第271話 観戦
■ウタハ
世界標準時7月19日12時00分(日本標準時7月20日21時間00分)。決闘都市トール闘技場。
ゴングがなった瞬間、闘技場中央から衝撃波が発生した。ジョーカーさんとチャリオットさんの剣が衝突したからだ。50メートル以上離れているわたしとユーの髪の毛を揺らすなんて……すごすぎる! 塀の上に止まっていた鳥もビックリして飛び立ったよ。あ、ハゲおじさんのカツラが衝撃波で飛ばされてる!
剣が衝突するたびにものすごい衝撃波が発生するので、客席前方に座っている人たちはたまらず席を立って後方に移動している。
決着の頃には闘技場付近が更地に変わってるんじゃないかな!
チャリオットさんの剣は巨龍ファフニールの素材から作られた万物を叩き割る最上大業物の大剣。ジョーカーさんの剣は大秘宝である巨蛇ヨルムンガンドの抜け落ちた牙で作られた万物を穿つ最上大業物のレイピア。
お互いに最強クラスの剣を持ち合わせている上に、そもそも2人とも最強。最強と最強がぶつかる度にまるで超巨大生物の咆哮のような衝撃波が響いている。
しかし2人の剣は折れることはもちろん刃こぼれさえしていない。最上級の素材で作られたからというより、2人の剣の技術の高さによるものだと思う。
私も剣を使ってるけど、モンスター1匹狩るだけで刃こぼれしまくりなんだよね。一昔前のゲームと違ってこのゲームのPCはゲームをやってる本体に依存するから、剣なんて持ったこともない私は剣を扱うことなんてできない。
逆にこの世界で身につけたことは現実世界でも行うことができる。だから7倍長い時間が流れるこのゲームの中でわたしとユーは放課後に受験勉強しているのだ。
ユーの情報によると、ジョーカーさんはユグドラシルファクターに来てから剣技や剣術を身につけたばかりなんだって。対するチャリオットさんは現実世界でも剣の達人なんだという。そう考えるとジョーカーさんの吸収力はえげつないよね。
「きゃ〜っ! ジョーカーさんかわいい〜っ!」
左隣に座るユーは目をハートにして試合を眺めている。楽しそう。
しかしユーの左隣――すなわち私の2つ隣に座る女の子は「はぁ」と深くため息をついて試合を眺めている。
「バカヤローっ! このイオを差し置いて禁忌の魔女と遊びやがって! 戻ったら絶対踏んずけてやる〜っ!」
轟音が響く中、女の子は闘技場中央に向かって超大きな声で叫んでいる。
ジョーカーさんかチャリオットさんに恨みでもあるのかな? って思ったけど名前を見たら明らかだった。
Magicsword―Jupiter io……魔剣騎士団―イオ。チャリオットさんのクランの人だ!
To be continued!⇒
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