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ご飯食べて寝てた。

そんなまったり回。


感想欄で質問ありましたが、じゃがいもっぽいじゃがいもは、じゃがいもです。


よく異世界もので、地球ではリンゴって言われてたのに別の名前だ! とか、リンゴの見た目なのに、味はリンゴじゃない! とかあるイメージだったので、そんな小ボケなつもりでしたm(_ _)m

「本当に、すまなかった!」




 食事の場に向かう間、ずっとこんな感じなエヴァンに、私は仕方ないなぁと駄々漏れないようにため息を吐く。

 ルーも私の肩の上で、ため息を吐く真似をしてる。可愛いなぁ、うちの子。

 私は振り返ると、またすぐにでも土下座しそうな表情で付いてきてるエヴァンを、ちょいちょいと手招きする。

「な、なんだ?」

「……これでおあいこって事で」

 緊張した面持ちで近寄って来たエヴァンへ手を伸ばした私は、エヴァンの胸辺りを遠慮なくペチペチと叩く。

「いやー、なかなかの胸筋ですなぁ」

「な、いや、それは……」

 軽く目を見張りどもるエヴァンに、私はくすくすと笑って軽い足取りで歩き出す。

「相手がエヴァンだったから、そんなに気にしてないよ」

 方向転換してしまった私は気付かなかった。

 取り残されたエヴァンが、顔を手で覆って呻いた事を。



「気にしてない……そういう対象じゃないってことか? いや、でも、俺だったからって……」



 何かブツブツ言ってるのは、それとなく聞こえたけど。

 フリーズしてたエヴァンは、ちょい大きくなったルーに力技で引っ張ってもらい、無事全員でテーブルについてご飯タイムになった。

 メリーさんも一緒が良かったけど、予定があるからって、さっき帰っちゃった。せっかくだから、みんなで食べたかったので残念だ。

「ハルさん、ハルさん! 準備出来てます!」

 キラキラ笑顔で見て見てアピールしてくるリュートに促されテーブルの上を見ると、私とメリーさんの力作が綺麗に盛りつけられ並んでいる。


 すみません、話を盛りました。

 

 私もほんの少し手伝った、メリーさんの力作が並んでいる。

 脳内のナレーションに、謝って訂正しておく。

 誰に聞こえる訳でも無い?

 私の場合、色々駄々漏れるから、念のためだ。

「いつも通り美味そうだが、ハルも手伝ったんだろ?」

 やっと普段らしさを取り戻したエヴァンが、ソファへと腰かけて私へニッと笑いかけてくる。

 うん、傷があっても平常運転なイケメンだね。

「ハルさんの手料理、とっておいてもいいですか?」

 こちらも相変わらずのキラキラ美少年だね……って、なんか変な事言い出したよ。

「腐るから食べて欲しいなぁ。リュートが食べてくれるなら、また私作るから。ね?」

「はい!」

 嬉しそうに笑って頷いたリュートは、早速スープを食べ始め、私が刻んだ野菜を笑顔で見つめている。

 一人で作るから、ここまでは上手には作れないだろうけど、リュートなら食べてくれるよね。

「ハルさんの切った野菜、ハルさんのつけた味付け、ハルさんの焼いた肉……」

 今もブツブツ言いながら食べてくれてるし。

「美味しいな。……このスープ、俺の好物なんだよ」

 エヴァンにも好評らしい。

 私は安堵しながら、ルーにスープを皿ごと食べさせる。

(まま、うまー)

(いっぱい食べて、大きくなるんだよ)

 言葉通り受け取ったルーが巨大化しかけたのは、なかなかの修羅場だった。

(ごめ、なさいー)

(私の言い方が悪かったの。ルーは悪くないよ)

