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第293話 参謀総長アーサー・ウィン・ウェストコット

■ジョーカー


 参謀総長アーサー・ウィン・ウェストコット。

 参謀部の最高責任者で異能序列2位の真祖。ブラドに次ぐ実力を持ち頭脳も法院随一だわ。

 参謀総長室に訪れたがアーサーはいなかった。ブラド曰くここにいないなら司令室にいるという。

 なのでわたしたちは1階の司令室にやって来た。

 たくさんの現代スーツを着た参謀部の職員たちがいそいそと作業をしているわ。


「忙しそうだねアーサー君」


 白いあごひげに触れながらブラドは黒縁メガネ&現代スーツのボサボサ髪のいかにも社畜な金髪男に話しかけた。彼の机の上には紙の資料やエナジードリンクの缶が山積みになっている。


「うっせーな! こちとら今日の晩餐会のためにおとといから一睡もしてないんだよ! ってアンタか、ブラド爺さん」


「すまんね作業中に。邪魔なのは百も承知だけど、この子たちを連れてきたんじゃよ」


 と言ってブラドがわたしと凛の背中を押してくれた。


「わ、わたしは新しくプトレマイオスになりました三鷹凛ですっ! よろしくお願いしますっ!」


「わたしは凛のガイストのジョーカーよ」


 凛とわたしが自己紹介をするとアーサーは作業の手を止めてジーッとわたしたちを見つめてきた。だがすぐに作業を再開し、


「アーサー・ウィン・ウェストコット。悪いが今お前たちに構ってる暇はこれっぽっちもない。主にお前たちのせいでな」


 嫌味全開でそんなことを言ってきた。うっざ! 凛もしゅんとしちゃってるわ。


「いや悪いねぇ。もう1人のボクって無愛想なんだよねぇ」


 と言ったのもアーサーだ。声質は同じだが直前とは口調とトーンが全く違う。


「勝手に出てくんな邪魔なんだよッ!」


「もう1人の自分に向かって邪魔はないと思うよ。ボクだってこの目で禁忌の魔女とその子孫を拝みたかったんだよ!」


「こっちはお前にジャンケンで負けて仕事させられてんだよッ! それにこのチビ共には晩餐会でも会えるだろッ!」


「晩餐会は晩餐会! ここはここ!」


「あーはいわかったよわかったッ! めんどくさいなこの野郎ッ!」


 同じ人が口調とトーンを変えて1人で会話してる。

 わたしと凛がブラドの顔を見上げると、


「アーサー君は二重人格者なんじゃよ。正確には1つの肉体に分裂したアーサー君の2つの魂が宿っている。だからウーザー君もヤーサー君もどっちもアーサー君ってことじゃ。あ、ウーザー君ってのはウザイ人格のアーサー君でヤーサー君ってのは優しい人格のアーサー君のことね」


 アーサーを一瞬ただのかわいそうな人かと思ったけど、やっぱり多重人格者だったのね。しかもただの多重人格じゃなくてかなりレアな単一人格分裂型多重人格。てかウーザー&ヤーサーってなんかジワるわね。


「見てごらんリン、リンカ」


 ブラドはそう言ってあわあわとはたらく職員たちを指さす。そこには4人の目につく少女たちがいた。

 赤い鎧ドレスを着た女の子と青い鎧ドレスを着た女の子と黄色い鎧ドレスを着た女の子と黒い鎧ドレスを着た女の子の4人だ。


「赤の子がルフィ二、青の子がクラウゼ、黄色い子がルミ、黒い子がノワール。あの子たちは全員アーサー君のガイストじゃよ」


「え? 4人も? そんなはずないわ。ガイストは1人につき1人までなのよ」


 わたしは常識を口にする。


「ガイストについてはリンカが一番詳しいはずだろう。ガイストは1人につき1人ではなく1つの魂につき1つの霊魂じゃ。そして稀に一卵性双生児の霊魂は合体して1つになることがある。つまり二組の二重一卵性双生児霊魂がそれぞれウーザー君とヤーサー君に憑依したってことじゃ」


 ガイストはわたしが作り出したもの。なのにすっかり仕組みについて勘違いしてたわ。ジジイに教えられるなんて恥ずかしいったらありゃしない。


「おいブラドの爺さん! もとはといえばアンタがこのチビッ子連れてきたせいでもう1人のオレがオレに突っかかってきたんだ! 責任持ってこの事件解決してくれ! アポストルの野郎共、任務を放棄して昼間っから飲んでいやがる。これだから傭兵はッ!」


 ウーザーはそう言って魔力を操作して任務概論をブラドに手渡した。


「ドール事件かい」


「アンタなら楽勝だろ? それこそアイラんとこ行ってっからでも充分晩餐会に間に合うほどにな」


「まあそうじゃが……」


「俺がやるよ。その事件」


 白い髭を触ってどうしようか迷っていたブラドから書類を取り上げて言ったのは魔剣の蔵だった。声だけでわかったわ。


「魔剣の蔵か。別に爺さんじゃなくてお前でもいい。役立たずのアポストルよりは1000倍マシだ」


「おお、行ってくれるのか魔剣の蔵君。序列6位の君がこの事件に当たってくれるのはとても助かるよ」


 アーサーは作業しながら、ブラドは魔剣の蔵の肩を叩きながら言う。


「あ、俺とイオでもたぶん晩餐会前には帰って来れると思うけど、めんどくさいから明日でもいい?」


「構わん。失せな」


「リョーカイ」


 魔剣の蔵は鼻歌交じりで司令室の出入口に歩いていく。そしてわたしの横を通り過ぎるそのとき、魔剣の蔵はわたしの耳元で、


「時間は稼ぐ。多少の名誉も捨てる。だから上手くやれ」


 と小さな声で言った。



 To be continued!⇒

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