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第75話:落下

どもどもべべでございます!

パソコンの画面がやば~いw

これは修理に出すか~。

という訳でご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~

 

 休憩も終わり、中腹を目指して歩く俺達。慣らしてある部分は無くなっていき、今ではごつごつした岩肌を歩く形になっている。

 こんな斜面、ハノンも本来ならもっと頻繁にばてていた事だろう。しかし、事前に買っておいた疲労軽減のブーツのおかげでなんとかついて来れている。


 むしろ、魔法使いであるはずのオリアンティがスイスイついて行けてるのが意外だな。顔色一つ変えないコイツは本当に尊敬するわ。

 フロキアはもちろんの事、ヘナもまた順調に先導出来ている。この調子なら、早い内に山ドードーの巣を見つけることも出来るだろう。


「しかし、こうして野宿して野外活動というのも久しいな」


「あら、最近ダンジョンに行ったじゃありませんの?」


「あれは日帰りだったし、悪魔騒動で印象が薄れてしまったからな……ハノンくんには、もっと経験を積んでもらいたいと思っていたんだが」


「お、お心遣い、感謝します……はふ」


 ふむ、疲れてはいるが、まだ限界じゃねぇな。

 会話に混ざれる気力があるなら、大丈夫かね。


「……ん……」


 ふと、ヘナが足を止めて下に視線を向けている。

 大きな岩がある場所を迂回する前に、何かに気付いたようだ。


「どうかしまして?」


「……下に……」


「下?」


 ヘナが違和感を持っている。

 野外活動の専門家の発見だ。その事実はけして無視して良いものではない。

 全員で、その場を探索する事となった。


「……なにかわかりまして?」


「いや……下というからには、地面なのか? 私にもわからないな」


「僕にも何がなにやら……ヴォルさん、なにかわかります?」


 う~ん、なんというか、確かに違和感はある。

 なんつうか、薄い板を渡っているかのような感覚だ。地面はしっかりしているのに、どうにも嫌な予感がぬぐえない。


『……まさか……』


 試しに、足元にクイックマッドを使用してみる。

 地面が泥になり、ぬかるみに変わっていく。


「っ、お、落ちましたよっ?」


「まぁ、これは……下が空洞になってますの?」


 確かに、落ちたな。

 泥になった空間だけ、ぽっかりと穴が開いてしまった。つまり、オリアンティの推測が正しいと思われるという事だ。


「……こんな、状態……初めて……」


「ふむ、街中でも、山を掘るなんて大規模な話は無かったな」


「フス」


「……つまり?」


 山の中をくり抜くように、突然現れた謎の空間。

 つまり、これは……


『……ダンジョンか?』


「ダンジョン!?」


「まぁ、そんな事があり得ますの!?」


 可能性が無い訳じゃねぇ。

 そもそも、ダンジョンが何処で発生するかなんてのは、俺ら人間にどうこう読めるものじゃねぇんだ。

 グランアインのダンジョンとは別に、若いダンジョンが発生した。その現実を否定する事はできないだろう。

 問題は、このダンジョンがどのくらいの規模なのか、だが。


「ど、どうします? ギルドマスターに報告した方が、いいですよね……」


「ふむ。ダンジョンと聞いたからには、どのような傾向かを調査する必要があるからね」


「そうですわねぇ……今回は未探索のダンジョンに挑めるような準備はしていませんし、入るのはあまりおススメいたしませんわ。……とはいえ、ダンジョンを見つけたという手柄を放棄するのも、冒険者としては悩ましい所ですわね」


 おぉ、皆して慎重だな。

 俺らくらいの世代だったら、発見者の特権って事で即座に探索を開始した所なんだが。

 もちろんハイリスクだが、間違いなくハイリターン。これを逃す手はないと思うぞ?


「……と、ヴォルさんは言っていますが……」


「ふむ、ヴォルは結構上の世代の人間なんだな」


「無謀ではありますわねぇ、そんな姿になったというのに……」


「フシッ! フシッ!」


 うっせ!

