第51話:vsオーク
どもどもべべでございます!
台風はそれてくれたので助かりましたが、他の人達は大丈夫でしたかね~。
今は完全なカラっ晴れです。ある意味でヤバい気候ですねw
熱中症には気を付けましょう!
そんなこんなでご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~
カサ……っと、後ろ足が芝を噛む。
なるべく静かに、慎重に距離を詰める。向かう先は当然、あのオークと大蝙蝠の元だ。
角兎であろうと、姿をかくせる程芝は高くない為、必然的に相手には見つかってしまうだろう。しかし、俺とフロキアが前線を構築するためには、ある程度の近さが必要だ。
オークだけなら安易に接敵すればいいが、大蝙蝠は索敵能力が高い。俺らが無遠慮に突っ込んで、気付いた大蝙蝠に群がられている間にオークに突っ込まれたら、後ろに控えているハノンとオリアンティに被害が行く可能性が大きくなる。
故に、なるべく近く。すぐにオークを足止めできる距離まで接近することが肝要だ。後衛との距離が開けば、それだけこちらが有利になるからな。
フロキアもそれは理解しているのだろう。接近を俺に任せ、岩場の陰で待機している。
俺が突っ込むと同時に、あいつも来る気なんだろうな。
問題は、大蝙蝠に気付かれないか否か、だが……
「…………」
大丈夫そう、か?
やや低めの天井にぶら下がり、飛膜を手入れしているようだ。オークはその様子を視界に収めつつも、気にした様子は特にない。
オークと大蝙蝠が一戦おっぱじめないのは、ダンジョンモンスターとしての繋がりがあるからだ。野生のようで管理されている。ダンジョンってのはやはり恐ろしいな。
命を生み出し、操り、呼び込み、食らう。最も神に近しい生き物こそが、ダンジョンだと言えるだろう。
「……フスッ」
息を潜めているハノン達に向けて、ピコピコと耳を動かす。突貫のサインだ。
俺がこの動作の後、敵に突っ込む。その後、大蝙蝠達の動きを見ながらフロキアが接敵。後は、ハノンとオリアンティが後方火力を担当って感じだな。
フロキアが武器を構えたのが、気配でわかった。……さて、行くかね。
「ッ、フシ!」
オークに向けて、跳躍。大蝙蝠に見つからないギリギリに隠れていたため、一度ではオーク達に接敵できない。
同時に、大蝙蝠がこちらに気づく。飛膜をバタつかせ、甲高い音を発してオーク達に警告をかける。
なるほどね、ダンジョンがこの布陣を設置したのは、オークの鈍さをカバーするためか。3階層にしては殺意が高いじゃねぇの!
「グモォォォ!」
2匹のオークが声を荒げて俺を視認する。
同時に、俺ももう一度地面を蹴り、跳躍。奴らの前に躍り出る。
駆け付け一杯に飛び蹴りをぶちかましてみたが、一度相手を視認したオークはそれなりに戦闘センスがある。案の定、手に持った棍棒で受け止められてしまった。
深入りする前に、その棍棒を足場代わりに飛び、やや後方に退がる。クルクルと回って地面に着地すると同時に、後ろで芝を噛むブレーキ音が聞こえた。
まぁ、わかりやすくフロキアだな。俺と並んで武器を構え、オークを威嚇している。
これで、前線の構築は済んだ。ここからが、本格的な戦闘の始まりだと言えるだろう。
今んとこは問題なく回っているが……後は、飛行組がどう動くかだな。
「ヴォル、オークは1匹も通すなよ?」
「フス」
お前もな。
オーク達は、新たに現れたフロキアを見て鼻息を荒げている。アイツらにとっちゃ、ちみっさい俺よりもフロキアの方が、肉として有用なんだろうな。
だが、それはこちらも同じこと。オーク肉は野性味こそあれど、肉としてはそれなりの価値がある。人間を食ったオークは味が悪くなるから、やられる前にやっちまって解体してやらにゃいかん。
そうと決まれば、早速やり合うとしましょうかね!
