのはほぼ同時だった。
眩い光と共に視界が切り替わる。
大理石のように白く綺麗な石畳の戦場に転移し、直後に全員が視線を忙しなく動かしながら詠唱を開始する。
十数人の魔法少女たちはそれぞれある程度の距離が離された状態で転移していたが、そんなものは身体強化系ならばあっという間に詰められる距離でしかなく、大規模な魔法であれば十分に全体を範囲に巻き込める。
それぞれが持っている大規模魔法や最大級の強化魔法の打ち合いになる。そんなことは始まる前からパターンの一つとして予想されていた。
「不滅の――」
瞬時に状況を読み取ったメテオは、範囲攻撃の超高火力魔法ではなく強化系の魔法の詠唱を始める。
魔法少女の魔法はディストを倒すためにあり、人一人を倒すには十分すぎるほどの威力を持っている。破れかぶれの捨て身で放たれた大規模魔法に無防備な状態で巻き込まれれば、それだけで勝負が決まってしまう。ただでさえ今回のルールには場外が存在するのだ。耐えきったとしても場外に弾き飛ばされてはたまらない。
「――星屑」
「環境魔法『嵐』」
自らの詠唱が完了するのとほぼ同時、偶然にも他の魔法少女と比べてかなり近くに転移してきていたあの異質な魔法少女の詠唱が聞こえてメテオは驚愕した。
領域魔法と言えば、各系統魔法でもかなり高位に位置する奥義と言っても過言ではない魔法だ。フェーズ2でも極一部の魔法少女しか習得していない大規模魔法と言えばその格の高さも分かるというものだろう。
この場に招待された魔法少女であればそれを使えること自体は当然ありえる。だが、彼女は言った。『嵐』と。
メテオがその魔法を知らないはずがない。知っているからこそ、信じられないのだ。なぜならその魔法は、自分を悠々と追い越して行った、己を歯牙にもかけなかったあの天才の魔法のはずだから。
一瞬の混乱はあれど、メテオは流石に超一流の魔法少女だった。異質な少女を中心に巻き起こる巨大な嵐から逃げるように距離を取り様子を伺う。
他の魔法少女たちが使ったであろう範囲攻撃魔法が、大規模攻撃魔法が、それを圧倒的に上回る嵐に呑み込まれ、弾き飛ばされて消えていく。
メテオと同じようにまずは身体強化で初撃をやり過ごそうとしていた魔法少女が、どんどん大きくなる嵐から逃げきれず紙屑のように簡単に巻き上げられ行く。
目前に迫った嵐を前にして、メテオの心は凪いでいた。
自分は馬鹿な勘違いをしていたんだと。
何がそう大きな差があるとは思えない、だ。
確かに自分は優秀な魔法少女かもしれない。
努力を続けていればいずれは魔女になれる日も来るかもしれない。
だけどこの少女は別格だ。化け物だ。
・
『な、なにが! 何が起こっているのでしょうか!? 試合開始直後にBブロックが猛吹雪と共に氷漬けになっています! さらにCブロックでは猛烈な嵐が発生しています!! ああっと!? ほかにも続々とぉ!?』
『まだ始まったばかりですが、すでに結果が出ているブロックの情報が届きました。Aブロック勝者、ウィグスクローソ選手。B――』
『いやいやいや!! コメントさんちょっと待って下さいよ!? ウィグスクローソと言えばあの!! 魔女のお茶会を取り仕切る序列第三位! 糸の魔女ですよ!? いったいぜんたい、これはどういうことなんでしょうか!?』
『気持ちはわかりますが先に結果報告を続けますよ。Bブロック勝者、パーマフロスト選手。Cブロック勝者、タイラントシルフ選手。Dブロック勝者、レッドボール選手。Eブロック勝者、ドラゴンコール選手。Fブロック勝者、ドッペルゲンガー選手。Gブロック勝者、エクスマグナ選手。Hブロック勝者、ラビットフット選手。Iブロック勝者、エクステンドトラベラー選手。驚きましたね、まさかもう全ての予選が終わってしまうとは』
『驚くところはそこじゃありませんよねぇ!? ぜ~んいん魔女じゃないですかぁ!! なんですかこれは!? どうなってるんですかぁ!?』
『見たままですね。予選の参加者は最後まで公表されてませんでしたから。名乗りを上げなかっただけで、最初から魔女たちにも招待状が送られていたということだと思います。たぶん、他の魔法少女とは違って魔女の皆さんは口止めされていたんじゃないでしょうか。その方がセンセーショナルでしょうから』
『SNSとか掲示板でも凄い反応になってますねぇ!! え? 実況中にネット見るな? いやで~す!! 匿名掲示板でも実況しま~す!!』
『しかしこれは随分と挑戦的な試みですね。おそらく本戦出場が9人なのも、集められる魔女の限界がその数字だったからだと思われます。つまり最初から魔女が予選を突破することを見越して本戦のレギュレーションを組み立てていたのではないでしょうか』
『ピンポンピンポ~ン!! 大正解だぜ』
『あ、あなたはロクデナシでお馴染みの対抗戦運営委員長兼魔法局局長ぉ!!』
『こんにちわ、アース局長。今回の企画は局長の肝入りということでしょうか?』
『ああ、無事にあいつらが勝ちあがってくれてホッとしたぜ。これでようやく、正式な大会告知が出来るってもんだからな』
『正式な告知とはなんでしょうかぁ!!』
『前々から要望はあったんだがな、お前さんが解説してた通り魔女を交えての対抗戦は他の魔法少女とのバランスの問題で実現出来てなかった。かといって魔女だけで開催するにゃ頭数が足りねぇ。ハンデをつけりゃ何とかなったかもしれねぇが、お前らだってどうせ見るなら全力の魔女がぶつかり合う方が良いだろ? けどここ最近、魔女が二人も増えたってんで、どうにか工夫すりゃ何とかなるんじゃねえかと思ってよ』
『それで9人ということですか』
『まあそういうことだわな。防衛の人員も確保すると考えりゃここまでが限界さ。ってなわけで、改めてここに宣言するぜ! 魔女オンリーチーム対抗陣取り合戦! 誰もが一度は想像したドリームマッチ! 名付けてウィッチカップの開催だぁ!!』
『うおおおおおおおおおおお!!』
『ですが、それであれば予選を挟む必要などなかったのではないですか? 最初から魔女9人によるウィッチカップを開催すれば良かったのでは? こう言っては何ですが、他の魔法少女たちは当て馬にされたような感じになってしまいますが』
『俺もそうしたかったんだけどな、景品提供してるスポンサーがそれじゃあ公平じゃねえってんでな。最初は希望者全員参加させての予選なんて言い出しやがって、ここまで落とし込むのにも苦労したもんだぜ。んで、当て馬だったか? 結構なことじゃねえか。魔女とやりあえることなんてそうそうねえぞ。精々今後に活かすこったな』
『なるほど、そういう事情だったわけですね。おっと、そうこう言っている間に映像の準備が出来たようです。9試合同時開催で全く状況が追えていませんでしたので、順番に実況解説していきましょうか』
『うおおおおおおおおおおおお!!』
『ライブさん、早く戻ってきてください』




