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161話 天使少女の現代旅行記・その12『女子高生イリスちゃん』

「似合いまして?」


 学校の制服に身を包んだイリスは、くるっと回転して、スカートの裾を摘みつつ、天使のような笑みを浮かべてみせた。


「わー、わー! すごいです、ものすごいです。イリスさん、すっごく可愛いです!」


 笑顔でぱちぱちと拍手を送るのは、芹奈だ。

 彼女も同じ制服を着ていた。


 ……あれから1週間。


 芹奈の家に厄介になり続けているイリスは、この日、とある作戦を決行することにした。


 芹奈は学生という仕事をしているらしく、朝から夕方にかけて家を出てしまう。

 しかし、彼女の置かれている状況を考えると危険だ。


 護衛を考えたものの、芹奈が通う学校というところは、部外者は立ち入り禁止らしい。

 強引に侵入することは可能だけど、それでは騒ぎを大きくしてしまうだけ。


 ならばと、イリスも学校に通うことにした。

 諸々の手続きが必要らしいが、そこは吉乃に頼んだらなんとかしてくれた。

 万能である。


「今日から、イリスさんと一緒に登校できるんですね! とても嬉しいです!」

「長くいるかわかりませんけどね」


 イリスは、短期留学という形で芹奈と同じ学校に通うことになった。


 こちらの世界に長く滞在するつもりはないため、それで問題ないのだけど……

 目の前で瞳をキラキラとさせる芹奈を見ていると、やや申しわけなく感じてしまう。


「では、お手数かけて申しわけありませんが、案内していただけませんか? それと、学校について色々と教えていただけると嬉しいですわ」

「はい、私に任せてください!」


 こうして、イリスと芹奈は一緒に登校することになった。




――――――――――




「……と、いう感じですね」

「なるほど」


 登校中。

 イリスは芹奈から、この世界の学校についてを学ぶ。


 基本的なシステムは、イリスの世界にある学校と同じようだ。

 学び、遊び、そして成長する。


 ただ、ぱそこんとか、たぶれっととか、でんしきぐとか。

 よくわからない単語が飛び出してきたため、注意は必要だろう。


 それともう一つ。


(見られていますわね)


 芹奈は気づいていない様子だが、何者かの視線を感じる。

 それと、つかず離れずの距離に気配。


(尾行……ですわね。なかなかの技術ですが、しかし、わたくしの前では無意味なこと)


 尾行者は優れた技術を持つらしく、芹奈だけではなくて、周囲の人間にも不審感を与えていない。

 群衆に完全に溶け込んでいた。


 ただ、イリスの目はごまかせない。

 魔力を探知することで、尾行者の正確な位置を特定していた。


(この世界の人間も魔力を持つようですわね。まあ、極微量なので、魔法を使える者はいないと思いますが。とはいえ、断定してしまうのは危険ですわね)


「イリスさん、どうかしたんですか? ぼーっとしているように見えましたけど」

「いえ、なにも。学校が楽しみで、ちょっと考え事を」

「そうですか。同じクラスになれるといいですね、えへへ」


 芹奈は子犬のように笑う。


 イリスは素直に、この笑顔を守りたいと思った。


 なので……

 その笑顔を害するかもしれない存在を排除する。


「芹奈さん」

「はい?」

「わたくし、ちょっと忘れ物を思い出したので、先に行っててくださいませ」




――――――――――




 高井純也は探偵だ。

 日々、依頼者の希望を叶えるために探偵としてのスキルを活用しているが……


 その依頼者は、なにも正しい人間ばかりではない。

 逆に、高井の依頼者は裏世界に生きる者がほとんどだ。


 高井自身、裏世界の出身だ。

 まっとうに生きてきていない。

 時に犯罪に手を染めて、時に口にできないようなことをした。


「さて……今度のターゲットは女子高生か」


 柚木芹奈の行動パターンを完全に把握して、可能ならば、その身柄を確保すること。

 それが高木に持ち込まれた依頼の内容だ。


 探偵の仕事からは程遠いが……

 しかし、高木は報酬に目が眩み、引き受けた。

 この仕事一つだけで1年は遊んで暮らせるのだから、当然の結果だろう。


「相手はガキ。簡単な仕事だな」


 高井はうすら笑いを浮かべて、二人の尾行を続けて……


「あん?」


 ふと、一人が消えていることに気がついた。


 最近、柚木芹奈と一緒にいることが多い、よくわからない少女だ。

 理由は不明だが、芹奈と一緒に暮らしていることが判明している。


「いつの間に……俺の目をかいくぐった?」


 高井は裏世界にどっぷりを足を突っ込んでいるものの、それでも、一流の探偵だ。

 対象と、その周辺の異変を見逃すなんてこと、ありえない。


 それなのに、どうして芹奈の友人が消えているのか?


 なにか嫌な予感がした。


「あらあら。このようなところから盗み見をするなんて、そのような趣味はいかがなものかと思いますわよ?」


 そして、嫌な予感は的中する。

◆ お知らせ ◆

新連載です。

『ネットゲームのオフ会をしたら小学生がやってきた。事案ですか……?』


https://book1.adouzi.eu.org/n6423iq/


こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] >「相手はガキ。簡単な仕事だな」 どうもー、お前を地獄に送る死神でーす^^
[良い点] こちらの世界で セーラー服姿をお披露目するイリス。 [気になる点] 「似合いまして?」 学校の制服に身を包んだイリスは、くるっと回転して、スカートの裾を摘みつつ、天使のような笑みを浮かべて…
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