番外編?
スマホ練習用作品です。
色々スマホに関してアドバイスなどありがとうございます。
習作なので、本編と矛盾があったらすみません。
ですが、基本的にエヴァンはこう考えてるよね、と思いながら書きました。
ここはとある冒険者組合。
珍しく組合長である青年が、受付カウンターにいた。
両隣には、タイプの違う美女が立っていて、次々とやってくる冒険者達の相手をしている。
片方はチャキチャキと、もう片方はゆるゆるく。でも、二人共に仕事は早いらしく、並んでいた冒険者達は滞りなく処理されている。
ただ、ほぼ全員が受付カウンター内にいる組合長の姿を、不思議そうに一瞥していく。
それぐらいカウンター内に組合長というのは、珍しい光景らしい。
「くみあいちょー、邪魔ですぅ」
わざとらしく間延びした口調で話しかけて来た受付嬢の一人に組合長は、あ゛? と某もふもふモンスター女子がいたらヤンキー扱いしそうな声で返す。
「ハルさんがいなくて寂しいからって、私達に当たらないでもらえるかしら?」
年嵩で巨乳な方の受付嬢にたしなめられ、組合長はすぐに「……悪かった」と謝罪を口にする。
どうやら色々と自覚はあったらしい。
「何か連絡があったら、すぐに知らせるから、奥にいてくれないかしら? 皆驚いてるし、仕事もやりにくいのよ」
「あと、暑苦しいです〜」
遠慮のない二人からの言葉に、苦笑した青年が奥へと戻ろうとした時だった。
不意に何かが聞こえたように青年は中空へ視線を走らせ、何故か雄臭い表情でニヤリと笑う。
そのフェロモン駄々漏れな表情に、免疫がなかった女性冒険者が数人バタバタと倒れ、とある冒険者組合ことノクの冒険者組合は騒がしい朝を迎えた。
朝の騒ぎも落ち着いた十時頃、書類仕事を一段落させた組合長──エヴァンが息抜きに執務室から出てくると、受付嬢三人娘の最後の一人、クール系美少女のウィナと遭遇。
「……歩く破壊兵器?」
と、謎の一言をもらい、一瞬固まるエヴァン。
「朝の件か……?」
「……はい、女の敵?」
無表情で首を傾げるウィナに、エヴァンはがしがしと頭を掻きながら、言葉を探すよう視線をさ迷わせる。
「あれは、ただとんでもなくそそるような事を言われた気がしたんだよ」
「……そそる、ですか?」
「とんでもなく好みの女から、とんでもない殺し文句を言われたような気が……」
そこまで答えたエヴァンは、ウィナが消えている事に気付いて、はたと言葉を止める。
しばらく様子を窺っていたエヴァンが首を捻りつつ歩き出すと、ウィナは同僚でしっかり者の姉御なアンナを連れて、エヴァンの前へ戻ってきた。
「何かあったのか?」
緊急事態かと身構えるエヴァンを、アンナは残念なモノを見るような眼差しで見てため息を吐く。
「妄想で人を倒れさせるぐらいなら、娼館にでも行ってくれるかしら? 確か馴染みの女性がいるわよね? まさか、ハルさんに貢ぎ過ぎてお金無いのかしら? それとも、ダンジョンへ潜って発散するのがお好みかしらね?」
ポンポンと投げつけられた遠慮のない言葉に、エヴァンは苦笑を浮かべて肩を竦めてみせる。
「悪い、気をつける。……娼館には行く気がしなくてな」
ダンジョンへ潜ってくる、とだけ言い置いて、エヴァンは愛剣を片手に去って行く。
「……他の女には興味がないんだよ」
無駄にシリアスな雰囲気を漂わせて。
ちなみに朝の一件があったのは、依頼で出掛けた先で某もふもふモンスター少女が、どうせなら最初ぐらいは、とか考えていた時だったりするが、それに気付けるのは某ゆる女神様だけだろう。
●
俺があの変わったもふもふなイイ女と出会ったのは、ダンジョンからモンスターを連れ帰った冒険者がいるという報告を受けた日だ。
まぁ当然だろうな。
連れ帰られたモンスターが、そのもふもふのイイ女だったんだからな。
最初は言葉も通じないから、ただからかったりして反応を楽しんでいた。
