【特機密指定】戦略自衛戦力構成概要 ― 内部資料抜粋 ―
※本章は、物語の背景を補足するために挿入された報告書形式の資料です。
本編の展開に直接影響する内容ではありませんので、読み飛ばしていただいても問題ありません。
もし世界観に少しでも興味を持っていただけた方は、この先もお付き合いいただければ幸いです。
恐らく今までで最長です。
また感想ありがとうございます。
2回同じ日に感想が書き込まれるのは初めてでしたので嬉しかったです。
報告書番号:NSC-2060-X07
報告者:国家公安委員会 特別監視室 室長 柴田隆文
(元公安調査庁特別監視課所属/陸幕・内調との兼務経験あり)
提出先:
・内閣官房(国家危機管理センター)
・国家安全保障会議(NSC)第3部会(国内治安・非対称戦対応)
・公安調査庁 情報分析統括室
・防衛省 陸上幕僚監部 特別戦略運用班
提出日:2060年8月30日
管理区分:戦略極秘(S-Black)/複製・転載禁止
閲覧許可コード:NSC/JP-Δ06/X07
本報告書は、2060年8月6日に発生した「関東圏通信網一時遮断事案」に関連して作成されたものである。
当該事案においては、指定過激派組織「アダルトレジスタンス」が、国家放送機構「さくらテレビ」の本社ビルを武装占拠。
これと同時に、EMP攻撃によると見られる広域通信網の断絶および各種電子機器の機能不全が関東全域で発生した。
情報操作および世論誘導の意図が強く疑われることから、本件は「ハイブリッド型テロ」の典型例としてNSCにより特別監視対象に指定されている。
特殊作戦群による極秘介入、および第一空挺団の即応展開に至るまでの経緯と戦術的分析を、本資料にて補足的に記載する。
▣陸上自衛隊 第一空挺団:組織評価報告書(抜粋)
▍基本情報(分類:対特殊任務戦力)
部隊名:陸上自衛隊 第一空挺団
所在:千葉県 習志野駐屯地
編成規模:およそ2,000名(※年次改編および即応予備隊編成により変動あり)
識別符号:JGSDF-1AD(Japan Ground Self-Defense Force - 1st Airborne Division)
▍特性
第一空挺団は、日本国において唯一の空挺作戦専門部隊であり、その性質上、通常の陸上戦力とは異なる独自の運用体系を有する。
航空投下による強襲上陸、戦略的要地の先行制圧、特殊任務への即応展開を主たる任務とし、「陸自最精鋭」「国内最速戦力」とも称される。
その訓練密度と選抜基準は、一般部隊とは一線を画す水準であり、空挺団に配属されること自体が“戦う者にとっての勲章とされることも多い。
また、有事の際には特殊作戦群(SOG)との共同運用が示唆されるなど、ハイリスクかつ非正規戦をも想定した任務体系が一部存在するとされる(詳細未公開)。
▍役割
第一空挺団は、陸上自衛隊における戦略即応部隊として、国家非常時における初動投入戦力の役割を担う。
その主要任務は、以下の通りである:
・敵地・敵拠点に対する空挺降下および奇襲制圧
・空港・港湾・重要インフラ施設の先遣確保
・国土防衛における緊急展開および橋頭堡の確立
・大規模災害発生時における初動対応・支援活動
これらの任務はいずれも、他部隊の追随を許さない速度・精度・統制力のもとに遂行される。
特に奇襲降下による敵中突破および施設確保は、本団の象徴的任務である。
▍組織構造と特性
第一空挺団は、他の地上部隊とは一線を画す以下の構造的特性を有している:
① 精鋭選抜制
隊員は高倍率の選抜試験・適性審査を通過した者のみで構成。
必須訓練には、落下傘降下員資格、格闘戦技術、戦闘工兵技能などが含まれる。
訓練脱落率は高く、精神・身体・戦技すべての面で突出した者のみが残る。
② 柔軟な戦術指揮系統
編成単位は自律行動可能な小規模戦術単位(分隊~小隊)。
現地判断による即応指揮が許容されており、情報断絶下でも行動可能。
指揮通信(C2)系統は高度に暗号化・分散化されており、指揮断絶リスクが極小。
③ 迅速展開能力
拠点である習志野駐屯地は、首都圏至近という戦略的立地にあり、
航空自衛隊・海上自衛隊との連携により、24時間以内の全国初動展開が可能。
特定要件下では、海外派遣能力(戦略展開)も有する。
④ 専用装備と統合支援能力
