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クマ祭り後夜祭  作者: グリズリーアニキ
4/4

グリズリーと魔王

 魔王城の玉座の間。


 魔王は、静かに紅茶を飲んでいた。


「ふぅ~、今日も平和だな~」


 そこに――


 ドォォォン!!


 天井が爆発した。


(平和は……? ワシの優雅なティータイムは……?)


 魔王はカップを置いた。

 気を取り直し、侵入者に尋ねる。


「貴様が勇者か……」


「ガウ!」


 現れたのは、巨大なクマ──グリズリーだった。


 鎧を着て、剣を背負い、マントまで羽織っている。


「……勇者?」


「ガウガウ!」


「いや、通訳いないと会話できない感じ……? え、どうする? 魔王、どうする……どうする、魔王!?」


 魔王は考えた……。

 しかし、何も思いつかないから、昨日観たアニメの続きを想像していた。


 その瞬間、グリズリーは胸を叩いて誇らしげに言う。


「ワテは勇者グリズリー!」


「勇者の一人称“ワテ”なの嫌なんだけど……。ていうか、しゃべれるなら、最初からしゃべって!!」


「魔王、貴様を倒しに来た! そして壺を割るのが趣味だ!」


「ワケわからん宣言するな!」


 魔王はため息をついた。


「というか、なんでクマが勇者なんだよ」


「職業適性診断の結果だ!」


「クマもそういうのやるの!? 人材不足なの……?」


「適職:勇者、僧侶、ハチミツ大好き」


「最後だけ職業じゃないんだけど……」


 グリズリーは、剣を抜いた。


 ズルズルズル……


 床を引きずっている。


「重すぎだろ、その剣!」


「伝説の聖剣だ! ワテのための剣だ!」


「そのわりに扱えてないんだけど!」


 グリズリーは、剣を構えた。


「いくぞ、魔王!」


「来るな、落ち着け」


「必殺──技」


「話を聞け!」


 次の瞬間――


 グリズリーは、なぜか回転し始めた。


「なんで回るんだよ!?」


「クマは回るものだ!」


「回らねぇよ!」


 魔王は考えた……。


(クマが回る……? え、もしかして、“クマ”じゃなくて“コマ”……?)

  

 しかし、魔王が気づいたときには、回転はどんどん加速していた。


「待て! 床削れてる! 城が削れてる!」


「大丈夫だ!」


「何が!?」


「ワテが主役だから!」


「うん、ワケわからん!」


 ドォォォン!!


 回転の勢いで、グリズリーは壁に激突した。


 城の壁が崩れ落ちる。


 煙の中から、ボロボロになったグリズリーが出てきた。


「や、やるな……さすがは魔王……。だが、勝負はこれからだ!」


「ワシ、何もしてないんだけど!! もう、諦めたら……」


 魔王が言った。


「なぜだ!? ワテが、勇者だ! 諦めることなど決してしない」


「お前、魔王より恐いんだけど……違う意味で」


「ワテは……ワテは、諦めない……。魔王、絶対に貴様を倒してみせる! “プー”の名に懸けて!」


「プ……プーって……まさか……あの……」


 魔王は焦っていた……。

 もし、あのクマのことだったら、色々な問題があるかもしれない……。


「ああ……“プータロー”の“プー”だ!!」


「なんだ、良かった……」


 沈黙。


「いや、別に良くない……。ていうか、あんた、勇者だよね……。プーじゃ……」


 魔王がそう言いかけると……グリズリーは暗い顔をした。


 はっとする魔王。


「そ、そうか……。勇者は職業ではない……。つまり、お前は無職……」


 グサッ


 グリズリーは、瀕死のダメージを負った。


(ど、どうしよう……どうしよ平八郎……。励ました方が良いかな……?)


「勇者って、世界を救う存在だよな?」


 魔王が優しい声で語りかける。


「そ……そうだ……」


「じゃあ、良いじゃないか……無職だって……。世界を救う存在なんて、最高にカッコいいじゃん!」


 魔王はそう言って、親指を立てた。


「ま、魔王……!」


 魔王の言葉に目を潤ませるグリズリー。


「泣くんじゃねえ! 大丈夫だ、世界を救う勇者はお前だ!!」


 魔王は叫んだ。


「魔王~!」


「グリズリー~!」


 そう言いながら、駆け寄る二人。


(あ、隙だらけ……)


 グリズリーは、魔王に向けて聖剣を振るった。


 こうして――

 勇者グリズリーの手によって、世界は救われたのだった。

最後までお読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字、誤用などあれば、誤字報告いただけると幸いです。

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― 新着の感想 ―
ちょっと〜wめちゃくちゃ面白くて、職場の休憩室で声出てしまったじゃないですか〜w 魔王と勇者、ワシとワテ、そしてプー。もうダメw 最後にそんな励ましてくれた魔王を容赦なく切るプー太郎のクマ勇者。正義っ…
 この、魔王の妙な人の良さと危機感のなさ。彼は、これで荒ぶる魔物たちを統率することが出来たのでしょうか。  壺や箱を壊すのが趣味、ということはこの勇者グリズリー様はゲーム由来の勇者様なのですね。……そ…
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