第310話 村雨・真打
■隆臣
バラライカの右拳とアラカメルの左足が衝突。瞬間、接触面が青白く光り空気が揺れた。
ヤツの巨体が落ちてくる。俺はエースを抱えてヤツの下から脱出。
アラカメルの左脚はぐちゃぐちゃになっている。そしてその巨体はピクリとも動かない。
まさか倒したのか? ワンパンで。
「お前……強すぎだろ」
俺はアラカメルの死体の上に立つバラライカに素直な感想を伝えた。
「これくらい呼吸と一緒だ。オレを誰だと思っている」
ワンパンは呼吸と一緒……パワーワード過ぎだろ。これが序列9位……フォルコメンの力か。しかもまだまだ余裕そうだ。
「バラライカちゃんすごいよ! やっぱりバラライカちゃんは最強だよ!」
エースは大興奮でバラライカのところに飛んで行った。瞑想の日以降、2人は仲良しになったみたい。
「そうか? エースもがんばればもっと強くなれるぞ」
バラライカは軍服の襟で口元を隠しながら返した。なに少し照れてんだよバラライカ! 俺のときとは全然反応が違うじゃないか!
「ちょっと待ってろ」
するとバラライカはさっきまでくつろいでいたメサの方に跳んで行ってすぐに戻ってきた。
バラライカの手には日本刀が握られている。
「エースのガイスト能力も相まってタカオミの重刹は間違いなく肉弾戦での必殺技になるだろう。だが素手では限度がある。これを受け取れ」
俺はバラライカから日本刀を受け取った。
「村雨!? 折れたはずじゃあ」
「村雨・真打。ユキタカメジロが30年前に法院に置いていった妖刀だ。おそらくお前が折ったのは影打だな。真打は折れん」
まさかイギリスで日本人の話題が出るとは思わなかった。そういえば爺さん目白は昔法院に所属していたってレオが言ってたな。
てことはこれは爺さん目白のものだったのか。村雨・真打……たしかに3ヶ月前の村雨とは伝わってくるオーラが全然違う。はっきりわかる。この刀は強い。
鞘から刀身を抜き出した。
太陽の光をまぶしく反射している。まるで鏡だな。
そして刀身に掘られた倶利伽羅龍王。倶利伽羅龍王ってのは不動明王が持つ剣に絡みつく龍で不動明王の化身でもある。この倶利伽羅龍王の彫刻がめちゃくちゃかっこよくてきれいなんだよな。
久しぶりだな村雨。またよろしくな。
「さあ来たぞ」
バラライカは空を指さした。
そこには目の前のアラカメルよりもさらに一回り大きいアラカメルが飛んでいた。
そして俺たちを発見して大きく咆哮し、ものすごいスピードで滑空してくる。
俺は村雨の刀身を握り右の手の平を出血させた。そして柄を握り村雨に体内由来の魔力粒子を供給。
試し斬りはこのアラカメルでいいな。最初っから最大出力でいくぞ!
To be continued!⇒
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