 なにも万歳しながら突撃するわけじゃねぇだろ!? 俺というスカウトもいるんだ。慎重に探索するに決まってるだろうが!

 まったく、最近の若いもんはロマンを無謀と勘違いしてる節が――――


「っ」


「あ……」


「ん、どう、しました?」


 ヘナも気付いたか。

 今、遠くの方から音がしたのだ。

 結構、遠く。しかし、大きめの瓦礫みたいな音だった。


「フシッ、フシッ!」


「け、警戒……ふもとの、方角……!」


 俺が事前に前に出て、ヘナが警戒を促す。今回はちゃんと出来たな。

 フロキアが即座に剣を抜き、ハノンも盾をわたわたと構えた。

 その間に、音はどんどん大きくなっていく。……何かが、やってくる足音だ。


【――――ォォォォ――――】


「……この……鳴き声?」


「っ、嘘、でしょう?」


 オリアンティも気付いたか。

 このどでかい足音、そして今の、重低音な鳴き声は……。


『今すぐそのでかい岩に隠れろ! ここだと逃げ場が限られる!』


「っ! み、皆さん!」


 俺の指示をハノンが訳し、全員がそれに従う。

 大岩を背にし、そこから顔を覗かせる。避難をしている間に、鳴き声の主は目視できる位置まで突っ込んできていた。


「く、狂牛クレイジーボア! なんでここまで来てますの!?」


「あれは……狼が追われてる、のか?」


 あれか。

 森を出て追いかけ回されてた、あの狼達か!

 なんで山登ってきてんだよ!?


【ガルルルル!】


【キャイィン!?】


【ブモォォォォ!】


 俺の鼻に、ツンとした匂いが走る。

 この臭い……ヘナが取り出してた、獣避けの臭いだ。


『な、なぁハノン。あの獣避け……ヘナはどうやって使ってた?』


「え? あの……狼達に、ぽんと投げてました」


 ……つまり、隠れた俺と違って、もろに煙をくらったわけか。至近距離で。

 んで、臭いが消えなくて……その臭いで狂牛にキレられて、追いかけ回されてた?


「え……という事は、狼達は、クレイジーボアから逃げて、山に登ったって事ですか?」


「それで山に来たというのは考え辛いが……」


 そんな憶測を語りつつ、隠れてやり過ごそうとしていた俺達。

 しかし、狼達はまっすぐ、俺らの方向に向かってきている。


「……も、もしか、して……」


 ここにきて、ヘナがさぁっと青ざめた。ような気がした。

 全員の視線が注目するなか、一つの仮説を立てる。


「……私達の……匂い、追って、きた?」


「「「…………」」」


 狼は、俺らの匂いに感づいたため、獣避けで撃退した。

 つまりアイツらは、一度は俺らの匂いを嗅いだという事である。


「……クレイジーボアから逃げてる内に、」


「キャンプ場、まで来て……私達の、匂いを、見つけて……」


「……自分たちが追われた原因に腹を立て、そこまで追跡してきた?」


「フス」


「あ、ありえませんわー!?」


 おうともありえねぇ!

 なんつう迷惑な報復活動だ! 俺達に擦り付けるために、狂牛をここまで先導してきたっていうのかよ!?

 狼舐めてた! なめてたわ!


