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第298話 バラライカ・トレビア・アルテミシオン

■隆臣


 魔女隊ナディア班と別れ廊下を歩いていると軍服を着た少女が向こうから歩いてきた。

 そしてすれ違いざまに、



 ――ズドンッ!



 腹を殴られた。



「隆臣、大丈夫!?」


「おう……なんとかな」



 ロリに拳で殴られたのはロザリオ事件でのエミリー以来だぜ。

 そしてこの軍服ロリ……只者じゃねぇ。おかしいだろあのパンチの威力! 丸太くらいならへし折れるぞ?

 胃の内容物が上がってきそうだ。耐えろ。



「なんだテメェ!」


「お前、弱いな」



 少女は真顔で言った。



「いきなり腹パンしてくるやつがいるかよ! バカかテメェ」


「バカはお前だ」


「は?」



 この軍服ロリ……少々頭がおかしいんじゃなかろうか?


「そんな弱っちかったら誰も守れないぞ。何が護衛だ! 今のお前らは逆に護衛されるちまうぞ」


 コイツ……マジでムカつく。



「何が言いたい」



 俺はエースに支えられながら腹をおさえて立ち上がる。



「シナガワタカオミ、お前は今よりも強くなりたいか?」



 強くなりたい? 当然だろ。

 ロザリオ事件で俺とエースは確実に強くなった。いや、強くなったのはエースか。俺は何も変わっちゃいない。

 エースがいなければ俺は無力も同然じゃないか。



「隆臣は十分強いよ! だって……」



 俺は軍服ロリに抗議しようとするエースを止めて、



「エースに守られるのは嫌だ。俺がエースを守りたいんだ」



 と。

 それを聞いてエースは耳まで真っ赤。我ながら恥ずかしいこと言っちまったな。



「よかろう。序列第9位のこのバラライカ・トレビア・アルテミシオンが特別にお前を鍛えてやる。明日オレの部屋に来い」



 バラライカと名乗った女の子はそう言い残して去ってしまった。



「俺を……鍛える?」



 たしかエーリンに聞かされた話によると、バラライカは法院随一の格闘能力を持つ真祖なんだっけ?

 そんなやつがなんだって俺に突っかかってきたんだ?

 なんかよくわかんないけどお呼ばれしたからには行くしかないか。

 そんなことを考えていると突然、エースに後から抱きつかれた。



「エース?」


「ありがとう」


「何が?」


「私を守りたいって言ってくれて」


「当然だろ。お前は女の子なんだから守られるもんなんだよ」



 そう、ガイストであっても例外ではない。

 俺は振り返り、



「守れるだけ強くなってみせる」



 エースを抱きしめ返した。



 To be continued!⇒

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