第308話 重刹
■隆臣
3日後。
「はーッ!」
アイラ・ハンプトン・ローズの荒野の隔絶領域にて、俺は1級魔獣を素手で狩っていた。
1級魔獣は俺の渾身の右ストレートを受けて大きく怯む。すかさず渾身の回し蹴りを叩き込み1級魔獣を討伐した。
「ふぅ」
残滓記憶喚起による身体能力の底上げと、重刹(自身の攻撃のインパクトの瞬間に魔力波を放って威力を倍増させる技)で1級魔獣をたった二撃で仕留めることができた。
3ヶ月前とは比較にならないくらい強くなったことを実感している。あのときは準2級にすら殺されたかけてたからな。今の俺ならワンパンだろうけど。
ちなみに残滓記憶喚起ってのは、エースのガイスト能力による身体能力強化がなされたときの記憶を呼び起こし、そのときの5分の1程度の身体能力を発揮する荒業のことね。感覚的には通常時の約1.2倍くらいの身体能力にはなるよ。
「よくやったタカオミ。褒めてやろう。そろそろ武器を持ってもいいかもな」
「ありがとう。でもたった3日でここまでできるようになったのはバラライカのおかげだよ」
「ふん! 褒めても何も出ないぞ、バカ弟子!」
並の魔術師が数年掛けてマスターする魔力操作をたった数日でここまで習得できたのは、バラライカの修行メニューと的確かつわかりやすいアドバイスのおかげだ。バラライカはこう見えてけっこう教えるのが上手い。
「エースはどんな感じだ?」
「拳銃はかなり上達したし、剣もそこそこ振れるようになってきた。3級と準2級ならまあ問題はないだろう」
「そっか。順調みたいだな」
瞑想以降の修行において俺とエースは別々のメニューを行っている。俺は近接格闘における魔力操作の練習、エースは武器を使う練習だ。
エースは拳銃すらまともに撃てなかったからな。剣も重くて振れないとか言ってたし。
「とりあえず休憩にしよう。休憩が終わったらすぐに次のステップだ」
――――――――――――――――
エースと一緒に休憩を終えると、
「次は2人で準特級魔獣を討伐してもらう。ただし隆臣は素手だ。お前たちが命に関わるほど危険だったらオレが助けてやるから安心しろ」
バラライカはそう言ってポケットから笛を取りだし、
――ピーーーピーーーピーーー
と鳴らし始めた。
何してんだ? 準特級魔獣を呼び寄せているのか?
しばらくして俺とエースは絶句した。
「おい……なんだよアレ」
「デカすぎるよ!」
空を飛んできたのは翼の生えたジャンボジェット並に巨大なドラゴンだった。
To be continued!⇒
ご閲覧ありがとうございます!




