第162話 順調に進む不安
重過ぎる威圧感に屈していた者達が目を覚ます。
頭痛のように頭が痛い。
「うー・・・頭を岩で砕かれた気分だ。」
それは、どんな気分なんだろう?
「そ、その女は危険すぎる。」
「えー・・・。」
本人に悪気が感じられないので困る。
「本当に危険だとしたら、俺達に何かできると思う?」
太郎の質問は多くの者達に絶望を与えただけだったが、太郎の声があまりにも落ち着いていたため、気が付くのに多少の時間を要した。
「し、しかし・・・。」
「隊長だから仕方が無いと思うけど、ここで魔女が本気で戦ったらどうなると思う?」
「・・・ぐっ。」
歯軋りをするが、それは自分の無力さを痛感したからであって、絶望した訳ではないところが元冒険者と言うところだろう。他の兵士達は、諦めてその場に座り込んでしまっている。エルフ達はオリビアの周囲に集まったが、こちらの場合は少し事情が異なる。
「魔女と戦って死ねるなら本望かもしれないが・・・それは太郎殿も望まない。」
「だーかーらー、戦う気は無いって・・・。もぅ、面倒な人達ねー?」
太郎に同意を求めたが、太郎も困っている。
困っていると、うどんが傍に来た。
「アナタたち三人だけが異常な筈なんだけど。」
「アンタに言われたくはないわ。」
マナの言葉に激しく同意したい。
「とりあえず、敵意が無いのは確約してもらえるよね?」
「もちろんよー。」
「じゃあ、信用するしかない。」
太郎がそう言うとオリビアとグリフォンは素直に従った。素直に従わなかったのは隊長以下の兵士達で、素直では無いだけで、抵抗する気も無い。なにしろ、抵抗しても勝てる相手では無いからだ。
「あと、この村で無闇に魔法は使わないで下さい。」
「飛ぶくらいは良いわよね?」
「そのくらいなら、まあ。」
「じゃあ、どこか部屋を貰えるかしら?」
「ちょっと、あんたココに住む気なの?」
「世界樹の研究をしたいのよー。」
「わたしの?」
「だって、あんなに大きかったのに何でこんなに小さくなってるの?」
本当の理由がソレだけではないのは太郎でも分かる。
「私が燃やされた事を知らないの?」
「燃やされた?」
彼女の記憶には無いようで、嘘を言っていると思ったようだ。
「燃えたんなら存在している筈ないじゃないのー。それにー、まだ戦争している筈でしょう?」
「魔女狩りなら終わりましたよ。」
うどんが告げた言葉に、半信半疑の様だ。
「え?」
「スズキタ一族も太郎一人だけよ。」
「さっきもそう言ってたわね。じゃあ・・・ススキダ・・・私の子供達はー・・・みんな死んだの?」
「殆どは私と一緒に燃やされたか逃げたわね。私とは別に逃げた子達もいるみたいだけど、その子達の子供はもうスズキタの事を知らないんじゃないかな。」
「ちょ、ちょっと待って、燃やされたって、そんな簡単に負けるような子達じゃない筈よー?!」
「優秀なのは私も認めるけど、空を埋め尽くすほどのドラゴンの群れにみんなやられたわ。」
「ドラゴンに・・・そう・・・なら、危険性に気が付いたという事かしら?でも、私の子供達も一緒に燃やされた理由にはなってないわー。」
危険性って何の事だ?