 反省して高速でブルブルしてるルーを膝上に乗せて撫でながら、食事を終えた私はソファで寛いでいた。

 片付けをしようと思ってたんだけど、リュートとエヴァンが、片付けは俺達がするから、と言ってくれたので遠慮なくのんびりしてる。

 二人とも、美味しい美味しいって残さず食べてくれて、嬉しかったなぁ。私は手伝っただけだとしても。

 次は、私一人で一品ぐらい作って、二人へ食べてもらいたいから、頑張ろ。

 お腹いっぱい(気分)だし、だんだん眠くなってきた。でも、さすがに他所様宅でソファへ寝転ぶのははしたないよね。

 うとうとしてると、高速ブルブルを止めたルーが、ゆらゆらとしながら私を見上げている。

 もにもにと揉んであげてると、嬉しそうにぷぅぷぅ鳴いて可愛い。あと、私は気持ちいい。

 なんかあれみたい。スクーターじゃなくて、スクリーンでもなくて……スク何とかってやつ。もにもにしてるストレス解消グッズみたいなの。

 ルーの感触を楽しんでいた私は、妙案を思いついて、ルーをソファへ降ろす。

(ルー……これぐらいになって、枕になってくれる?)

 ルーをクッションにしたら最高なんじゃ、って、思っちゃったんだよね。

(いーよー)

 ルーは嫌がる様子もなく、逆に嬉しそうな声でぷるぷると震えると、私が手で示したサイズまで体を大きくしてくれる。

(ありがと、じゃあ、ちょっと乗せてね?)

 手でたゆたゆとルーを軽く撫でて一声かけてから、私はルーへ上体を預けるようにして体を傾けていく。

(まま、だいじょぶ?)

(ふふ、大丈夫だよ。少し疲れたから、こうして休ませてね。ルーこそ、重くない?)

(まま、かるい。はね、みたいー)

 おお、ルーが殺し文句みたいなこと言ってるよー。リュートが言ってるのを覚えたのかな。

(ありがと。ルーもぷるぷるしてひんやりで気持ちいいよ)

 もふもふ派な私だけと、ルーのぷるぷるボディも捨てがたいよね。

 ついでに言うと、鱗も嫌いじゃないよ?

 ナメクジみたいなヌルヌル系は、微妙だけど。

 そんな事をぼんやりと考えながら、少しだけ休もうと目を閉じ──ハッとして目を開ける。

 熟睡してたっぽいけど、まだちゃんと人の姿だ。

 そこまで確認した私は、枕にしていた筈のルーの上ではなく、ベッドへ寝かされている事に気付いて目線で辺りを窺う。

(ルー? 私寝てた?)

(まま、ねたー)

 ルーを呼ぶとすぐに返事があり、シーツへ広がっている人の姿でも手触りのいい髪の中から、ポコッとルーが出てくるのが見えた。

 おぅ、ファンタジーというかマジックみたい。平らになってるとこから、ルーが出たよ。

 妙に感心しながら私は体を起こして室内を見渡す。

 ベッドサイドのランプだけが照らすそこは、見慣れたエヴァンの寝室ではなく、高そうな調度品のある客間らしき部屋で。

(ここ、私とリュートが使わせてもらってる部屋かな?)

「そうですよ」

 ルーが答えてくれる前に、もわ、と湯気の気配と共に答えが返ってくる。

 ルーがついに声を出した──訳ではなく、リュートの声だ。さすがにリュートのの声を聞き間違える訳はない。

「ごめん、私寝たみたいで……って、リュート、拭いてから出てこようね?」

 声の聞こえた方を向くと、裸族なリュートが風呂上がりなままの姿でこちらへ歩いてくるところで、思わず小言めいた言葉が口をついて出る。

 見苦しい訳ではないが、水滴がポタポタ垂れていて気になる。

(ルーお願い)

(あい)

 私の髪からぬるんと這い出したルーが、元気よくたゆんたゆんと跳ねながら、リュートの作った水滴の道を逆へと辿って浴室へと向かっていく。

 ルーが跳ねた後から、水滴の跡が消えていく。

 うん、うちの子お利口。

(ありがと、ルー)

「リュート、風邪引くよ?」

「だって、ゆっくりしてたら、ハルさんがエヴァンさんの所へ行っちゃうかと思って……」

 しゅんとした表情のリュートを、いつも通りもふっとしようとして、そこで私は自分が人の姿だった事を思い出す。

 きょろきょろと辺りを見回すと、ベッドの脇の椅子にバスタオルが掛けられている事に気付き、手を伸ばしてバスタオルを手に取る。

「そっか」

 可愛いなぁと思いながら、私はしゅんとしているリュートに頭からバスタオルを被せ、その体を遠慮なく拭いていく。

「ごめんなさい……」

「怒ってはないよ。でも、リュートが風邪引いたら嫌だから、今度からはちゃんと拭いてから出て来てね」

 パンツだけは履いててくれて良かったけど。

(まま、おわたー)

