第242話 友を待つ
■ジョーカー
アザエルが去り、海上にはわたしとレオだけが取り残された。
大波で狂っていた海面も今は穏やかで、嵐もすっかりやんで空には太陽が輝いている。カモメの鳴き声が聞こえる。
コンテナの内容物が無数に浮かんでいたり、巨人の血液が周辺を赤黒く染め上げていること以外は至って平凡な東京湾の光景だ。
「戻ろう」
「ええ」
わたしたちは空を飛んでマリーンエデンに戻った。
■隆臣
ジョーカーがコンテナ船を追って30分が経過した。俺たちは沖合のコンテナ船をじっと眺めていた。
俺たち爺さん目白防衛隊の中ではジョーカーが最も強い。ジョーカーの足を引っぱらないように俺たちはここで待機しているわけだが、ジョーカーはうまくやっているだろうか? 痛い思いはしていないだろうか? いくら玄武を打ち倒したからといって、時間を操れるジョーカーに敵う相手がいるはずない。大丈夫だ、ジョーカーはきっと敵をあっさりやっつけるに違いない。
晴天の下、俺たちは固唾を飲んでジョーカーの帰りを待つ。
「ジョーカー……大丈夫かな?」
「大丈夫だよ! だってジョーカーは強いもん!」
エースはやさしい笑顔で凛を励ましている。自分だって不安だろうに、エースは本当にえらいなぁ。帰ったらなでなでしてあげよう。
――ゴロゴロ
さっきまで明るかった空が一瞬で暗くなり、大粒の雨が降ってきた。風も強く、波も高くなっている。稲妻が湾上に落ち、雷鳴が轟いた。ゲリラ豪雨だな。
マリーンエデンに来場した客たちは慌てて室内に入ったり屋根のある所に向かっている。
そんな俺たちのところに不思議な髪色の少女が現れた。ガイアだ。禁則事項で教えてもらえなかったけど、マリーンエデンでの用事は終わったのか?
「禁忌の魔女は負けず嫌いじゃ。故に負けない。安心せい」
この地球を統べる最高の存在が言うなら、俺たちの心配は杞憂なのだろう。
「ガイア様のお言葉に我々は安心致しました。しかし友の凱旋を待つのが我々の使命でございます」
爺さん目白の言ったことはまったくその通りだ。俺たちはその場を動かない。ジョーカーが戻るまではここで待つ。
「禁忌の魔女、お主は素晴らしい友を持ったのぅ。ほんとうによかった」
かつてのジョーカー――リンカを知るガイアは目を細めて東京湾を眺めながらしみじみ言った。
To be continued!⇒
ご閲覧ありがとうございます!