「あの子達と私はココで一緒に暮らしていたのよ。」
「・・・詳しい話を聞きたいのだけど?」
「時間が掛かるけど。」
太郎が周囲に目を向けると、それに応じて隊長がその場を解散させ、兵士達はいつもの作業に戻った。隊長が残るとオリビアも残り、他のエルフ達に解散を命じる。
何事も無かったようにいつもの状態に戻る・・・と、まではいかなかったが、鳥達が戻ってきたところを見ると、周囲も安定したという事だろう。
「話をするなら少しぐらい準備しないとね。」
太郎がそう言って魔女を家に案内していると、鳥が俺の肩に乗った。何か言いたげだが何も言わない。身体がプルプルしているので怖いのだろうが、それなら無理しなくても良いと思う。
「神の使いと言われていた鳥が懐いてるなんて、やっぱり変な人ねー?」
「神の使い?こいつらが?」
「その鳥は独自の言語で会話していて、誰も理解できなかったから神の使いって言われているのよ。」
「加護持ちでも?」
「加護持ち・・・そーねー・・・言語加護には良く分からないところが有って、理解できる言語と出来ない言語が有ったのよね。」
「それって何年前の話?」
「なん・・ねん?」
魔女は急に足を止めて考えている。
「女魔王ってまだ生きてるかしらー?」
「今の魔王はドーゴルよ。」
「だれなの?」
「女魔王って、なんか聞いたな・・・アンサンブルって人だっけ?」
「そうそう、あのおばーさんよー。」
「とっくに寿命で死んでるが・・・。」
そう答えたのは隊長だった。
「アンサンブルは我らの街の名前だしな。」
「えー・・・あれから何年経ってるの・・・。」
「そう言えばアンタって急に現れたよね?」
「そう・・・ねー、そうなるのかしら?」
何で自分の事なのに分からないの?
「そういう事も含めて説明するわぁ。」
「色々詳しそうですね?」
「一応、魔法学の研究家だったからー・・・。」
「魔法なら何でも研究してたんですか?」
「そーねー、転移魔法は失敗したけど、神気魔法なら使えるわ。」
「へー、凄いですねー。」
太郎の反応に何やら不満気だ。
「アナタ驚かないのねー?」
「俺も使えるからね。でも、神気魔法が使えるのって普通は隠しておくものじゃないの?」
「この世で最も危険な魔法だからねー・・・隠しているのが普通なのでしょうけどー・・・あなたも隠さなかったじゃない?」
「一部の人しか知りませんよ。少なくともここに住んでいる人はみんな知ってますけど。」
「そう・・・あなたの魔力量だったら、世界が崩壊しそうね。」
近くで聞いていたカールとオリビアの反応。
「俺達ってこの村を守っているって自負して良いのか?」
「少なくとも、我らが太郎殿に守られているのは間違いないな。」
「あの魔女・・・今まで何処にいたんだろうな?」
「それは太郎殿がこれから聞くでしょう。」
「冒険者なんか辞めて正解な時代かもしれんなあ・・・。」
「事情は訊かないでおくわ。」
太郎達の家の中は食堂のように広くは無く、客間も無いが、リビングは少し広めに設計されていて、全員が座るには十分な場所は有る。
有るのだが、当然の様に入ってこないのがカールとオリビアで、太郎が招き入れるまで待っていたのだ。もちろん、他人の家だから遠慮しているのだ。と太郎はそう思っている。太郎の子供達は家に入らず、グリフォンに任せて食堂の方へ向かった。
魔女は部屋に入っても周囲を見回すだけで、座ろうとしない。
「これも魔法で作ったのー?」
「いや、普通に建てましたけど。」
「このソファーも?」
「手製です。」
「ふーん・・・。」
「創れるんですか?」
「見た目だけなら同じものは創れるわよー。見た目だけはね。」
エカテリーナとスーが飲み物を用意してテーブルにのせていく。無言だった一同は椅子に座る事で会話が始まった。
「さてと・・・とりあえず私がココに現れた理由を言うわねー。」
飲み物に触れることなく、淡々と話し始める。その声は先ほどと変わらないが、妙に引き付ける。そんな不思議な感覚が有った。
「わたしはねー、魔女狩り戦争から逃げて、森の奥で魔法の研究をしていたのよ。あの頃はかなり劣勢だったみたいで、詠唱魔法も開発したけれど、あんな危ない魔法は止めた方が良かったのよねー。」
この人、サラッと詠唱魔法って言ったぞ・・・。
「神気魔法が使えるようになっても、戦局には何の影響も出なかったし、転移魔法も薄っぺらい物をどこかに移動させるのが限界だったし。回復魔法はかなり使われてたみたいだけど、蘇生魔法は使える者が居るって解った時点で集中して殺されたのよねー。」
「蘇生魔法ってそんなに簡単に使えたんだ?」
「回復魔法の中でも最上位だったけど、使うには魔力量の問題だけで誰でも使えるわよー。」
「伝説級の魔法なのでは?」
驚いたオリビアが叫ぶように質問する。
「使えないって魔法は、基本的に魔力が足りない所為よ。使う素質は誰にも有るのー。勝手に使えないと思い込む事で余計に使えない者が増えるのよねー。」
魔法はイメージ力。そう言う事が基本なら何でも可能なのだ。
本来はそういうモノが魔法なのだろう。
「話を戻すとー、その魔法の研究って言うのは、魔法力学を応用した道具などの事でー、決まった文字列と一定量の魔力を注ぎ込む事で、半永久的に稼働するモノなんだけどー。」
そう言うと小さな袋をどこからか取り出した。
どこから?
