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第65話:即断即決

どもどもべべでございます!

筆が乗るぜぇ!

でも、ドライアドさんにしわ寄せがきてる……均等に書かねば。

気を付けます!

というわけでご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~!


「なぁ、知ってるか。剛健のヴォルフガングの話し」


「あぁ、なんでも長期の依頼で町を離れてるって言ってたな」


「ところがどっこい! 実は死んだって噂もあるんだよ」


「はぁ、まぁ可能性はあるがよ……剛健の旦那が死ぬなんてのは、想像がつかねぇなぁ……」


「まぁ、そうだよな。でも、旦那が町から離れてもう一ヵ月になるからな。そんな噂も出てくるんだろうな」


 翌日。

 冒険者ギルドにて。

 なんとも耳の痛い噂を聞きながら、俺は付け合わせの野菜スティックをポリポリと齧る。

 生前の俺、ヴォルフガングは、ギルドマスターからの依頼で町を離れているってのが、アルバートの流した情報である。しかし、人ってのは噂を魚介類に仕立て上げるのが大好きな生き物だからな。歪曲された何かに話題が変わっていくのは防げないだろう。

 事実が冒険譚よりも奇なりってのは、悲しい話だがな。流石に、角兎ホーンラビットになってお前らの後ろにいるんだとはわかるまい。

 

「……やろう、ハノンくん」


「即決ですね……!?」


 とまぁ、そんな根も葉もない事実は放っておいて、俺達のテーブルだ。

 現在、フロキアの意見も通り、俺達は山岳卵採りの依頼を受ける事になった所だな。言っただろう? 絶対行くことになるって。


「受けない理由がないな。山ドードーの卵までは確かに脅威もあるが、その報酬が竜の息吹亭に滞在できる期間とあれば無茶もする。それに、実質専門家も同行してくれるんだろう?」


「まぁ、その専門化の対人恐怖症を改善するための依頼なんですが。ワタクシとしてはあまり乗り気ではありませんわね。他者への対応なんて、確固たる芯を持っていれば揺らぐことはありませんのよ? それが出来ないなんて、背中を預けるに値しませんわ!」


「……耳が痛いです……」


「あら、痛くするために言ってますのよ? 貴方もまたそのキライがありますから、もう少しワタクシの弟子としての誇りを持って行動なさい!」


「は、はいっ」


 そんなやり取りを、酒の提供されない食事処でやっている。

 だもんだからなぁ……こいつら3人を見て、足を止める連中がちらほらいるんだよな。

 さっきなんか、休憩中の受付嬢数人が、ハノンとフロキアを見つめながら真剣にメモを取っていた。あれはなんだろう……スパイ活動か何かだろうか。


「ひぇぇぇ……相変わらずの顔面兵器が3人揃ってるぅ……」


「モフモフにショタとか、マジで……もう……」


「ばっかオメ、涎拭けって」


 聞こえてくるワードによくわからんのが混ざってるが……顔面兵器? 顔に破壊力があるってことか?

 目力って事かな……オリアンティは、確かに目力あるな、うん。

 ショタとかはよくわからんが、モフモフは俺じゃねぇかな。毛並み、ちょっとした自慢だし。

 つまるところ、ウサギを連れた迫力のある奴らって噂が立ってるって思っていいのか?


