第275話 AXISのおかげ
■ジョーカー
「水府流奥義・月兎ッ!」
来る! チャリオットの大技! 防御術式じゃ間に合わない! わたしも大技で受け止めないと!
「剣術式・大蛇毒牙!」
乳白色の大蛇のレイピアの刀身が禍々しい紫色に変わっていく。この毒に触れた生物はその部分が瞬時に蒸発する。猛毒の何十倍以上も危険な代物だわ。
けどこの剣術式を使わなければチャリオットの大技には対応できない――負ける。
巨龍の大剣との衝突寸前、チャリオットは刀身を体で隠して間合いをはかられないようにした。
今頃間合いを隠したって無駄よ。さっきの打ち合いで間合いは完璧に理解したんだから。
しかし次の瞬間、わたしはなぜか客席にいた。出血と胸部損傷の状態異常のマークがHUDに表示されている。一体何が?
左の視界が真っ赤だわ。出血と頭に手を当てると生あたたかい何かを感じた。手のひらを見てみると血が付着している。
そしてわたしはようやくチャリオットに吹き飛ばされたということを理解した。
あのときチャリオットは刀身を隠して間合いをはかられないようにしたのではない。あれはフェイク――本命は大剣による水府流奥義・月兎ではなくただの蹴りだったんだわ。
普段は現実と全く同じ感覚感度でやってるけど、試合前に痛覚を全遮断しておいて正解だったわ。きっと現実の痛覚だったら泣き叫ぶくらい痛いんでしょうね。肋の3、4本は折れてると思うわ。
今のはしてやられた。けど東天西脚四連斬を空穿で相殺したりチャリオット相手にコンボ技を決めることができたのはやっぱりアクシスのおかげね。たった1時間だけど、チャリオットの全ステータスを下方修正して第六感を50パーセントカットするプログラムがだいぶ効いてるみたいだわ。しかもチャリオットは気づいてないみたい。
わたしは服についたほこりをはらい落としながら立ち上がって再び剣を構えた。
To be continued!⇒
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