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第50話:探索

どもどもべべでございます!

九時過ぎてしまった! しかしこの日の内に上げたいんだ!

というわけで、ご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~

 

 手前の階層は、難易度が低い。これはどのダンジョンも共通していると言って良い。

 まずもって、明るさをさほど気にしなくていい。壁に発光するコケや、光るキノコがあったりするのだ。

 ダンジョンによっては、人工物である石畳に、松明が設置してあったりもするらしい。グランのダンジョンは自然色が強く出ているため、その手の人工物ダンジョンではないんだがな。


 気温はひんやりと心地いい程度だ。ここから下の階層に進んで行くにつれて、寒さは増していく。

 今回は3階~4階にいるであろうオークが相手だから、防寒の類はさほど必要ないんだが……それ以降は何かしらの対策が必要だろう。


「敵の気配は……まだ無いかな」


 俺の後ろで、フロキアが小さく声を上げる。

 涼しさの中で自生している、青々とした芝を踏み進むのは、なんとも矛盾をはらんだ光景だろう。

 そんな現実感を薄れさせる空間を見回しつつ、敵対的な勢力を探しているようだ。


「ここ、もう既に……オークの住処、なんですよね?」


「あぁ、そうだね。オーク以外にも、角兎ホーンラビット柔兎クッションラビットがいたりもするな」


「あまり危険度の低い魔物を例に挙げていたら、いざという時困りますわよ? 中には大蛇パイソン大蝙蝠ジャイアントバットもいますわ」


「ふむ……確かに、その辺りを教えておいた方が今後のためか」


 ふむ、1~4階の中では順当な連中だな。

 柔兎は滅多に見ないが……まぁ、それ以外の連中は中々どうして遭遇率が高いもんだ。

 今までは俺が蹴るかフロキアが斬ればなんとかなったが、ここからはそうもいかねぇ。

 そこそこに厄介な連中が、数を成して出てくるだろうさ。


「それらをどういなしながら、消耗を抑え、目的の対象を倒すかというのがダンジョン依頼の基本だ。しっかり覚えて帰ろう」


「は、はいっ」


 ま、とはいえ後衛のハノンがダンジョンで出来ることってのは、自分のポテンシャルの管理が主だ。

 そこに重点を置いて、魔法の訓練は使えたらという重しでいこう。

 ……あん?