「「はぁ、尊い……」」


 何で拝んでるんだ? アイツら。

 ホント、訳わかんねぇ……。


「ふむ、しかしなんだな。ギルドを介さない依頼だと、我々の評価には繋がらないな」


「まぁ、そうですわね。ですが、そこまで焦る必要はないでしょう?」


「いや……ハノンくんの冒険者としての評価は、裏の仕事が多くてそこまで高くなってないはずだ。あまり鳴かず飛ばずだと、いつか資格をはく奪されるかもしれない」


「あ~……」


「……こんな非常識な角兎を連れてる時点で、それは無いと思いますが……」


「あはは……」


 うん、まぁそうだな。

 俺がついてる時点で、アルバートが逃がすはずがない。

 かと言って、懇切丁寧に俺の情報を明かす訳にもいかん。この辺りはホント、塩梅が難しい。

 とりあえず、オリアンティが言った通りの事を肯定すれば良いとは思うんだがね。


「ま、まぁ、僕も少しずつ頑張りますので……あの、あまり目立ちたくもない、ですし……」


「ふむ、ハノンくんが良いならばそれでいいんだが……私としても、ハノンくんと一緒に居られる時間が増えるのは嬉しい事だし」


「フスッ」


 何故か周囲の数人が立ち上がり、別の奴らにたしなめられた。もうスルーするぞ、うん。

 結局その後は、別にギルドの依頼じゃなくてもいいなって話になって、後は装備の見直しにシフトした。

 俺達の所持品は、山岳地帯に行くには足りない物が多いからな。それぞれ金を出して、揃えていく事に決まった。

 特に、今回は数日の野宿を覚悟した方がいい遠征だ。ハノンにも冒険者が野外活動するに相応しい装備を身に着けてもらわんとな。

 ……それに、疲労軽減の魔法具を探しとかんと、ハノンが付いていけるとは思えん。ここは念入りに、武具屋【ハイゼン】を物色せんといかんな。


「とりあえず、ワタクシも今回の依頼には参加させてもらいますわ。師としての責務を果たさねばなりませんものね!」


「いい加減、パーティとして登録しておけばいいだろうに」


「不義理は犯せないと言ったでしょう? ワタクシはあくまで臨時の助っ人ですわ!」


「こ、心強い、ですっ」


「そうでしょうそうでしょう! オォーッホッホッホ!!」


「フス……」


 ふむ、ハノンには何かしらの魔法を覚えて欲しい気もするが、使える魔法が増えても、魔力が増えていなければ判断を鈍らせる足枷にしかならない。

 ならば、今覚えている魔法で今回はどうにかした方が良いだろう。

 ……それに、俺もまたこの数日間で、やれる事が増えたしな。今回の依頼は、良い実験になりそうだ。


「と、いう訳で! 女将にはワタクシから依頼受理の報告をしておきますわ! 貴方達は今から準備を始めておくことですわね!」


「あぁ、助かる」


「ありがとうございます……!」


「えぇ、えぇ、崇めなさいな!」


 という訳で、ひとまずこの場はお開き。

 俺とハノン、そしてフロキアは、ハイゼンに向かって装備を整える手はずになった。

 さてさて、前回の依頼で稼いだ金なら、かなり良い物が買えそうだがな。





    ◆  ◆  ◆





 武具屋ハイゼンは、この町一番の品揃えだと言われている。

 だが、同時にこの町で一番不親切な店だとも言われている。

 人間に対して全く配慮されていない狭い通路に、薄暗い店内。ジャンル分けされていない商品。

 品物だけは懇切丁寧に磨き上げられ、完璧な品質で売られているのに、それ以外の努力をまったくしていない店なのだ。

 結果、この店でお目当ての商品が見つかるかは、完全に運次第。冒険者が今日の運勢を占うみたいなノリで通うような、陳腐な店になっちまった。

 昔っから、ここの店主は武具の目利き以外はダメダメだったからな……さもありなん。


『けどまぁ、今回の探索は割と当りだったな』


「はいっ、こんなに良い物を発掘できました……!」


「あぁ、とても似合っている。可愛らしいよ」


「そ、それ、あまり褒めてないような……」


「そうかい?」


 うん、まぁ、そうだな。

 フロキアのこれは天然だってのは、もうわかってるから何も言わんが、確かに男に対する評価じゃねぇな。

 それに、中々どうして様になってるぜ?

 今回購入した装備は、こんな感じだ。



《武器リスト》

・解体用ナイフ


《防具リスト》

・軽銀の盾 【衝撃吸収(小)】【軽量化】【自動修復(小)】

・魔術付与済みローブ 【衝撃吸収(小)】

・テイマーサークレット 【契約獣強化】 


・厚手のブーツ

   ↓

new:冒険者のブーツ 【疲労軽減(小)】 (銀貨20枚)


《携帯品リスト》

・異次元バッグ(極小)

   ↓

new:異次元バッグ(中) (銀貨60→50枚)


・毒消し×2

・ヒールポーション×2

・罠解除ツール

new:ベルトポーチ (銅貨30枚)

new:冒険者セット (銀貨8枚)

new:野宿セット  (銅貨60枚)

new:調理器具   (銅貨50枚)

new:食器セット  (銅貨20枚)

new:ランタン&油、火口箱 (銀貨1枚、銅貨26枚)



 順当だと言えるな。

 まず、冒険者セット。これは野外などで活動する冒険者にとっては、必須と言えるものが詰まった包みだ。

 ロープにくさび、小型ハンマー。後は松明など、かなり重要なものが揃っている。今まではハノンの筋力的問題や、野外活動の短さから買っていなかったが、ここで解禁である。


 それにあたって、今までの異次元バッグでは容量が間に合わなくなってきたため、一気に2ランクアップの中サイズバッグを購入。極小が銀貨2枚に対し、銀貨60枚もする高級品に手を出した。一気買いすることで、銀貨10枚分まけてもらったからこそ買えたんだがな。

 冒険者が買えるラインでは、中サイズは最大だと言える。大ともなると貴族や王族とかが荷運びに使うからな。まず普段なら手が出ないが、悪魔デーモン退治の報酬により買う事ができた。


 ブーツも疲労軽減が付いた魔法の品に変更。ここまで魔法具で固めて、ようやくハノンはまともに冒険者活動ができるんだ。ケチってなんかいられない。

 本当なら、ここに俊敏性強化も付いたブーツにしたかったんだがな……それは流石に、予算オーバーだったぜ。


 雑貨屋にも立ち寄り、野外で寝泊りする為の寝具やランタン、調理用具などを買いだめておいた。非常食はベローナさんとこで買う予定である。


「私も武具を新調できたし、山岳までのモンスターに遅れはとれないな。精一杯務めさせてもらおう」


「た、頼りにしてますね、フロキアさん……!」


「もちろんだ。……ハノンくんは、私が必ず守ると誓おう」


 うん、頼もしいな。

 頼もしいんだが……またなんか変な視線を感じるぞ。

 生暖かいというか、背筋が震えるというか……生前、アルバートと一緒にいた時に感じた気配にそっくりだ。

 周りを見てみれば、先ほどギルドで過剰反応していた連中がこちらを見ていることに気付く。

 なんかこう、変な感じだ。


『ハノン、さっさと宿に戻るぞ!』


「え? あ、は、はい……」


「ふむ、戻るのかな? 送って行こう」


 結局、謎の視線は、俺達がフロキアと竜の息吹亭に入った所まで感じていた。

 翌日、ギルドで何やら燃えるような議論がなされていたというが……俺達は町を出ていたので、真相は定かではない。

 

フロキアさんの腐っぽい言動を少し抑えておきました。

周りの反応はそのままですw

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