表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
161/238

159話 天使少女の現代旅行記・その10『藤堂安志』

「がはっ……!?」


 とあるビルの一室。

 高価な家具や調度品が配置された部屋で、一人の男が殴られた。


 口の中を噛んだらしく、血を垂らしつつ転がり……

 そんな男に向けて、白スーツの男がハンカチを放り投げる。


「自分で掃除しろ、汚すんじゃねえぞ」

「は、はい……すみま、せん……」


 殴られた男はふらつきつつも、ハンカチを拾い、血の後を拭い……


「がっ!?」


 顎を蹴られ、再びひっくり返った。

 今度は意識を留めることができず、そのまま気絶する。


 そんな男を足蹴にして、白スーツの男は不機嫌そうに舌打ちをした。


「ろくな警備のない、ババアとガキがいるだけの屋敷。そこにいるガキを犯すなり殴るなりして、痛い目に遭わせてやる……なんでこんな簡単な仕事に失敗する? それともなにか? 俺の認識がおかしいのか? おい、誰が教えてくれよ」


 周囲にたくさんの男がいるが、誰も応えることはできない。


 そもそもの話……

 彼ら自信、今回の報告に納得がいっていない。


 白スーツの男がいうように簡単な仕事のはずだった。

 自分は実力も社会的にも一番強い、と勘違いする青年をそそのかして、まったくの無警戒の少女を痛い目に遭わせる。


 警備会社と契約はしているが、すぐにさらってしまえば問題ない。

 高い塀もまるで意味はない。

 むしろ姿を隠してくれるからありがたい。


 それなのに……

 なぜか、青年達は失敗した。

 直接、青年達から報告を受けたわけではないが……

 なにも問題になっていないところを見ると、それ以外の可能性は考えられない。


 青年達から話を聞きたいところだが、その足跡はぱったりと途絶えた。

 まずいと思い逃げたのだろうか?

 それにしては完璧すぎるほどに足跡が消えていた。


「ちっ、どいつもこいつも役に立たねえ」


 白スーツの男はソファーに座り、タバコに火を点けた。

 紫煙をくゆらせつつ、もう一度、舌打ちをする。


「くそっ……とっとと、あのガキの財産をいただきたいってのに、色々とめんどくせえな」


 白スーツの男の名前は、藤堂安志。

 柚木グループの一員であり……

 そして、芹奈の親戚だ。


 芹奈の両親が死んだ時、彼は内心で笑った。


 芹奈の両親の持つ財産は莫大だ。

 その全ては無理だろうが、一部は、親戚である自分のところにも流れてくるだろう。


 通常、第一相続権は一親等の親族にあるが……

 莫大な遺産が残されていた場合、恨み妬みを買わないため、親族で分配することがある。


 それを期待していたのだけど……

 遺言によると、遺産相続は芹奈ただ一人、とのこと。


「冗談じゃねえ。まだ青臭いガキが数千億を独占するとか、ふざけた話だ。遺産は、俺が使ってこそ、真に役立つってもんだ」


 故に、藤堂は芹奈の後見人になろうとした。

 芹奈はまだ未成年。

 後見人になれば、彼女の遺産を自由に使うことができる。


 ただ、芹奈は両親に似て、あれで頑固なところがある。

 藤堂の思惑は簡単に見抜かれて、後見人の話は断られた。


 それで諦められるほど遺産の額は安くない。


 藤堂は芹奈を力で従わせることにした。


 力こそが全て。

 力に支配できないものはない。

 そう信じる藤堂は、部下達に指示を出して、芹奈をほどほどに痛い目に遭わせることにした。

 それから、藤堂が後見人になることを了承させる。


「だっていうのに……ちっ、うまくいかねえな」


 藤堂はタバコを吸いながら考えをまとめていく。


 なぜかわからないが、今回の作戦は失敗した。

 同じような作戦を思いついたとしても、それがうまくいくという保証はない。

 むしろ、今回の件があるため、また失敗するような気がした。


 搦め手を使うか?

 いや。

 下手に頭を使うよりは、時に、力任せに強引にいった方がわかりやすく、成果が出るというものだ。


 ならば……


「おい」

「は、はいっ、なんでしょう!?」

「使えるヤツを十人くらい集めておけ。あと、警察に根回しも。今夜、俺達が仕掛けるぞ」


◆ お知らせ ◆

新連載です。

『ネットゲームのオフ会をしたら小学生がやってきた。事案ですか……?』


https://book1.adouzi.eu.org/n6423iq/


こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://book1.adouzi.eu.org/n8290ko/
― 新着の感想 ―
[一言] 藤堂安志、この紙に書かれてるのを読んで^^ 「ぺったんぺったん! つるぺったん! お前のお胸はひらぺったーい!!(ソラとルナに向かって言ってね^^」
[気になる点] イリスが魔法使ったら1秒で終わるだろうな
[良い点] 襲撃した黒幕が現れたこと [気になる点] 『藤堂安志』と手下たちの未来は・・・恐らく あっ察し(´-ω-)ですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