表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
365/398

362 漆黒の瞳②


「母さんを復活させる……!? 一体、何の目的で……!?」


 自分の頭の中で、この少年は危険だと警告音が鳴り響いている。

 だが、その言葉の真意を確かめなければならない。

 不気味な笑みを浮かべたままの少年からジリジリと距離を取り、剣先を向ける。


「フフ☆ そんなに警戒しないでよ~! ノーマンはね? ずぅ~っとキミの母親を想っていたんだよ? それこそ、復活させたいと悪魔に願っちゃうくらいにね~?」


 少年はオレの後ろにある絵画を見上げた後、足元に置かれた二体の白骨遺体に視線を移した。

 

「……その遺体は?」


 そんな事は有り得ないと、オレの心臓が早鐘を打つ。

 剣を握る指先が冷たい。


 それを嘲笑うかの様に、真っ黒な瞳が少しだけ弧を描いた。



「キミがいま、頭に思い浮かべた人で正解だよ☆」



「───……!」



 魔法陣の上に横たわる二体の白骨遺体。

 これがもし本当に母さんだとしたら、もう一体は……?


「教えてあげようか?」

「───ッ!?」


 気を緩めたつもりは毛頭ない。

 だが、瞬きをしたほんの一瞬、ニヤリと笑みを浮かべた少年の顔がオレの鼻先すれすれに現れた。



 マズい



 そう思った次の瞬間、青白い光と共に夥しい数の黒い触手が少年を捕らえようと一斉にオレの足元から飛び出した。

 足下にはオレを守ってくれたレティのハンカチ。視界が一気に黒に染まる。

 そしてすぐ傍らで声が響いた。



「ちかづかないで」



「レティ!?」



 今まで聞いた事のないレティの冷ややかな声。

 その声色に、ぞわりと背筋が寒くなる。


「アハハ☆ 御挨拶だねぇ~!」

「うるさい」


 レティが放つその触手から逃れる様に、少年は部屋中を移動している。それを追う触手達。激しい衝撃に壁が削り取られ、土埃が部屋を舞う。


 そして少年の隙を突き、オレの体を覆う様に眩い光が放たれた。



「どこに行っても無駄だよ~?」



 少年の嘲笑うような声だけが、オレの耳にねっとりとこびりついて離れなかった。



いつも作品をお読み頂き、ありがとうございます。

感想や評価も頂けて、とても励みになっております。

更新が滞って申し訳ないですが、お付き合い頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