第322話 ダイヤの過去①
■クリス
「ハンク・コナーに会うといい。彼なら君の知りたいことを教えてくれるだろう。これは彼のオフィスの住所だ」
神父はそう言って1枚の紙切れを渡してきた。
俺はそれを無言で受け取り、ダイヤの手を握る。
「それともう一つ、8月4日はレミィの退院日だ。里親が見つかったからね」
今日からちょうど1週間後か……。それまでにこの孤児院の秘密を暴いて、この子たちを凶悪な陰謀から救い出さなければ!
□
ハンク・コナーのオフィスはパリのモンマルトルにあるらしい。ベルリンからはかなり遠いな。
俺とダイヤは宿泊するための荷物を持ち、テゲール国際空港からシャルル・ド・ゴール国際空港まで飛行機で向かっていた。
そんな上空1万メートル、ダイヤは失っていた記憶を……孤児院での過去をいつになく饒舌に語ってくれた。
「私の本名はリナ……リナ・ジュールズベリー。お父さんはサラリーマンで、お母さんはピアノの先生をしていた。私はお父さんと一緒にお外で遊ぶのが大好きだった。私はお母さんのピアノの音色が大好きで、お母さんは私にピアノを教えてくれた。決して裕福じゃなかったけど、貧乏でもない平凡な生活をしていた。けどある日を境に、そんな平和な毎日は水面の泡沫のように消え去った」
ダイヤは真顔で目だけをカッと見開いて、
「お父さんが私を殴ったの。私の顔がパンパンに腫れるまで……肋骨や指の骨が折れるまで……血のおしっこが出るまで……何度も何度も……執拗に、サンドバッグみたいに……『お前は悪魔だ』って言いながら。それを見ていたお母さんも『あんたなんて産まなければよかった』とか『死ね』って言って私を散々に罵った」
「……」
俺は無言でダイヤの肩を抱き寄せた。
「虐待が始まって半年くらい経ったある日。突然家に白スーツの男たちが来て、私は彼らに保護された。そしてとある実験施設に送られて、白衣の大人たちが私の体の傷をすっかり治してくれた。けどそこは病院じゃない。私のために傷を治してくれたんじゃなくて、私を利用するために治療をしたの。私は白衣の大人たちの実験によって左腕を失った。そして次に送られたのがリッチ神父のいる孤児院だった……」
To be continued!⇒
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