「魔法袋ですねー、私も持ってますよー。」
スーが常に肌身離さず持っている宝物だ。
「そう、それー。空間魔法の応用なんだけどー、魔力量が膨大に必要過ぎてー、コントロールに失敗しちゃったのー。」
「失敗するとどうなるんで?」
「袋に吸い込まれるのよ。」
スーはそっと袋を元の位置に戻した。
「完成しているモノは吸い込んだりしないから大丈夫よー。でも、それは私が作ったモノじゃないわねー?」
「天使が作ったらしいです。」
「へー・・・、あの無駄に生真面目な連中がねぇ。」
「それより、アンタ吸い込まれてどうしたのよ?」
「あー、そうそう。それで、何もない真っ暗な空間に閉じ込められたんだけど、一応神気魔法が使えるから、土を生成して、家と畑を作って何とか生き延びたわ。」
「種も無いのに畑を作ったんですか?」
「吸い込まれた時に私以外にある程度周囲のモノも吸い込んだらしくて、トレントの木の実が有ったから、それで育てたのよ。」
「・・・重力ってどうしたんです?」
「うん、良い質問ねー。もちろん重力魔法も使ったわよー。そうじゃないと身体がふわふわしちゃって気持ち悪かったからねー。」
何でも出来る魔女だな。
「そこから少しずつ研究を再開してー、脱出する方法も考えたんだけどー・・・。」
深い溜息を吐いた。
「私以外の魔力を全く感じなくなったのー。」
「それから?」
「諦めてずっと研究してたのー。あれから何日経ったのかも分からないわー。」
「少なくとも数千年は経過してるんじゃない?」
「そ、そうみたいねー・・・。」
再び深い溜息を吐く。
「毎日研究してたから気にもしなかったのだけどー。」
ダメだこの魔女。
「そんな或る日、魔力を感じたのね、それが竜血樹。」
「世界樹には何も感じなかったの?」
「全く。」
なんでマナが落ち込むの・・・。
「竜血樹って魔力が凝縮されてるから濃いのよ。ドラゴンの力も混じってるしー。僅かでも感じる事が出来たって事は、袋の外に竜血樹が有るって事なんだろうけど、その隙間を探すのにすごい苦労してねー。」
「苦労が全く伝わらない口調なんだよな。」
カールが呟いている。
「魔力操作で無理矢理一部を引っこ抜いて、どうにか外に出れたのよー。」
「全く分からん。」
それは俺も分かんない。
「外に出たらキラービーがいてー、まぁ、特に怖くないから問題は無かったのだけど、なんか魔物に襲われてる人を見付けちゃってー、それで。」
「助けてもらえたのは感謝するが・・・魔女と言えば敵として認識しているのだが。」
「あの子達も面倒な事をしたわよねー。」
どの子だ。
「魔女も沢山あちこちにいたと思うんだけど、全然感じないしー。さっき聞いたマチルダが居るのならって思ったのだけど・・・。」
「あんなバカ女に興味が有るの?」
「生きてるのなら私と同じ年くらいだからー・・・バカ女?」
「そーよー、あいつの所為で酷い目にあったんだから!」
