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黒歴史


「は、謀ったな! 高麗川!」


「ふふふふ、今この家には誰もいない……大きな声を出しても無駄さ」


「いや、それは男の言うセリフ……ってか何をするつもりだ」


「決まってるだろ……男女が一つ屋根の下二人っきりでする事と言ったら一つしか無いだろ、さあ覚悟しろ」


「いやあああああああああああああああああ」


 システムの話をじっくり聞かせると言う口車に乗せられノコノコと高麗川の家にやって来た俺は、何の疑いも無く高麗川の部屋に入った……入ってしまった……。


「さあ、やるぞ!」


「や、やるって……そんな直接的な……」

 18禁か? ついに18禁なのか? やっぱりそこなのか?!

 まさか高麗川がこんなに積極的だなんて……やっぱり足の早い奴は手も早いという都市伝説は本当だったのか!


 待て、俺には、俺には月夜野が、瑠があああああああ!

 

 貞操の危機が………………………………あれ?


 なにもしてこない……俺は目を開いて高麗川を見ると、高麗川はテレビの前に座りテレビ台の下から古いゲーム機を取り出し電源を入れた。

 

 いかにも古いゲーム機、あまり見た事無いゲーム機だなあ……なんて思いながら俺は呆気にとられつつボーッと高麗川を見ていると、ゲームを立ち上げ終わった高麗川が俺の方を見ながら嬉しそうに言った。

 

「さあさあ、どのゲームにする?! 僕のお薦めはやっぱりこのコンシューマ移植された名作、『妹に突然告白されたんだけど、妹は攻略対象ですか?』だよ!」


「…………へ?」


「さあやろう! 僕と一緒にめくるめくギャルゲーの世界を堪能しよう」

 

 高麗川はニコニコしながらそう言うと俺に見せ付けていたゲームのパッケージからディスクを取り出しドライブに挿入する。


 コンシューマー移植という事は元はPCゲーム……つまりエロゲーって事か……。

 

 いや、そうじゃ無い、そんな事よりだ!


「こ、高麗川! 今日はシステムの話を聞きに来たんだ! ゲームは後にしてくれ!」


「よし! 後でするんだな!!」


「…………あ」

 なんか……俺って毎度毎度こうやって瑠や高麗川の手のひらで踊らされて無いか?


「約束したからな!」

目をキラキラと輝かせながら高麗川は俺を見つめている……そんなにしたいのか?


「あ、ああ……本題が済んだらな」


「……よしわかった!」


 高麗川は立ち上がり脇にあるベットに座るとチョンチョンと隣を指差す……ええええええ……そこに座れと……。


 仕方ない、もう既に密室で二人きりなんだ。俺さえしっかりしていれば何も問題は無い……筈だ。



 俺は高麗川の言う通り指定した場所から少し離れ、高麗川からやや距離を置いてベットの上に座った。


 ベットに座り高麗川の部屋を改めて見ると、壁には表彰状とメダル、棚にはトロフィーが飾ってある。

 

「フフフ、壮観だろ? 僕の歴史さ」

 これをまず見せたくて俺をベットに座らせたのか? ベットから見える数々の勲章、高麗川の戦いの歴史……。


「……やっぱり高麗川って……凄いんだな……」

 陸上……あの時の、高麗川の走っていた勇姿を思い出す。

 必死にもがく高麗川、あの激しく歪んだ顔は……凄く美しかった……。


「……君にだって歴史があるだろ?」


「…………俺? 黒歴史ならいくつかあるけど……」


「…………ジュニアオリンピック代表が黒歴史なのかい?」


「────な!」


「あはははは、凄い顔してる、今度誰かさんに描いて貰おう」


「誰かって、いや……な、なぜ? 知ってたのか?」


「うーーん気が付いたのは最近だよ、君が僕の試合で応援してくれた時なんとなくって思ったのが最初かなあ?」


「な、なななな」



「あはははは、本当に君は面白い顔をするなあ……」


「……いや……なぜ……えっと……」

 俺の過去……封印していた黒歴史……俺のトラウマ……なぜ、なぜ高麗川は知っているんだ? 瑠にはそこまで言っていない……いや、誰にも言っていないのに……システムといい……一体こいつは……。


 不敵に笑う高麗川……『魔王』……俺の頭にまたその言葉が過った。


 

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     新作!         
  同情と恋の違い 元アイドルの美少女が責任を取りたいと僕の前に現れた。          
  宜しくお願いします。(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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