第294話 魔女隊総長アイラ・ハンプトン・ローズ
■ジョーカー
さて次で挨拶回りは最後ね。
わたし、凛、ブラドは参謀総長室にやって来た。
ドアを開けた瞬間、
「やっと来た! 待ちくたびれたよ〜! さ、入って入って」
白いロングスカートに白いジャケット、白いローブに白い魔女帽子を身につけた巨乳の女に腕を掴まれたわたしと凛は部屋の中央に連れていかれた。
魔女装束一式を白でまとめることができるのは魔女隊総長だけ。つまりこの巨乳が一番偉い魔女なのだ。そしてちゃんと星級の魔女のみが着用できる星のブローチをローブに付けている。
「ちょーっち早いけど、一緒にランチはいかが?」
アイラがそう言うと本に囲まれていた魔女隊総長室に風が吹き、花の匂いが漂ってきた。
まぶしい光に包まれ、目を開くとそこはお花畑だった。小鳥がさえずり蝶が舞っている。
花畑の中央には立派な木が生えていて、その下には白い丸テーブルと椅子がある。テーブルにはジャンクフードが並んでいる。
「昼食の花園へようこそ。わたしは魔女隊総長星級の魔女のアイラ・ハンプトン・ローズ」
ここは彼女が魔法で作り出した外界とは隔絶した領域――昼食の花園。
コンテナ船でのアザエル戦でレオが傲慢魔術を用いて領域内に夜のカイロを再現してたけど、それと同じ系統の魔術ね。
相違点を上げるとすれば傲慢魔術は現実世界にある場所を広域で再現することができ、アイラの心象投影魔術は心象世界を挟域で再現することができるって感じかしら。
噂だとアイラは数千の隔絶領域を使いこなすことができるんだとか。全盛期のわたしですら1つしか使えなかったから、アイラはバケモノ過ぎるわ。もちろん隔絶領域だけでなく魔力や他の魔術も最強クラスなんだろうけど。
「わたしは新しくプトレマイオスになりました三鷹凛ですっ!」
「わたしは凛のガイストのジョーカー。ここはとても素敵な心象だわ」
「2人ともよろしく。いい場所でしょう。ランチにはピッタリな場所だと思うの」
アイラはそう言って木下の白いテーブルに向かい、ローブを翻して着席した。
わたしと凛もアイラに続いて席に座る。
「ってワシの席がない!?」
ブラドがそんなことを言い出した。よく考えたら椅子は3脚しかないわね。
「女子会は男子禁制ですよ、ブラド監視役」
「ぐぬぬ……美人に囲まれてランチしたかったのぅ」
ブラドは体育座りして地面をつついている。
「何いじけてんのよ。キモイからさっさと出てって!」
わたしはブラドを睨みつけて言い、
「ごめんなさいおじいちゃん。おじいちゃんはお外で待っててください」
凛は申し訳なさそうに言った。
「うぅ。おじいちゃん悲しいけど! おじいちゃん悲しいけどリンカとリンが……孫たちがそう言うなら出て行かざるを得ない!」
ちなみにわたしはアンタの孫の孫よ。しかも義理。凛なら孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の……。
ブラドは袖で涙を拭いながら隔絶領域をこじ開けて外に出ていった。
隔絶領域をこじ開けて出ていったとサラっと言ったけど、普通はこんなことできない。
隔絶領域はその名の通り外界と内界を隔絶するためのもの。隔壁は容易に破壊できないように仕上げられている。
狭域領域なら物理的に破壊することはまず不可能だし、隔壁を破壊する魔術も数少ない。単純な魔力でもそれこそ核爆弾並のエネルギーが必要だ。
そう考えると魔力を用いて片手間で狭域領域の隔壁をこじ開けられるブラドはやっぱり頭がおかしいわ。
To be continued!⇒
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