「あら、あらー、そう。ごめんなさいねー。あの子は興味が向くととんでもない事も平気でやっちゃう子だから。」
「あの子っていう事は年下なんですよね?」
「えーっと・・・数百年くらい下だったかしらー?」
「あの人に俺達の邪魔をしないように伝えてもらえませんかね?」
「いいけどー・・・たぶん無駄だと思うわよ。ちゃんとした目的が有るから。」
「目的?」
「目的って魔女の再興じゃないのか?」
「世界樹が存在している事が問題なのよー。」
「なんで?」
マナの目付きが少し怖い。
「世界樹が周囲のマナを安定させているのは知ってるわー。でもねー、それは正の波動に変えているだけなのよー。」
「正?」
「魔法には正と負の二種類が有ってー、天使達がやってるのは正と負を混ぜて中庸にすること。世界樹がやっているのは負を払い除けて正にする事。」
「そんなことしてたんだ?」
「無意識でやっている事だけどそんな事まで知らなかったわ。フーリンも知らないんじゃないかな。」
「フーリンって、泣き虫のドラゴンの事?」
「泣き虫って・・・フーリンさんは結構強い人ですよ?」
「つよいのー?だってあの子ハーフでしょ?」
「なんでそんな事まで知ってるんですか?」
「だって私の子供との子供だから。」
「って事は・・・フーリンもスズキタ一族って事?」
「何でスズキタって呼ばれてるかは知らないけど、ススキダの子ではあるわね。」
「なんかめちゃくちゃややこしくなってきたんだけど、あなたの子供って何人いるんですか?」
「えーっと・・・何人かしら?」
「もしかして、人造したんですか?」
「まさかー、キメラじゃあるまいしー・・・ちゃんと産んだわよー?百人くらい?」
訳が分からない人過ぎる。そんなにポンポン生まれるモノじゃないだろうに。
「でも村に住んでたって言ってたのに、なんでこんなに離れた迷いの森に?」
「それは、研究するのに丁度良い龍脈があの森に有るからよ。マナの流れが澱んでいる所為もあって研究には丁度良いのよねー。」
「そう言えばフーリンもあの森で研究してた時期が有ったみたいだし。」
「そう、そのフーリンって子、こっちに向かってるわよ?」
「ちょっとー、なんで私が気が付かないのに・・・あ、ホントだ。」
ただ、ココに来るまでにもう少しかかるようで、話はそのまま続けられた。
「その、魔法の正と負って何です?」
「・・・んー、同じ魔法でも正と負で効果が少し変わるわねー。蘇生魔法の場合、死者を生き返らせるのではなく、死者を操るだけの魔法になってしまうのー。」
ドアがノックされるのではなく、吹き飛んで、凄い音が室内に響いた。
「世界樹様、大丈夫ですか?!」
全員の視線を一身に浴びて、暫く無言になった。
その視線の中で一人だけ異質な者が居る。
「あらー、大きく成ったわね、フーリンちゃん。」
何処が大きく成ったんだろう?
