第300話 重大発表
■凛
会場はざわつきを通り越して大騒ぎです。
――ドンッ!
まばたきをした0.1秒。その一瞬のうちにジョーカーの目の前にはブラドおじいちゃんと20代くらいの男性がいました。
男性が振り下ろした両手剣をブラドおじいちゃんは親指と人さしゆびだけで受け止めています。
ブラドおじいちゃんが守ってくれなかったら……おそらくジョーカーは切られていたでしょう。ガイスト能力を発動していなかったので。
「取り乱すな。死にてぇーか?」
おじいちゃんはそう言ってたった2本の指の力だけで両手剣を破壊しました。床には皿の破片のように砕けた刃が散らばっています。
男性は柄を持ったまま一瞬でブラドおじいちゃんから離れました。
隆臣、エース、レオがわたしとジョーカーの近くに駆け寄って来ました。
そしてさっきジョーカーを攻撃してきた男性は魔女隊ナディア班に取り押さえられています。
「これはどういうことだブラド」
ワイングラスを片手にハット帽を被った40代くらいのハンサムおじさんが優雅にブラドおじいちゃんに尋ねます。
「察しの通りだスタンレー」
「お前といると退屈しねーな」
ハンサムおじさん……スタンレー卿は愉快げにワインを一口飲みました。
ブラドおじいちゃんはもう一度スタンドマイクの前に立ち、
「リンカ・フォン・シュヴァルツブルク=ルードシュタットの存在はおとぎ話ではありません。そして彼女が残した数々の伝説もすべて事実です。彼女は数々の禁忌を破りました。彼女は黒魔術の真価を見出しそれを世に広めてしまったことで欧州各地で黒魔術の被害者が激増しました。彼女が完成させたシュヴァルツの大魔法は欧州大戦を招き多くの人命が失われました。彼女が死に際に残したガイストという概念は世界の均衡を崩壊させました。
370年経った現在では彼女の存在はおとぎ話とされてしまい人々が彼女と向き合うことはなくなってしまいました。ですが今回晩餐会に出席して頂いているシュヴァルツ七家をはじめとするシュヴァルツの血族や当時から存命されている吸血鬼のみなさまの中には黒魔女伝説は真実だと知っていて、そして彼女をひどく憎む方々は少なくはないと思います。
しかし彼女は悪くありませんでした。彼女はあくまで舞台の上の俳優にすぎません。彼女はまだ幼かったので脚本家の存在にも気づけず与えられたシナリオをただ演じることしかできませんでした。彼女は悪くありません。彼女をもう責めないでください。彼女に対する誹謗中傷はやめてください。彼女の血族に対する差別はやめてください。同調圧力は捨て去りましょう。諸悪の根源は脚本家にあります。
脚本家の名前はNEO。NEOは組織で現在も活動してます。私は370年前にNEOの1人に偶然出会いました。小さな女の子でした。拘束を試みましたが空間転移で逃げられてしまいました。それ以降私はNEOについて調べてきました。しかしわかったことはたった3つです。1つめがNEOは始祖リンネと何らかの関係を持つということ。2つめが魔法と超先端な科学を掛け合わせた技術を持っているということ。3つめがここ数年でNEOの構成員と思われる人物の目撃証言がかなり多くなってきたということです。
私が今まで調査部隊を設置しなかったのはNEOに警戒されないためでした。しかし先日NEOは私の存在に気づきました。ですのでここに調査部隊の設置を発表いたしますとともに、リンカ・フォン・シュヴァルツブルク=ルードシュタットへの誹謗中傷やシュヴァルツの血族への差別をこれ以上させないために悪しき脚本家NEOを確保することをここに誓います。どうか私たちの背中を押してください」
To be continued!⇒
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