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ずぼらな悪役令嬢×空から降って来たヒロイン=溺愛ルート??  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【本編完全完結】

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16/27

なんの因果で

 叫び声が聞こえた気がする。


 侍女と二人「えっ?」と立ち止まり、後ろを振り返ることになった。


 光に満ちたこの平穏な世界で、今、聞こえた叫び声は実に場違い。

 そんな不穏分子、この場にそぐわないと思ったら――。


 曲がり角から突然現れた、不幸の象徴に息を呑む。


 黒髪を乱し、目は血走り、手にはナイフを持っていた。

 しかもそのナイフは血で濡れている。

 白い神官見習いの衣装にも、血が飛び散っているのだ。


「な、くせ者です! どなたか、どなたか、くせ者です!」


 侍女が必死に叫ぶと、ナイフを持ったヒロイン――リコがこちらへと突進してくる。


 悪魔が憑りついている。

 それが信じられる形相。

 私が前世で見たゲーム画面のヒロインとは、全くの別人だ。


 悪魔は祓われたと言っていたが、まだリコに憑りついていたの!?


 侍女は勇敢にも私を自身の背に庇ってくれた。

 だがリコはその侍女に対し「邪魔だ、どけ!」と叫び、ナイフを振り下ろし、さらに彼女を突き飛ばした。


 悲鳴とバシャンという水音で、傷つけられた侍女が、睡蓮の池に落ちたと理解する。


 次の瞬間。


 ものすごい衝撃を感じ、自分が通路で仰向けに倒れたことに気付く。

 倒れたわけではなく、ヒロインであるリコに突き倒されたと理解する。


「お前、お前のせいだ! お前にぶつかったせいで、俺は変質者扱いだ! 訳の分からない世界に飛ばされ、悪魔憑きと言われ、散々だ! ふざけるな!」


 馬乗りになったヒロイン――リコはそう言ってナイフを振り下ろそうとする。


「待って! あなたは誰なんですか!? あなたはリコ・ハヅキではないのですか!? 乙女ゲームのヒロインですよね!? なんでこんなことを……!」


 私の必死の言葉と「乙女ゲームのヒロイン」という言葉ワード

 これにリコは動きを止めた。


「お前……お前、この世界の人間じゃないのか!?」


「わ、私は……はい。ここではない世界から転生したようです。ラーメン屋の行列に並んでいて、事故死したようで」


 これを聞いたリコは「ああ」となる。


「そうか。お前もそれで。なんでお前は変人扱いされず、俺だけが悪魔憑きだなんて言われるんだ! しかも俺は男なのに、こんな女の体で……訳の分からない儀式に一晩中付き合わされ、たまったもんじゃねぇ! 仕方ねえから奴らに合わせてやったのに……。今度は身元を確認のため、街に出て炊き出しや募金活動を手伝え、だと! ふざけるな、だ! 酒モ飲めず、無償で労働させやがって! 冗談じゃねぇ!」


「あの、設定ではまだ十八歳だから飲めないかと」


「うるせんだよ! お前は何なんだ!? 男どもにちやほやされて! 山ほどの買い物をして、オペラなんて観劇しやがって! 俺は酒も飲めずに働かされて。不公平だろうが!」


 どうやら私と同じ事故で転生したこの人は、男性なのにヒロインに転生したようだ。しかも乙女ゲームのことなんて全く分かっていない。訳が分からず、こんな行動をとっているのだろうが――。


「俺だけこんな目に遭い、その原因は、お前と激突したからだ! 前世でも……お前に激突したせいで、俺は死んだんだ!」


「!? 私は被害者だと思います! ただラーメンを食べたくて行列に並んでいて……」


 そこでハッとする。

 もしや、と思う。もしやこの男は……。


 ギラついたその目を見て、確信する。


 この男なんだ。

 この男が運転する車が、ラーメン屋の行列に突っ込んだのだと。

 しかも酒、酒、酒。

 繰り返し酒と繰り返すのは、もはやアル中なのでは!?

 つまり酒気帯び運転で人身事故を起こしたんだ……!


 なんでそんな犯罪者が、この乙女ゲームの世界に転生しているの!?


「どうやらその顔。俺が何者であるか分かったようだな。そうだよ。俺だよ。俺がお前を殺した。轢き殺したんだよ! 悪いな、お嬢ちゃん。この世界でも俺がお前を殺すよ。お前だけ幸せ面しているのは、気に食わねぇんだよ!」


 そこで男がナイフを両手で握りしめ、振りあげる。

 この乙女ゲームは全年齢版であり、断罪もない。

 人の死とは無縁のゲームだったのに。

 しかも直前まで、世界は平和に満ちていたのに!


 なんの因果で前世で私を殺した男に。

 しかもヒロインに転生した男に、再び殺されるの!?


 だが私は前世でもただのオタク女子。

 転生したからと言ってチートな能力を得たわけでもない。

 武術の達人でもないのだから、この振り下ろされるナイフに抗う術はなかった。


 もう、ダメだ。


 前世ではあまりにも唐突に死亡し、未練など残ることはなかった。

 だが今は未練たっぷり。

 化けて出てやる。

 この男、今度は私が呪い――


 そこで聞こえるビュンという風を切る音。


 馬乗りになっているヒロインの体がビクンと大きく震える。


「あ、あ、あ……」


 男の声ともヒロインの声とも思える声が漏れる。


 カラン、カラン、カランと音が聞こえ、男……見た目はヒロインであるリコの手から、ナイフが落ちた。


 そして唐突にガクンとリコの首が垂れる。


「!」


 私は両眼を大きく見開くことになった。

 ヒロインの背に深々と刺さる矢が見えたのだ。

お読みいただき、ありがとうございます!

次話は18時頃に公開します~

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