第81話:行き先
どもどもべべでございます!
夜中でありますが、ご投稿!
どうぞ、お楽しみあれー!
「…………」
「…………」
「……フス」
参ったね。どうも。
俺とハノンは、どうにも微妙な表情でその場にたたずんでいる。
ゴーストを退治し、休憩と回復を挟んだ俺達は、更に奥に進んだ。その結果、場面が進展する情報を見つける事に成功したのが、つい今しがたの事だ。
しかし、その進展が問題だった。
「……階段……だね……」
「そう、ですね」
『あぁ、これは出口じゃあねぇなぁ』
見つけたのは、地下に向かう階段だった。
正直言って、これはハズレである。ダンジョンで階段って言ったら、奥に進んで行くための手段だ。
俺たちは外に出たいわけだから、普通に外の見える出口を探さないといけないわけだな。
『ここまでの道は一本だったから、逆側が出口方面だったか……』
「あうぅ……やってしまいました……」
『いや、戦闘の回避はけして間違った判断じゃねぇ。こればかりは運でしかないな』
しいて言うなら、俺とハノンの運は基本的に悪いって事を考慮しなかったのが原因か。……言ってて悲しくなってくるな。
まぁ、ここが出口と地続きの第一階層かって言われると首を傾げてしまうんだが、俺達は山の中腹から落ちてここに来ている。その上で、この階段は下に向かうためのものだ。
このダンジョンが上に登る度に危険度が上がるタイプだとしたら、あのスケルトンは弱すぎる。となると、下に降りて攻略するタイプのダンジョンだと推測できるな。
結論として、仮に出口に向かうとしたら、階段を上がっていかなければならないというわけだ。
「……逆……行かなきゃ、ね」
『そうだな。気にしててもしょうがねぇさ』
「うぅ、はい……」
行き道を戻る事にはなるが、まぁまだモンスターの再ポップは時間的に無いだろう。
またゴーストにでも鉢合わせたら、ハノンの魔力残量的に厳しいかもしれん。ここは少々無理してでも、出口に近づいていきたいな。
「で、では、戻りましょうっ。先ほどの羽音がするエリアに入って、対処してからどう進むかを考える方向で良いですね?」
「……うん……」
「フスッ」
そうと決まれば善は急げ。モンスターが再度湧く前に、俺達は来た道を戻る事にした。
幸い、あそこまでそんなに距離は無い。トラブルはこれ以上ない……と、思いたいが。
ズズン……!
「「っ……!」」
どうやら、俺達はとことんトラブルに好かれる体質らしい。
ゴーストとやり合った場所辺りまで来た所で、不意にダンジョンに轟音が響いた。そして、足から体全体に振動が響いてくる。
「……ヴォルさん……今の……」
『あぁ、かなりの衝撃だったな。……なにか、この奥で起こったと考えるべきだろう』
トラップが作動したか? それとも、新たなモンスターが湧いたか。
試しに広範囲知覚を使ってみるが……探知外で発生した何からしく、めぼしい情報は入ってこない。
「ぁゎゎ……」
「ど、どうしましょう!?」
『どうするもこうするも、進む以外に選択肢はねぇ。このままここに留まってもじり貧なんだからな』
「そ、それはそうですが……」
買っておいたポーションは、ゴーストに吸われた生命力を賦活させるために一本使った。残りを考えても、余裕を持てる戦闘は後1回程度だろう。
その貴重な一回を、こんなエリアの奥で費やしたら詰んじまう。ここは多少の危険を覚悟してでも、出口に向かって進むしかない。
『うしっ、行くぞ』
「は、はい……」
「……大丈夫、かな……」
「わかんない、ですけど……ヴォルさんは、このままここにいても死んじゃうって言ってます。その通りだと思うので、進むしかない……ですね」
「……わかった……」
先ほどよりも一層気を研ぎ澄ませ、進んで行く。
角に来る度に広範囲知覚を使い、石畳からの振動や空気の動き、音などを探っていく。
俺達が落ちてきた区画も越え、ようやくスケルトンのいた広間に差し掛かった。
「……フスッ」
「ん……」
そこで、とある気配を感じてハノンに制止をかける。
広間に、何かがいる。
『……ここからじゃよく見えんが……先ほどの振動の発信源と考えていいか』
「気配が、あるんですか?」
『あぁ、気配は2つ。こっちに向かって来てる』
「あわわ……! か、隠れないとっ」
『ここまでは一本道だ。隠れる場所なんてねぇよ』
つまり、この先にいる連中が何かしらの危険要素をはらんでいたら。
……なんとかして、ハノンとヘナだけでも出口に走れるようにしねぇとな。
『先手かけるぞ、ハノン。【ウォーターシールド】頼む』
「あ……は、はいっ」
ハノンが呪文を詠唱し、俺の周囲に水の盾が展開される。
体内に残っている気は、広範囲知覚から身体強化に切り替えた。これでとりあえず、準備は整った。
向こうの気配は先ほどよりも薄くなったが、近づいてきたことで、L字になっている角の先にいる事は把握できている。向こうも動きが止まっている所を見ると、こちらの存在に気付いたみたいだな。
んじゃあ、行くかね。
「フスッ!」
角から身を躍らせ、壁に向かって跳躍。後ろ脚が壁に触れた事を感じながら、角を標的に向ける。
視線の先から、刃物を抜き放つ音が響く。その音を皮切りに、俺は壁を蹴り弾丸のように跳んだ。
「……っ!」
相手が剣を用いて、突きを放ってくるのが気配で分かった。迎撃ならば角で受け流して、カウンターを――――ん?
突き?
「ちょっ、待ちなさ――――」
「ハァッ!」
高速の一撃がウォーターシールドに遮られ、勢いを殺された。そのロスを使い、余裕をもって身を捻って回避。同時に角を刀身に這わせ、床に叩きつけるように落とす。
カウンターは、しねぇ。この突きには、覚えがあるからな。
「フスッ」
床に着地し、襲撃者を見上げる。
「……! ヴォルじゃないかっ」
「んもう! 急に襲い掛かってこないで欲しいですわ!」
仕方ねぇだろ。
まさか、このタイミングでお前らが来るなんて予想してなかったんだよ。
そう……俺の前にいたのは、数時間前に別れてしまっていた2人。フロキアと、オリアンティだった。
うん、まぁ、なんかボロボロだけどな。あちらもあちらで、大変だったらしい。