(ありがと、ルー)

 私がリュートを拭いてあげてると、一仕事終えたルーが、ボフッと私の髪へ飛び込んで報告してくれる。

「ルー、ありがとな」

 ルーにきちんとお礼を言うリュートは、やっぱりいい子だ。鑑定に出るぐらいだもんね。

「はい、終わったよ」

「ありがとうございます」

 そのまま抱きついて来ようとしたリュートの腕を、サラッと避ける。

「ハ、ハルさん……」

 この世の終わりみたいな顔されたけど、乙女としては仕方ないのだよ。

 何キャラだよ、と脳内でセルフ突っ込みしながら、私は髪からもふっとお風呂セットを吐き出す。

 なんでかさっき入ったばかりのルーも一緒に出てきたけど。

「私は、まだお風呂入ってないから」

 汗かいたりはしないっぽいけど、やっぱり体臭とか気になっちゃうよね。

「ハルさん、いい匂いしかしません!」

「私もお湯に入ってのんびりしたいの。駄目?」

 あざといかな、と思いながらも、上目遣いでリュートへお願いすれば、断られる訳もなく──。




(ルー、熱くない?)



(らいじょぶー)



 私とルーは、のんびりと湯船に浸かっていた。

 もちろん全身を洗ってから、大きなお風呂をルーと二人占めでゆっくりさせてもらっている。

 ルーは時々私へよじ登ったり、滑り落ちたりして、楽しそうに遊んでいる。

 頭の上から胸の上に落ちて、たゆんとお湯へ落ちてきたルーを両手で掬い上げてみる。

(楽しい?)

 ルーは少しきょとんとした様子でぷるぷるしていたが、私の問いかけに答えるように嬉しそうなぷるぷるへと変わる。

(まま、いっしょ、るー、たのし)

(そっかぁ。私もルーとお風呂楽しい)

 リュートやエヴァンも一緒だと、最近はなんかドキドキもするから少し落ち着かないし。

 洗ってもらえるのは楽だけど、とか思っちゃうのは、すっかりケダマモドキな思考かな。

 ただの横着な可能性もあるけど。

 ルーの高速嬉しぷるぷるで、湯面がちゃぷちゃぷと揺れている。

(まま、まま、るー、ままのかみあらうしたいー)

(いいの? じゃあ、お願いしようかな)

 体は洗ってから入ったけど、なかなかな長さのある髪はまとめてアップにしただけで、まだ洗ってなかったのをルーは気付いてたらしい。

 ルーを抱えて湯船から上がると、すぐにルーはつるりと私の腕から抜け出し、うぬーと可愛らしいかけ声と共に変形していく。

 どうなるのかな、と思って見守ってると、ルーから腕っぽくなった触手が伸びてくる。

 じっと見てると若干ホラーなので、私はルーへ背中を向けて、木で出来た風呂椅子へと腰かける。

(お願いします。シャンプーとかわかる?)

(らいじょぶ)

 頼りになる返事の後に、

(おゆ、かけるー)

と、声と一緒に伸びたルーの一部が、シャワーを掴んで器用にお湯をかけてくれる。

 ルーに任せても大丈夫そうなので、私は目を閉じて大人しく洗われる。

(ルー、上手だね)

(ぷっぷぅ〜)

 洗う力加減もバッチリなルーを誉めると、嬉しそうな思念がバンバン伝わってくる。

 ついでに言うと……、




「ハ、ハルさん……っ」




 浴室の外から、寂しげなリュートの声もバッチリ聞こえて来てるんだよね。




(まま?)



(何でもないよ)




 メリーさんの有り難いお言葉に従い、スルーしてしばらく待たせて──、




「ハルさん……」




 結局無視出来なくて髪を洗い終わったら、すぐあがることにした。

まったりし過ぎて、話が全く進まなかったです。


あと、リュートといちゃいちゃさせる予定が、ルーといちゃいちゃしていたのは謎。

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