「フシッ!」
「行くぞっ」
再度の跳躍。同時に、フロキアも距離を詰める。それぞれ1匹ずつを相手にする形だ。
しかし、俺の狙いはオークじゃねぇ。こいつらの相手は、後からでもできるからな。今やるべきは……!
「キィ! キィ!」
「フスッ」
大蝙蝠だっ!
奴らもまた、天上を離れて空中で停滞。こちらを思い切り警戒している。
しかし、後ろに行かないなら好都合。ここで1匹でも減らせるように、蹴らせてもらう事にしよう。
一気にオークに接近し、股をくぐる。奴らが俺を見失った瞬間を狙い、背中に飛び乗る。
そして一気に駆け上がり、肩へ。後は……大蝙蝠に向かって、跳ぶだけだ。
「フッ!」
「ギ……!?」
一気に接近してきた俺に、大蝙蝠は対処できないでいた。ならば、確実にいかせてもらおう。
大蝙蝠の目の前で縦に回転。踵を上に来るように調節し、【身体強化】を使用。
奴が判断しかねている一瞬を狙い、一気に振り落とす……!
「ギィィ!? っ、」
俺の踵落としは、見事にやっこさんの顔面に直撃。骨が砕ける感触が足に伝わる。
抵抗感は、一瞬。そのまま脚を振り抜くと、大蝙蝠の一匹は急落下し、地面に激突した。
顔面から落ち、背中から逆半分に折れ曲がっている。生死は確認するまでもないな。
「グオォォォ!!」
「っ」
そう、あんまり余裕に構えてもいられねぇ。
俺の着地を狙い、オークが棍棒を振り回す。これを一撃でも受けたら、角兎には致命打だ。
着地と同時に、身を深く屈ませる。一瞬後に、棍棒が角と耳を掠めて頭上を通り過ぎた。
あと少しでもタイミングがずれてたら、頭がなくなっていた事だろう。
「はぁあ!」
「グギャア!?」
大振りの一撃は、自身の隙をでかくするもんだ。フロキアは俺に対して攻撃してきたオークを狙い、レイピアをその腕の筋に突き刺す。
これにはオークも堪らない。痛みに悶えるように武器から手を放し、うずくまってしまった。
一連の流れを見ると、ノーダメージでオークを翻弄している良い流れに見えるが……俺としては、あまりよろしくない流れに思える。
俺らがオークに反撃を許したことで、大蝙蝠がフリーになっちまったからだ。
今この瞬間に、大蝙蝠は俺ら1人と1匹を狙うのをやめている。同種族が1撃で昇天したのを見て、本能的に狙いを他に移したらしい。
どこにかって? 決まっている。後衛である、ハノン達の方向だ。
予想通りといばそうなんだが、できれば俺を狙って欲しかったところだな! 移動を優先して、威嚇できなかったのが悔やまれる。
「あぁなっては仕方ない……ハノンくんとオリアンティを、信じ、よう!」
もう1匹のオークからの打撃を躱しつつ、フロキアは言う。
……そうだな。数を減らしたことで、やりやすくはなってるはずだ。俺達は、今できる仕事をすべきだろう。
後衛を意識に入れつつも、俺は2匹のオークに向き直る。
1匹は武器を落として息を荒げ、1匹はいまだ無傷。こいつらはタフさが売りみたいなもんだ。まだまだ倒れる事はないだろう。
「……フシッ」
角兎の力で蹴ったとしても、痛痒になる部分は限られる。確かに、気を散らしてしのげる相手じゃないな。
仕方ねぇ。信じてるぜ、ハノン、オリアンティ!
「ブルォォォォ!」
「さぁ、行くぞ!」
フロキアが身を屈め、突きを繰り出す体勢を取る。
オークはこれを迎え撃つように鳴き、もう1匹は武器を拾うために屈む。
俺はその隙を突くために、再度の跳躍を見せるのであった。