【グモモォォォ!】


『やべぇ逃げろ! すぐ岩から離れろぉ!』


「わわわ! 岩から離れてくださぁぁい!」


 俺達の場所を把握したであろう狼達が、大岩をすり抜けていく。

 つまり、次にくる存在が近いって事だ。全員が、その場を弾かれたように離れようとする。

 だが、一歩遅い。


「うわぁぁぁ!?」


 ボゴォン! という破砕音と共に、岩が砕け散った。

 狂牛が、その突撃をお見舞いした結果だ。昔の体だったら盾で受け止めてたものを、今はそれが出来ないのが口惜しい。

 だが、全員が反応できていたため、岩の下敷きになるような事はなかった。そこは一安心……


「……え……」


 と、思った瞬間。

 大岩を中心に、いきなり地面が陥没した。

 そうだった。この下に、何が出来ていたのか……それを失念していた。


「あわ、わ、わ!」


『ハノン!』


「ハノンくん!」


 地面の崩落に、ハノンが巻き込まれている。

 フロキアがカバーしようとしていたが、崩落しかけている地面が残っている間に、狂牛が穴を跨いできやがった。

 危うく肉の塊に轢かれそうになり、フロキアは回避行動を取らざるを得ない。そのタイムロスは、大きな痛手だ。


「あ……!」


 狂牛が穴を跨いだ際に、蹴り上げた石が数個、ハノンに向かって飛ぶ。

 ここでようやく跳躍が間に合い、一個は叩き落す事に成功した。

 残りはハノンが盾で防ごうとするも、体勢を崩した今では、堪えられる訳が無い。

 ガキン! という音がして、盾がはじけ飛ぶ。革製の握りが千切れ、ハノンは盾を失った状態で穴にその身を躍らせる形になった。


「フシッ!」


「っ、『邪魔者を今すぐ、排除なさ』っ、きゃあ!?」


 オリアンティの呪文が、狼に邪魔されたのが見える。助けは期待できない。

 だから俺は、咄嗟にハノンに向かって跳んだ。

 この体を下にすりゃあ、クッションくらいにはなるだろう!


「うあぁぁ……!?」


「っ!」


 穴に落ちて行く。

 暗がりが俺らを包む……その一瞬前。

 闇とは違う、真黒な物体で、視界が埋まった。

 浮遊感は変わらない。しかし、何かに包まれたような感触。

 その奇妙な感覚のまま、俺たちは穴の底に落ちて行ったのだった。





    ◆  ◆  ◆





「っ……なんて事だ……」


 フロキアは、歯を食いしばって穴の底を見つめる。

 即座にその身を躍らせたくなる衝動に駆られるが……今、それはできない。


【ガルルルルァ!】


「っ、邪魔だ!」


 報復のつもりなのか、襲い掛かってくる狼を一匹、斬り伏せる。

 だが、まだ2匹の狼がフロキアを、そして、オリアンティをマークしていた。


「あぁもう! お気に入りが破れましたわ! 許しませんわよ!」


「オリアンティ、すぐにハノンくん達を……!」


「あの子達の事より、今は生き残る事を考えなさい!」


「っ」


 オリアンティがフロキアの傍まで走り寄り、背中を預ける形になる。

 その視界の向こうには、Uターンしてくる巨大な影が。


「私達がその穴から落ちて、無事な保証はありませんわ! ハノンさんなら大丈夫でしょうから、今は彼女を信じなさいな!」


「……そうか……そうだな」


 ハノンとヴォルが落下した、その瞬間。

 ()()()()()()()()、あの黒い影。

 確かに、ハノンらは無事だろう。そうフロキアは判断する。オリアンティの活が、彼を冷静にさせたのだ。


「確かに、今はここを切り抜ける事を優先しよう」


「えぇ、その後ゆっくり、こことは違う出入り口を探せば良いのですわ!」


 パーティーの分断。

 こちらは2人。

 相手は大物。そして狡猾な獣。

 だが、それがどうした。フロキアは武器を構え、唇を結ぶ。

 あの少年を助ける。その為の踏ん張りどころは、ここだ。あの頼れる兎も居ない。

 ならば、自分がオリアンティを守り、全てを倒すつもりで挑まねばなるまい。


「行くぞ!」


「『最大! 火力を! 準備なさい!!』」


 近場の狼に、斬りかかる。

 炎が巻き上がり、猛る。

 今、彼等にとっての大一番が、幕を開けた。

 

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