「フシッ、フシッ」


「……シッ、皆さん、静かに」


 どうやら、オリアンティも気づいたようだな。

 ダンジョンの通路を左に曲がった所で、奥に途切れが見れる。

 その奥は、やや開けた空間のようだが……何体かの気配を感じるな。おそらく、ダンジョンに湧いたモンスターだと思って良い。

 距離と開け方から言って、不意打ちは厳しそうだな。逆に言うと不意打ちされないってことだが、一本道の初手に敵配置とは今回えげつないねぇ。


「奥に、気配を感じますわ。ここからではよく見えませんが……まだ気づかれてはいないみたいです」


「ふむ、ヴォルも気付いているみたいだね。私が先行して見てこようか?」


「いえ、ここはハノンさんに頼みましょう。角兎を先行させて、敵の特徴を教えて貰ってもよろしいかしら?」


「は、はいっ」


 あぁ、いい判断だ。

 確かに、俺なら鎧の音とかも響かないし、小さいから隠れて進むのも問題ない。

 だが、注意すべき点もある。契約獣とダンジョンモンスターは、明確に敵対関係になってしまうのだ。

 だから、群れに紛れて~とかそういう手は使えねぇ。こういう場合も、隠れて行くのが常套だ。

 角兎は夜目も効くから、薄暗くてもこのくらいの距離なら余裕だしな。


「ヴォルさん……大丈夫、ですか?」


『あぁ、ちと行ってくるわ』


 俺一匹で先行し、敵陣に近づいていく。

 もちろん、道中に罠が無いかもチェックしていくぞ。


「……凄いな。気配を上手く消している」


「ようやく角兎らしい姿が見れましたわ。兎系統のモンスターは、隠れられたら厄介なんですのよ?」


「そ、そうなんですね……」


 ふむ……大蝙蝠が3羽、それに、オーク2体か。

 このまま伝えてもいいんだが、そこまでやったら多分、あの2人がまたなんか言い出すだろうなぁ。

 軽くぼかすか。


『ハノン。特徴を念話で教えてやるから、オリアンティに伝えて魔物の知識を乞え。オリアンティならわかるだろ』


「あ、は、はいっ」


 仲間に頼るのも冒険だ。従魔師テイマーが偵察させて、それを伝えて知識係に調べてもらう。なんの違和感もない光景さ。

 今更? いや、あまり化け物認定されてもなぁって配慮だぜ?


「……だ、そうですけど……」


「豚頭に、黒い羽根付き……まず間違いなく、オークと大蝙蝠ですわね。合計で5匹だと、結構厄介ですわねぇ」


「ふむ、私とヴォルでオークを抑えてる間に、大蝙蝠を魔法で落としてもらえれば……といった所か。大蝙蝠を止める事は、流石にできないな」


 相談してるな。じゃあ俺も戻ろうか。

 うんうん、冒険者が円陣組んで対策会議。良い光景だねぇ。

 この瞬間がやたらとワクワクすんだよな。命を賭けて練る戦略、仲間に背中を預ける感覚は、他では得られない経験だ。


「……あの……僕が、オリィさんを守るのは……どう、でしょう?」


「む……」


「あら、大口を叩きますわね?」


「い、いえ! あの……」


 ……ふむ。

 無理では、ないと思う。ハノンはガード技能もあるから、味方を守りながら戦うのも本分と言えるだろう。

 ただ、この中で一番弱いのもハノンだ。そのハノンが、オリアンティを守るってのも……


「も、もちろん、全部守るのは無理、ですけど……オリィさんの邪魔をしそうな奴だけ、盾で受け止めてれば……その、魔法使ってもらって、大蝙蝠を倒せるんじゃ、と」


「……戦略的に、間違いではない」


「ですが、庶民には荷が重いのではなくって? 大人しく貴族である私に守られておく方が安全ですわよ?」


「お、教えて貰えた魔法は、こういう場合にも効果的、ですよね? それなら……ま、魔法の練習にもなります……こ、怖いけど、頑張らせて、いただければ……」


 俺とフロキア、そしてオリアンティの視線が絡む。

 さて、どうするか。俺としては、ハノンがせっかく男見せてくれてるんだ。尊重してやりたいと思う。

 それに、大蝙蝠の特色は相手の血を吸って生命力を吸い取る点だ。ハノンが盾で防ぎ切れば、戦闘はグッと楽になるだろう。


「……オリアンティ」


「……はぁ……」


 フロキアが促し、オリアンティがため息をつく。

 どうやら、2人も俺と同意見かね。


「いい事、ハノンさん?」


「は、はい」


「まず、貴方が私を庇うのは1体まで。それ以上は認めませんわ」


「っ、はい!」


 素直じゃねぇなぁ、この貴族。

 一斉に攻撃された場合、全てを庇う事はできない。

 つまり、3体の攻撃の内、1体までを請け負って良いって事だな。まぁ、ハノンの技量的にも一気にすべてを請け負うなんてそもそも不可能だ。

 意味のない、事実上の快諾と言える。なんて良い条件だ。


「そして、魔法は自分に必ず使う事! 良いですわね!」


「わ、わかりました……!」


「決まりだな」


 3人の顔に、笑顔が浮かぶ。

 ある意味、このチームで初めて、対等な条件での戦闘。

 これは、ハノンの門出でもある。華々しく飾ってやろう!

 

偵察の指示を、オリアンティのアイディアに変更いたしました。

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