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351 探索

今回はトーマス視点のお話。

短いです。


「……さて。皆、今日はよろしく頼むよ」

「はい! 任せてください!」

「私もやる気満々です~!」

「ハハ! それは頼もしいな」


 アーノルド達との作戦会議後、ユイト達にはバレない様にひっそりと城を後にする。城門の前には既にエイダン達とブレンダが。急な依頼だったにも拘らず、快諾してくれ助かった。


「トーマスさん、ユイト達には?」


 今回調査に参加するアレクが真剣な表情で訊ねてくる。あの子達の事を心配してくれているのだろう。


「あぁ、レティにだけは伝えておいた。あの子には隠し事は出来ないだろうからな」


 念の為、ユイトにはイーサン、ハルトとユウマにはフレッドが付いている。バレそうになっても上手く誤魔化してくれるだろう。

 オリビアとユランに話し、魔力の分かるレティにだけは伝えておいたが、終始反対され困ってしまった。

 危険だと感じたらすぐに引き返すというのを約束し、漸くお許しが出たわけだが……。


「ほら。オレにもハンカチを貸してくれたよ」

「あぁ! 例の!」

「それがあれば百人力ですね」

「ハハ! そうだな!」


 レティの付与付きの白いハンカチ。これが何かを知るアレクとブレンダは笑顔を見せた。心配したレティがぜったいにもってて! とオレに押し付けてきた物だ。これがあれば心強い。


 今からオレ達が向かうのは、あのノーマン・オデルの屋敷だ。

 屋敷の書斎には呪術に関わる書物、そしてその中には悪魔の召喚魔法……。この国での禁忌魔法に関わる物が数点押収されたと聞いている。

 あのヴィルヘルムさん達三人も、屋敷の地下室で鎖に繋がれていたと聞いた。


 ……そして、陛下が何故、既に終わった筈の屋敷内の探索をオレに任せたのか。


( まぁ、行けば分かるか…… )


 そしてもう一つ。王都内にある今は閉鎖されているダンジョンの調査。

 そこに張られた魔法陣を調べる事。王都外にある二つのダンジョンにも、既にランクの高いパーティを向かわせたそうだ。

 村で陛下達が襲われた時と同じような状況。それに消息を絶ったドラゴン達。


( 何事も起きない……、訳はないな…… )


 今頃、料理人達を相手に頑張っているであろうユイトを思い、城を振り返る。

 ハルトもユウマも楽しんでいるだろうか?


「……さ、行こうか」

「はい!」


 この雲一つない秋晴れの空の下、オレ達は一路、ノーマンの屋敷へと向かった。



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