第94話:成長結果
どもどもべべでございます!
十日も開けてしまった……なんてこったい。
けど、これでハノンくんも晴れて一人前です! これから認知度も上がっていくかも、ですね!
もう少しコンスタントな更新を心がけますね……すみませんでした!
ハノンの装備を整えてから、数日。
装備で使った金をカバーする為に、スラムの公衆便所の清掃依頼をこなしていた俺たち。その報酬を受け取っていた時に、アルバートから銅貨級昇格についての呼び出しを受けた。
公衆便所の清掃は、定期的に受けるようにしている。ハノンは俺と契約してることで、毒や病気に対して強い耐性を持っているからな。
「今回も随分稼げたみたいだな。役所の人間が口惜しそうにしていたぞ」
『連中の小遣い稼ぎに付き合ってやる義理はないからな。リスクが無くて報酬が高い依頼は率先して受けるべきだろ』
「そうですねぇ。最近は皆さんも協力的になってくれてて、そこまで汚くはないですし」
ギルドマスターの部屋で茶を嗜める程度には、今の俺らは汚れていない。多少は臭うかもしれんが、前みたいに即座に風呂場に駆け込むような事はない。
役所の怠慢でスラムが荒れて、そのせいでスラムの連中もやる気がなくなっていたのが今までだったからな。スラムの人々と仲の良かったハノンが、定期的に掃除に来るようになって、皆が率先して手伝ってくれるようになった。
そろそろこの清掃依頼自体の意味が無くなってくるだろうから、役所が何かしらのアクションを起こしてくるかもな。
「まぁ、それはいい。今はハノン少年の昇格の話だったな。では、ギルドマスターとしての最終確認を行う」
「は、はいっ」
「そんなに畏まる必要はないさ。冒険者カードのステータスを見せてもらって、銅貨級の依頼でも充分こなせる能力を持っていると判断するだけだ」
そう言って、アルバートが手を指し伸ばしてくる。カードを見せてくれってことなんだろうな。
ハノンはわずかに生唾を飲んで、おずおずとカードを差し出した。
《パーソナル》
名前:ハノン 年齢:10 性別:♂
《能力値》
筋力:★ ★ ☆ ☆ ☆
敏捷:★ ☆ ☆ ☆ ☆
知力:★ ★ ★ ☆ ☆
精神:★ ★ ☆ ☆ ☆
魔力:★ ★ ★ ☆ ☆
《技能》
従魔師 盾使い 魔術師
(テイマー) (ガード) (ソーサラー)
:Lv2 :Lv3 :Lv3
改めて説明すると、★の評価は冒険者としてどれだけの技量を持っているかだ。星が一つでもあれば、冒険者としてギリギリの最低限だな。
ここ最近の訓練や勉学で、肉体面や知識面が鍛えられているな。敏捷性は相変わらずだが、これは回避や肉弾戦じゃなく、防御に重点を置いてるから仕方ないとも思う。
技能としては、魔術師をくわえて、満遍なくそれぞれを伸ばした形になっているな。盾使いも一端のレベルになってきたし、これなら前線に立てる最低限をクリアできているだろう。
従魔師のレベルが上がってるから、今なら何か追加で契約獣を増やせるかもしれないな。いつまでも角兎だけってのもなんだし、ハノンのレベルに合わせた奴を見繕うのもいいかもな。
「……なるほど、前衛で仲間を守りながら魔法を行使する戦術か。単騎でも契約獣がいれば同様の戦術が取れる。序盤が厳しい分、育てば育つ程手が付けられなくなる、大器晩成の型だな」
『ハノンを手っ取り早く戦える方針にしたら、間違いなく途中で死ぬのが目に見えてたからな……こう成長させるのが、最善だったんだよ』
「お手数おかけしました……」
「まぁ、貴様がいたからこそ出来た成長だな。半端な契約獣ではこうはいかん」
納得したようにアルバートは頷き、カードをハノンに返す。
そして数枚の書類を取り出し、俺たちに差し出してきた。
「……これが君の功績を書き留めた書類と、上層部の一定数以上が君の銅貨入りを認めた書類だ。……おめでとう。君は銅貨級として、この町に認められたよ」
「あ、ありがとうございますっ」
『感慨深いな……』
ハノンが俺の死に巻き込まれて、冒険者になったのが始まりだったな。
そこから随分引っ張り回してしまったが、ハノン自身も随分逞しくなったもんだ。もはや俺がいなくても、仲間との連携が出来れば充分銅貨としてやっていけるだろう。
「私としても感慨深い。正直、君はヴォルフガングの死を知ってしまった厄介者という認識が最初だったからな」
「あう……」
「だが、今はこの町に無くてはならない人材だと思っている。君のおかげで救えた命がある……感謝しているよ」
ハノンの目が、キラキラと輝きを増していくのがわかる。人に認められるってのは、ある意味で一番のモチベーションになるからな。それがあの偏屈なアルバートに認められたってんなら、感動も相当だろう。
『よく頑張ったな、ハノン。今夜はお祝いだ』
「は、はい……ありがとうございます……!」
「それも良いだろう。後日の依頼について話そうとも思ったが、水を差してしまうな。今日くらいは年相応にはしゃぎたまえ」
うんうん、俺が銅貨に上がった時を思い出すぜ。アルバートと一緒に昇格したんだよな。
あん時は、流石のアルバートもテンション上がって酒を飲んでたな。二人そろって道端でゲーゲー吐いてたのが今は懐かしいぜ。
「そうだ、これだけは言っておこう。……フロキア青年だが、正式に君たちが見つけたダンジョンを探索するチームに入ってもらう事になった」
「そ、そうなんですか?」
「あぁ、君たちが遠出をしている間、彼も君たちの為に動いているという事をしっかり覚えておくといい」
「は、はいっ」
……俺らの為に、ダンジョン探索ねぇ。
『あのダンジョン、何か俺らにとって意味があるのか?』
「そうだ。お前の蘇生に使える要因がある可能性がある。……低い確率ではあるがな」
「『!』」
そういう事か! それなら、フロキアには相当頑張ってもらわんとな。
アルバートが何を使って俺を元に戻そうとしているかはわからんが、まぁそこは頭のいい奴に任せておこう。
「話は以上だ。……関係者に、昇格の報告にでも行ってきたまえ」
「は、はいっ!」
そうだな。今は俺の話よりも、ハノンを祝うのが優先だ。
ベローナさんに美味いもん作ってもらわんとな。風呂に入り放題ってのも、今回は許してやるか!
ギルドを後にし、俺たちは竜の息吹亭へ走っていく。
その日は、大量のドラゴンステーキと山ドードーの卵フルコースだったという事を、ここに明記しておこう。




