発症3日目 スキルを確認しました
お読み頂きましてありがとうございます。
「ステータスオープンと叫んでみろ。」
「ステータスオープン!」
テンプレ展開だ。わかりやすい。
「間違いなく勇者だ。」
目の前に四角いウインドウが開く。そこには、名前と共に異世界の言葉らしき文字で称号『勇者』と記載されていた。隣には『翻訳』『収納』『鑑定』といったテンプレスキルと共に『創薬』『免疫抗体』『耐性菌』という見慣れないスキルが表示されている。
テンプレスキルは確認しなくても解るが見慣れないスキルが解らないのでその文字に触れてみると説明が出てきた。
『創薬』とは知っている薬を作り出せるスキルらしい。例えば解熱剤の名前を叫んでみると先日病院で貰った薬と同じものが掌に現れた。そのほかにも薬の作り方さえ解れば簡単に薬が作り出せるらしい。
『免疫抗体』は自分の体内に取り込んだウイルスの免疫抗体を作り出せるスキルらしく。デフォルトでコロナウイルスの免疫抗体が表示されていた。少なくともこれでコロナが重症化したり、再感染したりするリスクは無くなったのだろう。
『耐性菌』は自分の体内に取り込んだウイルスの耐性菌を作り出せるスキルらしく。デフォルトでコロナウイルスの耐性菌が表示されていた。耐性菌を作り出した後にくしゃみをすることで半径100メートルに飛沫が飛んでいくらしい。
コロナウイルスの他にもインフルエンザウイルスや麻疹、手足口病など過去に俺が掛かった感染症の名前が出てくる。さらに予防接種を受けた病気の名前も出てくる。日本では任意接種が大半で子供が生まれたときにどれを接種させようか悩んだものばかり、俺は親の愛情に感謝する。
「スローライフ向けっぽいスキルだなぁ。」
死に戻った悪役令嬢が前世知識でパンデミックを阻止する類のテンプレ漫画や質の良い薬局を開くスローライフ漫画で使いそうなスキルだ。
「そうでもないぞ。魔獣や魔族は毒を吐いて攻撃してくるものも多い。そういった兵士たちの後方支援向きだぞ。」
「やっぱり、魔王とか居る世界なんですか?」
50代の親父が魔王討伐とか無理過ぎる。しかも巻き込まれ物でアリガチな特殊なチートスキルは無いっぽい。
「そうだとも。心技体を鍛え上げ、魔王討伐の最前線に立って貰う。安心しろ『勇者』は神の恩恵により肉体や魔法の進化速度が早い。1ヶ月も鍛え上げれば騎士団団長レベルまで到達するのが通例だ。」
この世界観では『勇者』というだけでチートっぽかった。確かにステータスウインドウにはこの世界の全てのジャンルである聖、火、水、風、木、土、闇魔法が並びHPやMPも常人の10倍以上あるという。さらにレベルアップ時にステータスポイントが貰え、好きにスキルや魔法を強化できるらしい。
「納得しました。ところで御名前を頂戴しても宜しいですか? わたくし、南條健と申します。」
「これは失礼した。アルカディア帝国、筆頭魔導士アルフレッド・フォン・チェアマンだ。これから王宮へ案内する。ついて参れ。」
ここまでおよそ30分。マスクは無く、咳、くしゃみは出し放題で、狭い部屋で密。王様も含めこの部屋に居る全員、濃厚接触者だ。




