第185話 吸血鬼の少年
◾隆臣
なんなんだこの子は。
この子から感じる独特でただならぬオーラ、以前もどこかで……。そうだ。ノエルだ。ノエルのオーラに少し似ている。
「先生の命令で、ミタカリンに会いに来た。プトレマイオスの件を伝えにな」
少年は塀から飛び降り、魔剣の蔵とイオの方にゆっくり歩いていく。
「あらら、タイミングが悪すぎやしねぇか」
「レオさま〜っ!」
魔剣の蔵は頭を掻き、イオは目をハートにして叫んだ。
そんなイオに対してレオとかいう白髪の少年はほほえみで応える。
レオはザ・少し昔の英国のような服装をしていて、その立ち居振る舞いも想像する英国紳士そのものだ。
「禁忌の魔女にそれを返してやれ」
「貴様と戦う気はない。失せろ」
「ここでミタカリンを失えば、この世界を滅ぼすことになるぞ」
レオは真剣な表情で言った。
「こいつらが禁忌魔法を復活させた罪人だということ忘れたのか。老害クソジジイにそそのかされたクソガキめ」
「俺は280歳だっ!」
さっきの真剣な表情はどこへやら、レオは声を荒らげた。
そしてわかったぞ。こいつは吸血鬼だったのか。だからノエルと似た独特なオーラを感じたのか。
「そのロザリオを返すつもりがないなら、力ずくで奪うしかないようだな」
「おー、こりゃ困った。イオ、どうする?」
魔剣の蔵は頭を掻きむしりながらイオに尋ねた。
「レオさーま〜っ!」
「ってイオ! 見とれるな!」
イオがとろけて見とれてしまうのも無理はない。それほどレオは美形なのだ。
「にゃはは〜ん」
「こりゃダメだ。今日はもう帰る。あー、だからこれも返すよ。しゃーねーから」
レオに魅了されたイオは戦闘不能状態。魔剣の蔵はロザリオをレオに投げ渡し、
「じゃあなァ、お前ら」
俺たちに背を向けながら手を振って去って行った。
「お、おい! 待て!」
「行くなシナガワタカオミ。お前らだけで何ができる」
追いかけようとした俺とエースをレオの声が止めた。
「くっ!」
凛を殺した魔剣の蔵が憎い。たがレオの言う通り、俺とエースだけでどうにかなる相手ではないのは自明の理。
「それに、下手に塀の外に出るな。狙われている」
「え?」
エースは首を傾げた。
「反ブラド過激派のスナイパーだ。過激派の目的はアトラスの根絶だからな、ミタカリンも当然狙われる。そしてミタカリンを殺したのは魔剣の蔵ではなく、そいつの狙撃だ。植物を操るガイストがミタカリンを拘束し、落雷が命中。その直後に後頭部が狙撃で撃ち抜かれた」
レオはジョーカーの方に歩み寄りながら言い、
「レディー、頼んだよ」
にっこりほほえんだ。
「ありがとう」
しかしジョーカーは魅了されることなくロザリオを受け取り、親指の血をロザリオに擦り付けた。
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