第一空挺団には空挺作戦向けに特化した高機動装備が優先配備される。
必要に応じて、空自輸送機・海自輸送艦との即時連携が可能。
C4ISR(指揮・統制・通信・コンピュータ・情報・監視・偵察)能力においても、
陸上自衛隊内で最上位レベルの統合作戦能力を持つ。
加えて、2055年4月以降、神経接続型外骨格(Neural Exoskeleton)こと通称神経外骨格の試験配備が開始され、身体能力の強化、反応速度の加速、重量物の持続運搬能力向上を実現することに成功。特に市街地における高低差・障害物環境下での行動力強化が著しく、これに伴い、従来のCQC戦術および都市戦ドクトリンの再構築が進行中とされる。
なお、同外骨格は神経接続領域への負荷が高いため、現段階では条件付き選抜隊員のみ使用可能とされている。
▍機密区分
当該部隊に関する詳細な戦術行動計画、装備構成、作戦遂行能力の上限値等は、戦略極秘(S-Black)指定に分類され、
公的文書での明示的記述は厳しく制限されている。
一般公開における情報開示は、意図的に制限された範囲にとどまっており、真の戦力全容は特定機関のみに共有される。
▍戦略的評価
第一空挺団は、陸上自衛隊の中でも中核的な特殊戦力として位置づけられ、その運用は、単なる戦術的対応ではなく、国家意思を体現する「最後の選択肢」であると解されている。
すなわち、同団の投入は国家が「抑止の段階を超えた」ことを意味し、以後の行動は外交・政略を超えた実力行使フェーズへの移行を示す。
その存在は、日本の主権と独立を担保する実力の象徴であり、平時においても極限状態における「沈黙の切り札」として位置づけられている。
▍第一空挺団 活動実績・投入記録(抜粋)
【実際の実績】
2004年:イラク派遣時の後方支援部隊護衛(非公式)
空挺団隊員が現地自衛隊部隊の警護・防御支援を担当。一部特殊装備の試験運用記録あり。
2011年:東日本大震災対応
宮城・福島方面において、空挺降下による孤立地域への初動支援を実施。瓦礫地帯への人員・物資投下など、民間報道に登場しない活動が多数確認されている。
2016年:熊本地震対応
山間部への緊急空中展開、医療物資の投下、要救助者搬送。習志野からの即時出動が評価される。
2021年:東京都における首都直下型地震のシミュレーション訓練(JSDF統合訓練)
空挺団が「最初に都心部へ降下する部隊」として参加。都庁近辺への空挺制圧シナリオが展開された。
2024年:台湾海峡有事を想定した米軍との共同演習(非公開項目あり)
空挺降下による滑走路確保任務を米空軍と連携実施。想定作戦地域は非公表。
2027年:「南西諸島電子遮断事案」への緊急展開(琉球列島西端・与那国島)
未確認勢力による通信・GPSジャミングが発生。空挺団が電子戦支援部隊と共に展開し、地上制圧と情報拠点奪還を実施。
2031年:「中露国境紛争波及事案」想定演習における北海道空挺展開訓練
想定敵国の斜面制圧任務として、空挺降下からのトンネル封鎖・制圧を実施。
2039年:「北関東原発防衛演習」における放射線対応降下
想定シナリオは“敵性勢力による原発占拠”。放射線防護装備と空挺降下の統合運用試験を実施。
2046年:「東京オリンピック再建計画」警備統制演習
テロ想定に対し、都内空港およびスタジアムへの降下防衛シナリオを実行。
2052年:「朝鮮半島東岸拠点奪還シナリオ」に基づく戦略空挺演習
米軍・韓国軍と共同での「橋頭堡確保および補給路防衛」を想定。降下・制圧・野戦展開の連続演習。
2057年:「第二次EMP事案・関東圏遮断対応」
電子インフラが機能停止した首都圏への即時降下。地下施設・通信拠点の確保と同時に、地上での混乱収拾を遂行。
2060年:「さくらテレビ占拠事件」支援展開
指定過激派組織「アダルトレジスタンス」による首都圏同時多発テロに対処するため、第一空挺団は特殊作戦群(SOG)との共同展開任務として、出動準備を完了。
さくらテレビ本社ビルにおける制圧作戦に先立ち、外周封鎖・空中補給・戦闘後の拠点確保任務を担当する計画だった。
しかしながら、同日未明、首相官邸および国家中枢通信網がアダルトレジスタンスによるサイバー攪乱と局所EMP攻撃により麻痺。
