表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/238

152話 天使少女の現代旅行記・その3『地球、そして日本』

 少女はイリスに手を引かれて、その場を離れて……

 しかし、イリスは地理がまったくわからないため、途中から少女が先導して……

 緑と白の装飾が施された店に移動した。


「あら、素敵な店ですわね」

「そう……かな? いや、サイズが悪いなんて思っていないけど、どこにでもあるようなファミレスだけど」

「ふぁみれす?」


 オウム返しをするイリスを見て、少女は小首を傾げた。


 サイズはともかく、まさか、ファミレスを知らないのだろうか?

 この子は、とんでもない田舎からやってきたのだろうか?


 気になったものの、恩人にあれこれ尋ねるのは失礼だろう。

 少女はそう判断して、まずはぺこりと頭を下げた。


「あの……危ないところを助けていただき、ありがとうございました。あのままだったら、私、どうなっていたか……」

「いえ、気にすることはありませんわ。わたくしは女性なので、基本、女性の味方ですわ。あのような愚かな男、見かけたのなら駆除せずにはいられませんから」

「えっと……あ、そうだ。自己紹介がまだでしたね。私は、柚木って言います。柚木芹奈です」

「わたくしは、イリスですわ」

「イリスさんですね、よろしくお願いします」


 挨拶をして、少女……芹奈はイリスをじっと見た。


 年齢は同じくらいだろうか?

 とても綺麗な少女だ。

 サラサラの銀髪は宝石のように輝いていて、ついつい視線を奪われてしまう。


 服装は独特で、ゴシックロリータに近いものがある。

 ただ、イリスが着ていると不思議とよく似合う。

 他の服ではいけない、と思ってしまうほどだ。


「あの、こんなところでなんですけど、よかったら好きなものを注文してください」

「あら、いいんですの?」

「はい。お礼になるかわからないけど……」

「では、遠慮なく」


 イリスはメニューを手に取り……


「……あら、見慣れたメニューがたくさん。こちらの世界もはんばぁぐなどがあるのですね」

「こちらの世界……?」

「しかし、言語が同じなのはどういうことなのでしょうか? ふむ……?」

「言語……?」


 時折、イリスはよくわからないことをつぶやいていた。

 ロールプレイ、というやつだろうか?


 気になったものの、芹奈は質問はしないでおいた。

 恩人なのだから、細かいことは気にしないでいい。


 その後、イリスはハンバーグセットとコーンスープ、シーザーサラダ。

 食後のスイーツにバニラアイスとチョコレートケーキ。


 芹奈はカルボナーラとチーズタルト。

 それと、二人はそれぞれドリンクバーを注文した。


「芹奈さんと名前で呼んでも?」

「あ、はい。もちろんです」

「では芹奈さん、いくらか質問をしたいのですが、よろしいですか?」

「はい、大丈夫ですよ」

「では……」


 そして、イリスは色々な質問をした。


 この世界の名前は?

 この国の名前は?

 この街の名前は?


 あそこに見える建物は?

 高速で移動する物体の正体は?


 わたくしは異質?


 ……妙な質問ばかりだった。

 まるで、地球の日本という場所を知らないような発言。


 しかし、そのようなこと、ありえるのだろうか?

 イリスはどこからどう見ても外国人だ。

 ただ、生まれた時から日本にいたかのように、とても流暢な日本語を話している。

 それでいて日本を知らないとか、いったいどういうことだ?


 芹奈はとても不思議に思ったものの、やはり、深く追求するのはやめておいた。

 なにしろ相手は恩人だ。

 助けてもらったのだから、できる限り恩を返したい。


 不思議に思いつつも、芹奈は一つ一つの質問に丁寧に答えていった。

 ……さすがに、この国の社会の構築及び経済圏の確立について、という質問が飛び出した時は、「ごめんなさいわかりません」と言うしかなかったが。


「ふむ」


 一通りの質問が終わり、イリスは一人考えこんでしまう。


「えっと……他に聞きたいことはありませんか?」

「……いえ、大丈夫ですわ。大体のことはわかりましたが……しかし、厄介なことになりましたわね」

「厄介なこと、っていうのは?」

「そうですわね……隠すことなくストレートにお話してしまうと、わたくしは、身元がまったく保証されていないとても怪しい人物、ということなりますわ」


 その後、イリスは呑気な顔をして、「警察とやらに見つかれば、確実に逮捕か補導をされてしまいますわね」なんてことを言う。


「……」


 ここまでくれば、芹奈はイリスの異常性に気がついた。


 この子はなにかおかしい。

 常識が異なるとか、知識が欠落しているとか。

 色々と指摘できる部分はあるものの……


 一番の違和感は、本当に人間なのか? という点だ。


 イリスと話をしていると、まるで、まったく別の生き物と話をしているような気持ちになってしまう。


 そんなバカな。

 外国人ではあるものの、とんでもない美少女で、そして、どこからどう見ても人間ではないか。


 そう芹奈の常識がささやくものの、疑惑を捨てきることができない。

 時間の経過と共により強く深くなっていく。


 それでも。


「よかったら、事情を話してくれませんか?」


 芹奈はイリスの力になりたいと思った。


 もちろん、恩人だからという理由はある。

 でも、それだけではなくて……

 なぜか放っておくことができないと、そう思ったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://book1.adouzi.eu.org/n8290ko/
― 新着の感想 ―
[一言] イリス達が住む世界の言語は日本語と同じなのか…… じゃあ漢字や他の言語(英語等)はどうなんだろう?
[一言] >「えっと……あ、そうだ。自己紹介がまだでしたね。私は、柚木って言います。柚木芹奈です」 成程、柚木の嬢ちゃん。あのイリスってのは「ホットドッグのお姉ちゃん」って覚えておきゃあいいぞw …
[良い点] 「えっと……あ、そうだ。自己紹介がまだでしたね。私は、柚木って言います。柚木芹奈です」 > イリスの力になりたい。彼女がそういう優しい子だったこと。 [気になる点] この二人がどんな絆を見…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