それからの彼等
ルラン王国の支配下に置かれたとある大陸の、その中でも一番大きな港町。
数年前まで“マンリーニャ”と呼ばれていたその場所は、今はどの国の支配も受けない独立国家として成り立っていた。
そんな小さな国の中心にある大きな建物。
“双翼の剣”という看板を掲げたソコは世界中に名の知られた傭兵ギルドの本部である。
そこに一人の男が慌てた様子で駆け込んで来て、受付カウンターに居た一人の少年へと声をかける。
「おい坊主!! シルさん見てないか!?」
「坊主って言わないでよね!! シルティーナさんならジンさんと世界一周旅行に昨日から出掛けたよ! 一応連絡はつくようにしてるけど、下手な用事で連絡したら帰って来た後にジンさんから絞められる覚悟してね」
「あー、昨日からかぁ……イルーサさんは?」
「ユトさんと依頼遂行中」
「レインは?」
「エレインさんと休暇中」
「クラリナさんは?」
「マスターとバルラトナ家の人達との会合に行ってる」
「アルさんは?」
「カミーナさんと兄弟揃って依頼遂行中……てか、さっきから二つ名持ちの人ばかり名前上がるけど、なんかあったの?」
「いや、ルラン王国が西の草原に軍を敷き始めて……」
「またぁ? あの国も懲りないね……戦力は?」
「一万ってとこだな」
「もぉ!! ハインさんなら居るから呼んで来る! キハトさん達も居たら捕まえといて!! 一万くらいならそんなに人手要らないでしょ? 一応マスターには連絡入れとくけど、たぶんこっちで片付けてって言われるよ」
「おう! 悪いな坊主!!」
「坊主って言わないでってば!!」
「はいはい。ありがとよ、マース」
男の言葉にひらりと手を振って建物の奥へと消えた少年。
その菫色の瞳は楽し気に輝いていた。
かつて“リディーラン王国”と呼ばれていた大陸国家は今やルラン王国の支配下となり、かつての豊かさは影を潜めていた。
そんな大陸の、その中でも一番大きな港町。ルラン王国の支配も、その他のどの国の支配も受けない独立国家。
世界に名だたる傭兵ギルド“双翼の剣”が本部を置き、リディーラン王国の宰相であった公爵家と双翼の剣のマスターが共に政を行うその国は、盛んな交易と世界各国から双翼の剣を頼って来る依頼人達で賑わい栄える。
そんな国家の名は“シルクーラ”。
世界一豊かで、世界一強いギルド国家である。
シルティーナが主人公のお話はこれにて完結です!
皆さまからのご要望が多かったので、「翼を持つ彼等」という名前の小説でギルドの人達のお話しを執筆中です。
興味のある方は覗いてみて下さい。