これにより、内閣からの正式な作戦承認が遅延・不達となり、空挺団の即時投入が実現せず。
現場は自主判断による限定展開しか許されず、作戦全体の初動が数時間単位で後手に回る結果となった。
突入作戦は凍結され、特殊作戦群は外周警備の維持および制圧後の現地安全確認、建物構造調査、
および瓦礫の撤去・搬出支援といった二次対応任務に従事することとなった。
※対策については後述するΛ条項を参照
▣ 陸上自衛隊 特殊作戦群(SOG):機密資料抜粋
▍基本情報(分類:対特殊任務戦力)
部隊名:特殊作戦群(Special Forces Group / SOG)
所在:東京都・立川駐屯地
※一部の訓練施設・活動拠点は防衛機密扱いにより非公開
編成規模:詳細な人員・編制構成は機密指定(推定:数百名規模)
設立年:2004年(※陸上自衛隊における初の正式特殊部隊として創設)
▍任務特性(分類:対特殊戦対応)
特殊作戦群(SOG)は、陸上自衛隊において唯一、対テロ・対非正規戦対応の専門任務部隊として編成されている。
その行動領域は国内外を問わず、主に以下の極限的任務を遂行する:
・国内外における対テロ鎮圧作戦の実行
・人質救出および要人の極限環境下での防護任務
・敵対勢力による制圧下にある重要施設の奪還・制圧作戦
・偽装・潜入を含む特殊偵察および秘密裏の情報収集活動
・他国の特殊部隊との連携による共同作戦(内閣・防衛省直轄任務を含む)
これらの作戦は、いずれも通常の自衛隊法運用範囲を逸脱する性質を持ち、
発動は原則として国家中枢──すなわちNSCまたは総理官邸の直命によってのみ許可される。
すなわち、SOGの任務とは、「国家が最後に選ぶ非公開の手段」である。
▍組織構造と特徴
① 徹底した秘匿性
特殊作戦群は、その存在自体が戦略機密の一部とされている。
部隊の構成、隊員数、階層的指揮系統、装備体系のすべてが情報保全対象(S-Black)に分類されており、外部への公表は一切行われない。
隊員の個人情報は、戸籍情報レベルで隔離・保護されており、身元、家族構成、職歴、所属履歴のいずれも秘匿化されている。
訓練内容・任務実績についても一切公開されず、同部隊は「国家の影」「存在しない部隊」と称されることもある。
② 選抜基準
選抜対象は、第一空挺団、レンジャー課程修了者、対爆発物処理隊、海自特警群等の戦闘実績を持つ現役隊員からさらに厳選される。
選考においては、身体能力・戦技・射撃精度・状況判断力・語学能力・情報処理スキルなど、極限に近い多項目審査が実施される。
採用試験の通過率は非公表だが、選抜過程での脱落率は99%を超えるとされ、陸上自衛隊内でも“最も過酷な試験”として知られる。
③ 戦術柔軟性
SOGは、極小戦力で最大効果を発揮することを前提に設計されており、
小隊~分隊規模での独立行動、単独潜入任務、他国特殊部隊との共同作戦にも即応可能。
任務範囲は、非正規戦・心理戦・電子戦・市街戦・爆破任務・人道的介入型特殊作戦に至るまで多岐にわたる。
特に不確定・高リスク環境下での即時判断と臨機応変な行動力に優れており、「陸自最も柔軟な戦術ユニット」とも称される。
④ 装備
特殊作戦群は、国産および外国製の最新鋭特殊装備を任務ごとに使い分ける方式を採用しており、
標準化はあえて排除されている。これは任務内容・地形条件・対象勢力に応じた装備最適化を前提とする柔軟性を重視した措置である。
運用例として以下が確認されている(※一部完全非公開を含む):
暗視・熱探知・音響探査等の視覚補助機材
高精度狙撃銃(特殊口径含む)、消音仕様の短機関銃
CQC(近接格闘戦)専用装備・耐刃スーツ・非金属製武器
電子戦対応型ドローン、無人監視システム
専用輸送機・ヘリコプター(機種・所属部隊は非公表)
加えて、2055年4月以降、神経接続型外骨格(Neural Exoskeleton)こと通称神経外骨格の試験配備が開始され、身体能力の強化、反応速度の加速、重量物の持続運搬能力向上を実現することに成功。特に市街地における高低差・障害物環境下での行動力強化が著しく、これに伴い、従来のCQC戦術および都市戦ドクトリンの再構築が進行中とされる。
特殊作戦群(SOG)においては、外骨格の着用が全隊員に対して標準装備として義務付けられている。
