第292話 副院長シクロ・ミッドウェー
■ジョーカー
次は副院長のシクロ・ミッドウェーよ。部屋は塔部分4階にあり、フォルコメンにしては珍しく普通の人間だわ。序列10位までのうち7人が真祖で1人が不老の魔女で2人だけが普通の人間。普通の人間とはいえそのうちの1人は魔剣の蔵だから、おそらく序列10位までにまとも人間は副院長であるシクロ1人だけね。序列一桁は全員イカれてる。
部屋の中に入るとそこには現代スーツに身を包んだ男がソファーに座ってミルクティーを飲んでいた。テーブルの対面にはショートパンツのスーツを着た女の子がいて、どうやら2人はチェスをしていたようだ。男が白で女の子が黒だわ。パッと見女の子の方が優勢ね。
「すまんね対局中に。この子たちが新しいプトレマイオスだよ」
「こんにちは! 三鷹凛です!」
「ガイストのジョーカーよ」
ちょっと話しかけにくい雰囲気だったけどブラドが切り出してくれたから凛とわたしはすぐに自己紹介をした。
「あと7手待って……」
と、女の子。
待てと言われたので少しだけ待つことにする。
すると黒い駒が誰も触れていないのに勝手に動き出した。
男の手番。男も一切駒に触れずに黒い駒を排除して白い駒を進めている。
これは俗に言う魔法使いチェスだわ。ただチェス駒を魔力で動かしてるだけだけど。
魔力は魔力粒子の持つエネルギーのことで、残滓粒子を核にして魔力源由来の魔力粒子を集結させた魔力弾というものを変形させてチェス駒を掴んで移動させているのだ。
魔力を指先のように繊細に使いこなすことができるなんて、さすがは副院長とそのガイストだわ。きっと魔力だけで裁縫とかもいけちゃうんじゃないかしら?
そして女の子の宣言通り7手後。
「クッソ! 先攻なのにまた負けた! シエは本当に強いなぁ」
女の子が勝利した。
「お待たせ〜。シエはシエナっていうの〜。シクロのガイストな〜」
「オレはシクロ・ミッドウェー。法院の副院長で序列は10位だ。よろしくなおチビちゃんたち」
この子はシエナっていうのね。かわいい見た目に相応しいかわいい名前だわ。すっごくおっとりしてる。
だがシクロ・ミッドウェー、お前は許さん。誰がチビよ! あんたには言われたくない! こいつは男のクセにチビだ。激チビだ。身長150センチくらい!
「誰が『男のクセに激チビ』だってェ? まさか副院長のこのオレに言ったわけじゃないよね? だよねぇミズジョーカー! まさかねェ?」
ギクっ! まさか声に出てた!? そんなバカな!
てか顔近い! キモイ! 息くさい!
「ほらまたそうやって『キモイ』とか『くさい』とか。特に初対面の人はそうやって副院長のこのオレのことをバカにするんだ。ヒドイよな。オレは法院の副院長だってのに!」
こいつの第九感……読心術ね。フォルコメン&テスティモーネの中で唯一まともな人間かと思って期待してたけど、ぜんっぜん違ったわね。最悪だわ。気持ち悪いくらい心を読み取られるし、はやくこんなところ出て行かないと!
To be continued!⇒
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