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第66話:人間?

どもどもべべでございます!

わぁい! レビュー貰ったよ!

なまことドリルのお姉さまを描くナマコさんから、レビューもらったよ!

嬉しいので速攻で上げました!

どうぞお楽しみあれ~!

 

 ベローナさん達に、保存食などの販売をお願いしたり、その晩に出発の準備などを整えたりして……そして、翌日。

 フロキアも朝方に到着し、俺達は全員揃って厨房に来ていた。ハノンが一番遅かったのは明記しておこう。


「「「…………」」」


「……フス」


 あぁ、朝食のロックボアの香草焼き、美味かったな……そんな現実逃避をしてしまう程に、今の俺達は硬直停止している。

 何故かって? そりゃもう、ベローナさんがくだんの娘さんを引きずってきたからさ。


「まったくもう、しゃんとしな! 決まった事から逃げるんじゃないよっ」


「……き、き、決めてない、ウチ、決めてない……」


「そりゃあアタシが決めたから当然さね。さ、挨拶しなっ」


「っ……ぅ……」


 目の前にいるのは、想像以上の存在だった。

 毛量が多いとは思っていた。思っていたが……そんなもんじゃない。

 当然頭のてっぺんから、意外にも足のくるぶしまで。

 その全貌全てが、艶やかな黒の毛髪で埋まっていたのである。


「…………」


「はぁ……情けないね。すまないねアンタ達、この子はヘナっていうんだ。仲良くしてやっとくれ」


「は、ハノンです……」


「……フロキアだ」


「オリアンティ・フォン・ゴールですわ。敬意を込めてオリィとでも呼びなさい」


 毛髪の滝から覗くのは、ギョロリと光る丸い瞳。

 うん、瞼とか、そういう物が見当たらない。本当の意味で新円の、深淵が如き瞳が覗いている。

 というか、それしか見えない。顔の輪郭とか鼻筋とか、覗いていいはずなのに、目しか見えない。

 毛+目+足先。これしか情報が見えない。


「女将さん、質問がございますわ」


「なんだい?」


「この子、人間ですの?」


 うぉい! 直球だな!?

 突然の爆弾発言に、俺ら2人と1匹はシンクロして首をオリアンティに向ける。


「なんだい。人間じゃなきゃ娘にしちゃいけないのかい?」


 うぉい! 正直だな!?

 ベローナさんの爆弾発言に、俺ら2人と1匹はシンクロして首を少女、ヘナに向けた。


「…………ぁぅ…………」


 あ、オゴスの旦那の後ろに隠れた。


「この子は【器族うつわぞく】さ。昔、アタシらが冒険者だった頃にどこぞの遺跡で拾ってね。その日から娘として育ててたのさ」


 ほう、器族か。流石に初めて見たぜ。

 その昔、神様がまだ人間を眺めてるだけだった時代に、人間によって作られたっつう存在だったな、たしか。

 見た目はハノン達みたいな、ヒュリンそのままの見た目だったり、獣人ヴァナみたいな他の種族だったりとまちまちで、中にはドロドロの粘液みたいなやつもいたって聞く。人間によって調節されたから、千差万別の姿形をしていたらしい。

 つまるところ、肉と意思を持った、物を食うゴーレムだ。


 最大の特徴は、自身の身体を自由に操れるって話らしいが、その自由って範囲が俺には見当もつかない。

 かつては様々な用途で使われたっつう文献は読んだが……悪魔との全面戦争でほとんどの個体が失われ、今では古代の遺跡などから発掘されるくらいしか見つける方法がないという。


「…………(ぐいっ)」


「あ、あ……パパ、やめて……!」


 今こうして旦那に押し出されてる姿を見たら、なんかイメージ崩れるなぁ……。


「はぁ……いいかいヘナ。アンタは今から、この子らと一緒に山ドードーの卵を取ってきてもらうよ! アンタしか詳しい奴がいないんだ。先輩として頑張ってきな!」


「……べ、べ、ベンダのじいちゃんは……」


「爺様は腰が痛いんだとさ」


 あぁ、銀貨級の爺さんって、ベンダさんの事を言ってたのか。

 キャリアとしちゃ俺より上だが、町に来たのは俺より後っていう、微妙な立ち位置の人だったから結局絡めないまま終わってた爺さんだったな……。

 長い顎鬚が特徴の、コロコロと良く笑う人だった。あの人柄なら、確かに誰とでもつるめただろう。目の前の、超絶人見知りでもお構いなしだったろうな。


「あ、あの」


「っ」


「今日は、よろしくお願いしますね?」


 ハノンが代表して、声をかける。何でって、フロキアとオリアンティが口を挟まないからだ。

 オリアンティは、ハノン以上にオドオドしてるヘナに対して既にイライラし始めてる。ハノンに対してでも「しゃんとしなさい!」と言ってる奴だ。こりゃあ荒れるかもしれん。

 そしてフロキアは、声をかけようというつもりがないみたいだな。……多分、ハノンに友達が出来ればいいとか、そんなことを考えて一歩引いているのだろう。


「んしょ……僕は、その……従魔師テイマー、です。この子は、僕の相棒のヴォルさん」


「……フスッ」


 俺を抱き上げ、なんとか会話しようとしているな。というか、俺を抱いてなんとか防波堤にして会話してる感じだ。


「……へ、ヘナ……です……」


「フス」


「よ、よろしく……」


「よろ……しく……」


「「…………」」


 ……あああああ!

 よろしくしか言えねぇのかお前らぁ!

 いかん、こいつらは色々と相性が悪い気がする!

 いや、いいのか? 逆にお互い不干渉で相性いいのか?

 それだと依頼にならないわな! やっぱダメだこれ!


「ま、良いですわ。ヘナさん、貴女は野伏レンジャーとしての冒険者資格を持っているのですわよね?」


「っ……!」


「……ですわよねぇ?」


「ぁ……は、は、い」


「はぁ、補足しとくと、アタシらがこの子の身分証明の為に取らせたのさ。器族は数が少ないから、厄介な連中に狙われるしね。今は野伏しか技能はないはずだよ」


 ふむ、なるほどな。

 野伏は野外活動では頼りになるだろうし、遠距離の武器も使えるはずだ。

 今回の依頼では色々とあてにさせてもらおう。それがこいつの自信とかにも繋がればいいんだがな……。


「いいかいヘナ、この子らはアタシが信用した冒険者さ。怖がる必要なんてない。……今まではアンタの気持ちを尊重して囲ってきたけど、アタシらももう歳だからね、いつ何があってもおかしくない。これを機に、少しでも知り合いを増やしておきな」


「……ママ……」


 そういう事か。

 いや、この2人なら100まで生きそうな気もするが、確かに娘がずっと引きこもりだと死んでも死にきれねぇわな。

 その手の白羽の矢に俺らが立ったってんなら、いろいろ頑張んねぇといけねぇな。


「じゃあ、ハノンくん。行こうか」


「は、はい。ヘナ、さん。行きましょう?」


「……は、はひ……うぇへへ……」


 消え入るような愛想笑いを漏らしつつ、ヘナは俺達についてくる。

 さて……2人の人見知りが、うまく付き合えるようになればいいんだが。どうなるもんかねぇ?

 

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