これは選抜段階から神経適合率・外骨格拡張耐性が審査項目に組み込まれているためであり、全員が常時装着・実戦投入可能な運用体制が確立されている。
SOGでは既に、個別の骨格ユニットに戦術AIを組み込む同期制御技術の導入も一部始まっており、従来の小隊戦術ドクトリンを超えた単独制圧・超近接展開戦闘への対応力を持つ。
▍作戦発動条件
特殊作戦群の出動は、内閣総理大臣の直轄命令を必要とし、作戦ごとに国家安全保障会議(NSC)の承認を経る。
その投入は、「外交交渉・抑止の失敗」を意味し、国家として最終的な実力行使に踏み切る際の決断である。
発動された任務は、その存在自体が国家機密とされ、実行から終了に至るまで、国内外への一切の報道・公開は行われない。
つまりSOGの出動とは国の体面を裏側から守るための最後の防壁であり、不可視の軍事介入手段である。
▍機密区分
特殊作戦群に関する実戦記録、戦術運用、装備体系、訓練内容のすべては、防衛省および内閣府の特別機密指定(Class-S/非公開扱い)により、厳格に保護されている。
公的資料や報道における記載は、あくまで抽象的・象徴的表現にとどまり、
実際の作戦遂行能力・任務実態については、政府高官レベル以外への開示すら制限されている。
本資料に記された内容も、そのごく一部に過ぎない。
特殊作戦群は、日本国が平和主義を掲げながらも「その背後で牙を研ぎ、誰にも知られず国を護るための存在」である。
▍戦略的評価
その役割は、まさに“国家の裏の矛”。
外交が尽き、防衛線が崩れ、抑止が効かぬ局面においてのみ、静かに抜かれる最終戦力である。
彼らの行動は記録されず、公式の戦史にも刻まれない。
語られぬまま葬られ、痕跡を残さぬことすら任務の一部である。
特殊作戦群とは光の届かぬ闇の中で、「国家」という存在そのものを背負う者たちである。
▍特殊作戦群(SOG) 活動記録(抜粋)
2008年:初の海外任務派遣(イラク復興支援)※非公表扱い
陸自本隊の護衛支援、要人警護、爆発物対応に限定された作戦参加とされる。詳細は未公開。
2010年代:国内外の対テロ合同訓練(米グリーンベレー等と連携)
複数回の実動訓練において、市街地制圧・人質救出・夜間ヘリ降下などを共同実施。報道は極めて限定的。
2015年:イスラム国(ISIS)脅威高騰時における在外邦人救出準備任務
法的制限により実行には至らず。だが特殊作戦群が水面下で即応態勢を取っていたと報道で示唆された。
2020年以降:国際特殊作戦会議(SOF国際会合)に定期参加
NATO加盟国の特殊部隊指揮官らとの非公開セッションにおいて、情報共有・技術連携を実施。共同演習も確認されている。
2023年:在京外国大使館における不審物処理訓練(警視庁と合同)
表向きは爆発物処理演習であるが、一部報道ではSOG隊員による「内部制圧想定訓練」が含まれていたとされる。
2027年:「羽田空港同時爆破予告事案」極秘対応
複数の航空機・滑走路に同時テロ予告。特殊作戦群が民間への動揺を避けつつ、空港制圧・偽装要員排除を非公開で実行。記録は「空港警備強化」として発表されたのみ。
2034年:「首都地下交通網 斬断作戦阻止」※非公式記録
極左武装勢力による地下送電・通信線破壊計画を事前察知。都営地下鉄施設内で夜間展開、敵工作員を無力化。市民への発表は一切なし。
2040年:「新宿バイオ汚染事案」初動介入
非国家組織による違法生物兵器投下未遂。特殊作戦群が防衛医大・厚労省と連携し、拠点制圧と搬出阻止。処理任務は陸幕NBC部隊が継続。
2045年:「対外工作員スリーパーセル一斉排除」作戦
首都圏に潜伏していた外国籍スリーパーを、公安・内調と連携し同時拘束。SOGは都内3か所で制圧・排除任務を担当。
2052年:「海上油田施設占拠事件」対応
東シナ海で日本企業が管理する洋上施設を、偽装海賊が占拠。特殊作戦群が夜間降下・無音制圧を実施。SBU(海自特警群)との協同作戦。
2058年:「人工衛星軌道妨害拠点奪取作戦」支援任務
北海道山間部にて発見された電子妨害装置拠点に対し、電子戦部隊とともに現地制圧を実行。ドローン部隊と連携。
▍2060年:「さくらテレビ占拠事件」制圧作戦(SOG展開記録)
指定過激派組織「アダルトレジスタンス」による首都圏同時多発テロに対し、特殊作戦群(SOG)はさくらテレビ本社ビル制圧部隊として、出動準備を完了。