「おばあさ・・・ま?!」
「よく私の事が分かったわねー?」
「私が産まれた時から変わってないじゃないですか!」
「あははー、そうよねー。」
「フーリンは私にずっと秘密にしてたのねー?」
マナさん、マナさん。口調が染ってますよ。
「えっ、いやっ・・・そのっ・・・。なんか変な感じがしたから急いで来たんですけどっ・・・、その・・・あの。」
こんなに落ち着かないフーリンは初めて見るな。
「そっかー、アナタが世界樹の味方って訳ね。」
「スズキタの感じが全くしないのは何で?」
「それは竜の血の方が濃いからじゃないかしらー?」
「なるほどー。」
同じ口調で喋らないで、ややこしいから。
「ダンダイルさんと来る予定だったんじゃ?」
「あー、ダンダイルちゃんなら・・・。」
「壊れた扉を治してますよー。」
「やっと気づいてもらえたようで、何よりです。」
フーリンが誤魔化すように笑った。
なんか、ポンコツ化してませんか、フーリンさん。
「フーリンさんのお祖母さんが魔女って、複雑なようでなんか違和感なくなったなあ。でも、スズキタ一族が純血の普人って事は、普人って元々魔女の系統って事になるのかな?」
「へ?」
キョトンとするフーリン。
「あー、たぶん子供達は私が魔女だって知らないと思うわー。」
「えっと・・・魔女ってのも普通に凄く驚くんですけど、お婆様ってそんな喋り方でしたっけ?」
「あー、長いコト一人で生活してたらー、おかしくなってしまったのー。」
「アレが・・・魔女・・・。」
呟くダンダイルの声は誰にも聞こえなかった。
カールとオリビアが自然と席を立ち二人に譲る。譲られた方も自然と座った。エカテリーナが新しく飲み物を用意してくると、フーリンは直ぐに飲み干した。
「とーいうかー、ね。知らなくて当然なのよー。」
「子供の子供って言ってなかった?」
「四世代ぐらい差が有るからー、私の事をお婆様って呼んでる子達は名前すら知らないわー。その頃は村にもほとんど居なかったしー。みんなが私の事をそう呼んでるから、真似して呼んでいるだけでしょうねー。子供の中には他の土地で生活を始めた子達もいたしねー。」
「魔法の研究はやっぱり大元の影響なのかなあ・・・。」
「私が教えた事を応用してたわねー。」
フーリンの隣で汗をダラダラと流しているダンダイルが一言も喋らずにいる。そんな姿に気に成ったのか、魔女が問い掛ける。
「この子は魔王なの?」
「・・・元・・・魔王です。」
「へー・・・なかなかの素質ねー。」
完全に飲まれているダンダイルは、どうにか声を絞り出す。
「それで、ここに住むのですか?」
「その予定だけどー、私の村に帰っても何も無いんでしょ?」
「廃墟ね。」
「そっかー・・・変わり過ぎねー。」
先ほどまでの陽気な感じが消え、寂しさが漂う。魔女はもっと恐ろしい存在だったと思っているダンダイルが、その姿に更に戸惑う。
「何故・・・貴女ほどの魔女が今まで姿を消していたので?」
その質問は魔女ではなく、何故かマナが説明した。
「ふむ・・・これは、少し難しい問題になりましたね。」
「少しなの?」
「重大な問題です。」
ダンダイルの眉間にしわが何本も出来ていて、あまりにも困っているので、スッとうどんが移動していく。
「もしかして、ガーデンブルクに居る魔女とはお知り合いで?」
「あー、ある意味で姉妹くらい親密かもねー。」
ダンダイルが頭を抱えた。
「少し時間をください。」
ダンダイルが席を立って、カールを連れて家を出て行く。
「なんなのー?」
「一応魔王国の領域らしいので、今の話を現魔王に報告するとしたら大変な事件になると思いますよ。」
「ふーん。」
本人に重大性は全く無く、自分が魔女という事にも危機感はない。
「今でも魔女って嫌われてるのよ。」
「あー、それは仕方ないわねー。色々やったからー。」
「やっぱり、色々と身に覚えは有るのね?」
「有ると言えば有るけどー・・・それを私の所為にされても―。」
「閉じ込められる前はもっと沢山の魔女がいたんですよね?」
「あの頃はー・・・ソコソコ居た筈なんだけどー・・・みんなバラバラになってたからー。国を滅ぼした事も有ったんだけどー・・・。」
サラッと言っちゃいけない言葉が!
「何にしても殺したし、殺されたり、マチルダ辺りはかなり活動的だったしー。」
「その頃の技術は今でも使われているって凄いことだとは思いますけどね。」
「まぁ、今がどんな風になっているのか良く分からないけどー・・・少なくとも世界樹が危険だと気が付いていたのは私と他数人の魔女ぐらいだったしー。」
「そう言えばさっきも言ってましたよね?」
「それ、なんで私が危険なのよー!」
「えー、さっき説明したじゃないのよー。」
「世界樹様が危険だという理由が解らないのだけど?」
「あー、ちゃんと説明するわねー。」