白い毛玉にくりくりした金色の目っていう愛玩動物じみた見た目と、飼い主というか相棒の冒険者がとんでもなく素直でばか正直でいい子ちゃんなせいもあり、もふもふのイイ女──ハルはノクにすぐ馴染んでいった。
ハルは感情表現豊かで、あのもふもふな体と金色の目で色々と語りかけてきた。
俺の気のせいじゃなければ、だが。
ノクのダンジョンを知り尽くした俺も知らないようなレアモンスターなハルは、能力も色々規格外で、組合長な俺は頭痛を覚えることも正直あった。
それ以上にハルやその相棒であるリュートと過ごす時間は、楽しくて久しぶりに俺はワクワクしていた。
特にリュートの能力の高さには目を見張るものがあった。
レベルさえ上がれば、すぐにでも上級へ推薦したいぐらいだ。
そのリュートを弱いと貶し続けたお仲間には、違う意味で感心した。
何処に目をつけて歩いているのか聞きたいもんだ。
ま、聞く前に追放しちまったから、無理だがな。
聞きたくもなかったしな。
一つだけ感謝するなら、あいつらのおかげでハルと話せるようになった。
いつもボディランゲージか、リュートの通訳が必要だったハルと直接話せる。
予想以上に楽しくて、俺はつい舞い上がっていたような気がする。
そう言えばハルの声は、想像していたより少し幼かった。
何となくだが、自分とあまり変わらない年齢を想像してたが、産まれて半年のモンスターだから妥当なのかもしれない。
ハルと言えば、相棒のリュートは外せない存在だろう。
そもそも、リュートがいなけれなば、ハルは俺の目の前に現れることはなかっただろう。
俺は度々一人でダンジョンへ潜るが、ケダマモドキなんてモンスターにお目にかかったことはない。
最下層まで辿り着いたことのある俺ですら出会えなかったモンスターに遭遇し、すっかり仲良くなったリュートはかなりの幸運の持ち主だと思う。
ハル本人(?)から、エヴァンと遭遇してたら逃げるとまで言われた立場としては、リュートが羨ましくもある。
冗談混じりで、ハルが人間の女だったら口説いてる、ぐらいの事は言っていたが──。
まさか本当に、人間の姿になるとは、ハルは規格外過ぎる。
あの日、下着姿のハルを襲いそうになるのを耐えた自分を、誉めてやりたい。
欲望のまま手を出したら──あー、どちらにしろルーもいたから、ハルをいじめるなと止められていたとはおもうが……。
もふもふの時ですら、たまにくらりと来てたんだが、あの姿を見てしまった今は、さらにヤバい。
次、前みたいな事があれば、もう自分を抑える自信はない。
ハルに手を出したら……リュートと殺し合うことになる、か?
リュートの実力は、俺ですら天辺がわからない。
戦いを繰り返す度に、とんでもない勢いで成長しているのは、見ていてわかる。
元仲間にあんな扱いされいても歪まない精神力。
このまま行けば、リュートは化け物じみた強さになりそうだが……。
きっとハルは、うちの子可愛くて強いなんてスゴいでしょ? ぐらいにしか思わないんだろうな。
「あー、ハルに会いたくなってきたぜ」
思わず口に出たが、かなり下の階層であるここには俺ぐらいしかいないので、聞かれる心配はない。
見た目癒し系だが、意外と毒舌。
性格はモンスターなせいかドライだが、家族であるリュートやルーは溺愛している。
本当に変わり者な女だ、ハルは。
考えれば考えるほど、会いたくなる。
襲ってくるモンスターを反射的に斬り伏せながら、俺はハルの触り心地を思い出していた。
「抱いて、とか、ムラムラする? とか言われたら、止まれないな、確実に」
冗談だろうが、止まってやるつもりはない。
覚悟しておけ、ハル。
遠く離れた地で、某もふもふモンスター少女が、くしゃみをしたとか、しないとか、人ならざるゆるい女神様が笑っているかもしれない。
スマホだと文字数がわからないのが不便です。
今回は短かったですね。
何とかガラケーが使える内に、異世界巻き込まれてみた。も一話更新したいです。