作戦当初は、多方向からの突入・制圧・人質救出・建物封鎖を含む都市戦闘任務の即時展開が想定されていた。
しかしながら、現場内部において公安調査庁所属の不動(階級不詳/コード名:FUDO)による独断行動が発覚。
不動は、政府の統一指揮系統を無視し、軌道兵器「焦陽ーLaser-Converging Electromagnetic Mass Gauss – Mk.3」の起動権限にアクセス、実際に発射準備プロトコルの一部を作動させていたことが後に判明する。
加えて、アメリカ合衆国副大統領ダイアナ・リーヴスとの非公式通信記録が暗号網から検出され、米国側より「日本政府による武力突入は、国際的な外交的緊張を激化させる」との政治的牽制が伝達された。
さらに、首相官邸・防衛省・NSCからの命令系統が、アダルトレジスタンスによる電子妨害により通信途絶。
内閣から現場への直接命令は完全に遮断され、SOGの行動判断権は宙に浮いた。
これら複合的要因――
すなわち「公安の暴走」「外交的懸念」「国家中枢の通信遮断」――により、
突入作戦は凍結され、特殊作戦群は外周警備の維持および制圧後の現地安全確認、建物構造調査、および瓦礫の撤去・搬出支援といった二次対応任務に従事することとなった。
※対策については後述するΛ条項を参照
◎対応方針に関する補足通達
2060年8月29日付の内部分析に基づき、
指定過激派組織「アダルトレジスタンス」が、東京拘置所に対する武装襲撃を計画中であるとの情報が確認された。
複数の暗号通信、拠点動向、作戦配置パターンの照合結果により、襲撃の対象は、現在同拘置所に収容中の「少年K」の救出であると断定された。
本行動は、単なる人員奪還ではなく、国家矯正機関への直接的破壊・威信失墜を狙った象徴的テロ行為と見なされ、速やかな作戦対処が求められる重大事案である。
ついては、陸上自衛隊第一空挺団ならびに特殊作戦群(SOG)との連携による即時展開体制を整備し、関係機関(防衛省・警察庁・法務省拘置管区)との作戦レベル統合判断を可能とする情報共有・命令系統の明確化が急務とされる。
資料抜粋:戦略即応部隊優先行動令(Λ条項)概要
制定日:2060年9月1日
発令機関:国家安全保障会議(NSC)
法令番号:NSC政戦0609-Λ01号
分類:戦略有事対処枠組/政府機能麻痺時即応権限付与
▍概要
Λ条項は、2060年8月の「さくらテレビ占拠事件」において発生した、国家承認プロセスの機能不全に端を発し、
国家安全保障会議(NSC)により緊急制定された特別行動枠組みである。
本条項は、戦略指定部隊が“政府承認を待たずに即時行動を開始できる権限”を付与することを定めた初の法制度であり、
政府機能が一時的に喪失した際の防衛・治安機構の代替指揮系統確保を目的としている。
▍一部条文抜粋(機密分類抄録)
第1条(目的)
本令は、国家の統治中枢が破壊、遮断、もしくは明確な指揮不能状態に陥った場合において、
特定の戦略即応部隊が自主的判断により即時行動を開始する権限を明文化するものである。
第3条(即応発動条件)
以下のいずれかを満たした場合、Λ条項の発動要件を満たすものとする。
一、首相官邸・NSC・防衛省主要局の同時通信断絶(20分以上)
二、内閣総理大臣の所在不明または死亡が明確である場合
三、指定通信網「Ωライン」による緊急発令(自動発動)
第7条(即応部隊)
Λ条項の適用対象とされる即応部隊は以下とする:
・陸上自衛隊 第一空挺団
・陸上自衛隊 特殊作戦群(SOG)
・海上自衛隊 特別警備隊(SBU)
・統合幕僚監部直轄 戦略偵察群
・内閣情報調査室 特殊通信解析班
第11条(民間統制の維持)
本条項の発動中においても、民間統制原則は尊重されるものとし、
状況安定後、即時に国会および内閣の承認下へ作戦統制を移行することを基本とする。
▍備考
Λ条項は、極限状況下での戦力行使における“戦略的自律性”と“統治秩序維持”を両立させるための試みとされており、
「国家による抑止が届かない時代に備えた法的保険装置」とも呼ばれる。
この時だけ出てくる謎キャラ柴田さん…
でももうこんな設定資料的なのは書かないぞ!
2日かかったもん!




